中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

産業医判断に根拠なし

2018年05月18日 | 情報

主治医の診断か、産業医の判断か、よく起こる事案です。当ブログでも再三取り上げ、注意を促しています。
よくある質問に、どちらが優先されるのかがあります。
これについては、前もって、どちらが優先という法令・規程類はありません。
次に、産業医の判断が優先するという情報が広まっていますが、これにも法的根拠はありません。
なお、この情報の根拠は、どうやら産業医の判断が優先される判例等が多いというものらしいようです。
要するに、主治医の診断か、産業医の判断かは、どちらに合理性、正当性があるかということで決まります。

今回の記事から推測できることは、主治医が復職可能と診断したことを覆すには、それなりの根拠が必要ということ、
産業医は一般的に診療行為ができないこと、加えて、おそらく産業医は精神科専門医ではないでしょうから、
精神科分野での診断は難しいのではないかということ等があげられます。

産業医判断に根拠なし、退職無効 横浜地裁判決 
2018/5/11 日経

パワーハラスメントで休職後、復職を認めずに退職扱いとしたのは不当だとして、
社会保険労務士らの事務組合「神奈川SR経営労務センター」(横浜市)で働いていた女性(44)と男性(41)が、
職員としての地位確認を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は11日までに、退職を無効と認め、未払い賃金の支払いを命じた。
新谷晋司裁判長は、産業医が「統合失調症」「自閉症」と判断し復職不可としたのは
「合理的根拠がなく、信用できない」と指摘。健康状態は回復していたと認定した。
判決によると、女性はうつ病と診断されて2014年から休職、男性も精神的な不調で同年から休職した。
15年に2人の主治医が復職可能と診断したが、センターは産業医の意見を基に復帰を認めず、2人は失職した。
神奈川SR経営労務センターは「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。
女性は上司のパワハラを巡る訴訟で12年に和解したが、その後も改善されなかったとして、新たに損害賠償を求めて提訴。
男性もパワハラ被害を証言して15年8月に二審東京高裁で逆転勝訴し、16年2月に最高裁で確定した。〔共同〕

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