うきは拾遺集

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〝ビッグ・ベン〟は恥ずかしい・・・学校の男子トイレの個室化

2016年10月22日 | 随想
 ビッグ・ベン〟というキャッチコピー、最近テレビで見かける温水便座のCMですが、よく考えたものです。小中学校の男子トイレを洋式個室だけにする動きが進んでいるというニュースが新聞にありました。小便器があると個室に入ったときに排便だと分かり、同級生たちにからかわれるのが嫌で我慢する子どもが多いから、という理由だそうです。

 一例として大分県内の中学校のケースが紹介されていました。同校では校舎新築に際して男子生徒用のトイレすべてを個室化し、半数の便器には温水洗浄便座や擬音装置までつけたのだそうです。学校での排便が嫌で朝食抜きで登校する生徒がいたことがきっかけでした。闊達な自然児がいなくなったことを嘆くか、深刻な悩みとして理解し、時代の流れと受け入れるか、苦笑いでやり過ごすか、大人たちの受け取り方はさまざまと思います。

 そう言えば、義姉が男の子の孫のことで嘆いていたのを思い出します。ハイキングの途中に便意を催したその子が野原での用足しをかたくなに拒んでコンビニまで急がなければならなかったと、いかにも情けなさそうに慨嘆していました。私自身、職場と自宅マンションが歩いて4分の、〝恵まれた圏内〟にあった頃、職場を避けて自宅に帰っていた記憶がよみがえりました。

 70歳を超えても、公衆トイレの個室を使う際には人の目が気になる軟弱男子としては、硬派と軟派、慨嘆とと容認の間で判断に揺れています。排泄の人体生理は、たとえばその最中に外敵の襲来にあった場合のことを考えれば、男女が愛を交換する時間と同じように、太古の昔より生死に関わる重大問題で人目をはばからなければならなかったはずなのです。

 脳が発達して羞恥心が芽生え、人類のDNAになった?・・・こんな愚考を巡らせています。命の危険を回避するために備わったDNAは、現代社会ではもはや必要ありませんよという刷り込みを幼いときから植え付けることではないでしょうか。記事の中でも指摘されていましたが、排便は恥ずかしくないと家庭や学校で教えるほかにないような気がしています。

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