長谷川歯科医院のブログ

静岡県掛川市本郷にある、長谷川歯科医院です

最近の施術例  重度歯周炎の前歯

2014-04-15 | 治療例
限局型重度歯周炎の一症例です。



他院にて、歯周病でグラグラになった左上の前歯を抜歯して、
インプラントまたはブリッジを勧められましたが、
抜歯せずに治療することを希望し、当院に来院されました。




左上の前歯です。歯周病によって歯肉が腫れています。
深い歯周ポケットが形成され、さらに骨が溶けているため歯がグラグラしています。
歯肉の痛みのほか、見た目が悪くなっています。




裏側です。
歯肉に強い炎症が見られ、ウミが出ています。
進行した歯周病では、このように歯の移動が生じます。



まずは患者さんご自身の丁寧なブラッシングが必要です。
その後、徹底した歯石除去、感染源の除去を行います。
タバコは歯ぐきの治りを妨げます。




歯肉の炎症が改善してきました。
歯の周りの骨が大きく溶けてしまっているために、
腫れていた状態が落ち着いてくると、
歯周ポケットは浅くなりますが、歯肉が大幅に下がります(歯肉退縮)。




矯正治療によって、動いてしまった歯並びを整えます。
歯の周りの骨や歯肉のラインを上げる目的もあります。




計画通り、歯肉が上がってきました。
歯肉の下の骨の状態も改善しています。
この後、わずかな歯周外科手術を行って歯肉の状態を仕上げます。




歯周炎が落ち着いたことを確認した後にジルコニアフレーム前装冠を装着します。
歯周ポケットは浅く、歯のグラつきも気にならない程度まで改善しています。




歯周病が落ち着き、歯を抜かずに残すことができました。

今後は、ご自身の大切な歯をずっと維持ができるよう、
メインテナンスを通じてお手伝いをさせていただきます。



長谷川歯科医院

ITI スカラーシップミーティング

2014-04-11 | 活動報告
4月8日火曜日は、子供の入学式のため、
大変勝手ながら休診とさせていただきました。


午後からは東京へ行き、ITIスカラーシップミーティングへ参加し、
インプラント治療の症例報告をさせていただきました。


ITI(International Team for Implantology)とは、
1980年にスイスにて設立されたインプラント歯学の専門家による学術団体です。

過去30年以上にわたり高水準の基礎・臨床研究を通じて、
世界のインプラント歯学を牽引してきた最も大きな団体の一つで、
その学術研究活動より得られた知見は、
パートナーであるスイス・ストローマン社の製品に反映され、
高品質なストローマンインプラントの科学的根拠となっています。
(2012年の世界でのインプラントシェアNo.1)


私は2010年から2011年にかけて、ITIスカラーシップ制度によって
カナダ・トロント大学に留学をさせていただいた経緯があります。


今回のITIスカラーシップ・ミーティングは、
ストローマン・ジャパンの東京本社にて行われました。





私以外は、大学で研究や臨床の一線でご活躍されている先生方ばかりでしたが、
開業医の立場からのインプラント治療について報告をさせていただきました。


まさに最新のインプラントに関する知見を得ることができましたが、
今回、同じスカラーの先生方とお会いすることができたことを
大変嬉しく思いました。


ITI section JapanのChairman、船越栄次九州大学臨床教授とスカラー

インプラントオーバーデンチャー

2014-04-06 | 歯科トピックス
患者さんより、さわやかな春の味覚、わらびをいただきました。
スタッフ皆でいただきました。どうもありがとうございました!




さて、4月5日の土曜日は診療後に静岡へ行き、
所属するITI(International Team for Implantology)の
勉強研修会へ参加しました。


今回のテーマは、「インプラントオーバーデンチャー」でした。


インプラントオーバーデンチャー(implant overdenture)とは、
顎骨に埋められたインプラントによって固定される“入れ歯”のことです。


インプラントに完全に固定されるブリッジと違い、
患者さんご自身で着け外しができることが特徴です。


上下顎とも対象になりますが、特に下顎に全く歯がない(無歯顎)場合に、
このタイプのインプラント治療は最も有効な選択肢の一つです。


骨の吸収が強くインプラントを埋めるための十分な骨量を確保できない場合に、
比較的安全性の高い部位に必要最小限(2本)のインプラントを埋入して、
義歯(入れ歯)を固定する“アタッチメント”を設置します。



前歯の部分に2本のインプラント



入れ歯の裏側に、“アタッチメント”のメス部分がついています。



2本のインプラントによって固定されます。患者さん自身が自由に着脱できます。



わずか2本のインプラントによって、
入れ歯がはずれずにしっかりと固定され、よく噛めるようになります。



この治療法のメリット(下顎の場合)は、

1.骨を増やす処置(インプラント前処置)がほとんど必要ない。
2.インプラントの埋入本数を少なくすることができる(最低2本。フルブリッジの場合は最低6本は必要)。
3.既存の入れ歯を利用できる。
4.上記(1~3)のことから治療費を抑えることができる。
5.インプラント周囲の清掃が容易。
6.完全固定性ブリッジと比較しても使用感、装着感に大きな差はない。
7.これまでの研究により長期間の安定性が証明されている。



以下施術例です。



インプラントの本数が多くなると、入れ歯がよりしっかりと固定されます。



使い慣れた既存のレジン床義歯を改造して使用します。