中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

衛生管理者の業務

2018年04月09日 | 情報

前項の「産業医契約」や、先の安衛則改正を受けて、衛生管理者の役割はより重要になってきました。

まず、労働安全衛生規則等の改正(平成29年3月29日公布 同年6月1日施行)のうち、関連部分を確認します。

1.事業者から産業医に所定の情報が毎月提供される場合には、産業医の作業場の巡視の頻度を、
毎月1回以上から2か月に1回以上にすることが可能となりました。(巡視の頻度の変更には事業者の同意が必要です。)
(労働安全衛生規則第15条)

2.事業者は、健康診断の結果、異常所見のあった労働者について医師等からの意見聴取を行わなければならない場合に、
当該医師等から、意見を述べる上で必要となるその労働者の業務に関する情報を求められたときは、
これを提供しなければならないこととなりました。(労働安全衛生規則第51条の2 ほか)

3.事業者は、時間外・休日労働が月100時間を超えた労働者について、
速やかにその労働者の労働時間に関する情報を産業医に提供しなければなりません。(労働安全衛生規則第52条の2)

即ち、「事業者から産業医に所定の情報が毎月提供される」ためには衛生管理者の役割が重要になるわけです。

厚労省の解説によると、所定の情報とは、
ア:衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果
・ 巡視を行った衛生管理者の氏名、巡視の日時、巡視した場所
・ 巡視を行った衛生管理者が「設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがある
とき」と判断した場合における有害事項及び講じた措置の内容
・ その他労働衛生対策の推進にとって参考となる事項
イ:アに掲げるもののほか、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
ウ:休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり
100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報
(=今回の見直しにより、産業医への提供が義務付けられた情報) 

とされています。その中のア項については、衛生管理者の専任事項ですし、
イ項、ウ項についても、事業者の判断によっては、産業医への情報提供を衛生管理者に一任することが想定できます。

従って、各企業、事業場においては、衛生管理者の役割を再確認するとともに、業務量の積算・見直しを行っていただき、
衛生管理者の業務量が過重にならないような配慮も必要と考えます。

参考情報:「産業医制度に係る見直しについて」(厚労省HPより)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000190999.pdf#search=%27%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%8C%BB%E3%81%AE%E8%81%B7%E5%A0%B4%E5%B7%A1%E8%A6%96%27

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