経済財政諮問会議ウォッチング

経済財政諮問会議での議論のまとめと感想。

民主党職員の専門調査員就任

2009-11-15 04:35:21 | Weblog
#思いつきで更新してしまったので、このエントリーについて補足をしておきましょう。

一般職の公務員は政治的行為が規制されている。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO120.html
国家公務員法
第百二条  職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。


ただし、審議会の委員などにはこの制限はありません。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24F04514007.html
人事院規則14-7
1  法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、(中略)すべての一般職に属する職員に適用する。ただし、顧問、参与、委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員(中略)が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。


これについて前回、
>専門調査員という職名(中略)からしてアドバイザー的な役割とも思えない。
と書きましたがこれは間違っていました(汗)。

http://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/14_fukumu/1401000_S26shirei14-3.htm
人事院規則一四―七(政治的行為)第一項ただし書に定める諮問的な非常勤の職員の指定について (昭和26年8月10日人事院指令一四―三)
1 人事院は、人事院規則一四―七(政治的行為)第一項ただし書に定める諮問的な非常勤の職員として、諮問的な非常勤の官職で、会長、副会長、議員、院長、会員、評議員、参事、客員研究官、幹事、専門調査員、調査員、審査員、報告員及び観測員の名称を有するものを占める職員並びに諮問的な非常勤の統計調査員、仲介員、保護司及び参与員の官職を占める職員を指定する。


 何で間違ったかというと、前回書いたときには人事院指令まで見つけることができなかったのですよ。人事院のHPを見ると、10月29日から掲載されたようです。グッドジョブというかもっと早くやっとくれというか。。。

 まあ、整理すると一般職の公務員は政治的行為が禁止されているけれども、諮問的な非常勤職員ならOKということ。そして専門調査員も諮問的な非常勤(以下、アドバイザーと呼ぶことにします)ならばこの範疇に含まれる。アドバイザーならば行政の執行に直接携わるわけではないから行政の中立性を疑わしめるようなこともないし、アドバイザーとして雇われるだけで政治的活動が制限されるのも不適切ということなんでしょうね。

 そして、政府は今回雇った党職員はアドバイザーと考えているということがわかりました。

 というのは、今回の件が国会で議論になったのです。政府の答弁は混乱していますが、最後の松井官房副長官の答弁が公式なものなのでしょう。発言はぶつ切りにしてあるので、全体は会議録を見てください。(カッコはもちろん当方の注釈)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/173/17311060014002a.html
平成21年11月6日 参議院予算委員会
○脇雅史君 一般の職員は中立でなくちゃいけないと、こう言われていましたが、それでは、民主党の職員を政府が今回採用されるという話を聞きましたが、これは本当ですか。
○国務大臣(菅直人君) 私は、これは、イギリスの場合はスペシャルアドバイザーという形で、ポリティカルアポインティーについてはそういった一般の職員のような義務は掛かっておりません。
 私は、今回の場合もそれと同様に、言わば特別職と同じ扱いでありますから、これはほかの立場もそうですが、臨時職なりあるいは常勤でない人には掛からない仕組みがありますので、一般の職員とは違って政治的中立性の義務はない、これが私が聞いた見解です。
(特別職的扱いというあたりが不明確で不正確ですな)
○国務大臣(平野博文君) 一般職の公務員法でございます。
○国務大臣(平野博文君) 一般職でございますので、中立性は担保されます。

(一般職であるのは正しいけれど、このままでは政治的活動が制限されてしまいますよ)
○内閣官房副長官(松井孝治君) 御答弁申し上げます。
 御指摘の職は、一般職の専門調査員でございますが、当然行政としての中立性はございますが、専門的な非常勤の一般職でございまして、必ずしも政治的行為の禁止までは掛かっておりません。そういう仕組みが国家公務員法上ございます。

(「専門的な」とか「必ずしも」といったあたりが不明確ですが、前述の人事院規則や指令を念頭に回答したものでしょう)

 ということで、前回書いた疑問の一つは解決したわけです。これまでも内閣府参与に湯浅誠さん、内閣官房参与に平田オリザさん、厚生労働省顧問に駒村教授、総務省顧問に首長とか23名を任命したりしていますが、これと同じ扱いということなんでしょう。

 でもこれは、前回書いた別の疑問を解決するものではないのです。今回雇った27名は本当にアドバイザーにふさわしいような見識を持った人たちなんでしょうか?また、これらの人たちは政策会議の運営や政務三役の補佐にあたると報道されていますが、それってアドバイザーとしての仕事といえるのでしょうか?

 まあ、学識にしても仕事の内容についても明確な線引きがあるわけでなく、実態も明らかにする必要はないので言い逃れはいくらでもできるということなんでしょうね。

 結論は前回と同じで、どんな人を雇って、どんな勤務実態なのか明らかにした方がよろしいんじゃないですかということです。

 非常勤ついでにもう一つ。社会保険庁をクビになる人を非常勤職員として雇おうかという動きがあるようですが、前にも書いたようにやるべき仕事があってそれにふさわしい人を雇うというのが採用の基本。雇うことが先にあるというのはかつての緊急失業対策法を思い出させるような話ですが、どうも非常勤職員での採用を安直に考えているように見えるのは甚だ遺憾でございます。

#うーむ、長い。おもしろみもない。。。更新はこれにてストップします。