中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

公務災害不認定を取り消し

2016年03月09日 | 情報

新聞報道に従えば、基金の主張である「どの学級でも起きうるトラブルであり、自殺は公務災害とはいえない」は、
如何にもと言わざるを得ない理由です。司法の判断は、当然でしょう。

新任教諭の自殺「公務原因、学校の支援なし」認める判決
朝日新聞2月29日

東京都西東京市の市立小学校で2006年、新任の女性教諭(当時25)が自殺したことをめぐり、
女性の両親が公務災害と認めなかった処分の取り消しを「地方公務員災害補償基金」に求めた訴訟で、
東京地裁は29日、処分を取り消す判決を言い渡した。吉田徹裁判長は「自殺は公務が原因。短期間にストレスが重なり、
学校による十分な支援もなかった」と認めた。
判決によると、女性は06年4月に着任し、2年生の学級担任に。
児童の万引きや保護者からのクレームなどのトラブルが相次ぎ、7月にうつ病を発症し、自殺を図って12月に死亡した。
同基金は「うつ病になるほどのストレスはなかった」と主張したが、判決は「新任教諭には相当のストレスで、
上司らの手厚い指導が必要だったのに、指導された形跡がない」と指摘。
西東京市教育委員会の研修で指導者が「病休・欠勤は給料泥棒」と発言したことも
「かえって負荷を増加させかねない発言だった」と述べ、市教委の対応を批判した。
判決後に東京都内で会見した女性の父親(67)は、「次世代を担う子どもたちの育成の場に、
決して過労死を持ち込まないで欲しい」と話した。

「新任女性教諭の自殺と業務に因果関係あり」 公務災害不認定を取り消し 東京地裁
2016.2.29 産経

東京都西東京市の市立小学校に新任で赴任した女性教諭=当時(25)=の自殺を公務災害に認定しなかったのは不当として、
両親が地方公務員の労災認定機関「地方公務員災害補償基金」に対し、不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が29日、
東京地裁であった。吉田徹裁判長は「自殺と業務には因果関係があった」と認定し、同基金に処分の取り消しを命じた。
判決などによると、女性教諭は平成18年4月に新任で同市立小に着任。
しかし保護者から怒鳴られたり、上司から叱責されたりし、鬱病を発症。
同年10月に自殺を図って意識不明となり、12月に死亡した。
両親は公務災害の認定を求めたが、同基金は「どの学級でも起きうるトラブルであり、
自殺は公務災害とはいえない」として認定しない処分をしたため、両親が平成25年に処分取り消しを求めて提訴していた。
判決後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した女性教諭の父親(67)は「『ようやく労災が認定されたよ』と娘に報告したい。
教育界から過労死問題がなくなることを望む」と述べた。一方、同基金は「判決を精査して対応を検討する」とコメントした。

公務災害とは
公務員が、仕事が原因でけがをしたり病気になったりすること。民間企業で働く人の労働災害にあたる。
地方公務員の場合、各都道府県と政令指定都市に支部がある地方公務員災害補償基金が、公務災害にあたるかを決める。
認定されると、治療費などが出る。基金のもとになるお金は自治体などが出している。
過労による精神疾患は、仕事内容や勤務時間をもとに総合的に判断する。
月100時間以上の時間外勤務を1カ月以上続けた場合などは、認定される可能性がある。
国家公務員の場合は、所属する省庁が人事院と協議して判断する。

労働災害補償制度の整理
国家公務員  [根 拠 法] 国家公務員災害補償法(国公災法)
       [実施機関]人事院指定の各省庁
地方公務員  [根 拠 法] 地方公務員災害補償法(地公災法)
(基金制度) [実施機関]地方公務員災害補償基金の各支部
民間労働者  [根 拠 法] 労働基準法・労働者災害補償保険法(労災法)
(保険制度) [実施機関]労働基準監督署

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