朝鮮半島ウオッチ/外交ウオッチ
2012.11.24
韓国で好調なのは財閥系大企業だけだ。
「韓国では若者はいい大学を卒業しても半数が就職できない。財閥中心の輸出経済は好調でも自分たちの生活には何の利益もなかった。 結局は既得権層だけの優遇だったと、李明博政権は強い批判にさらされている」(韓国紙記者) 社会的な不満が、旧態依然で機能不足の政治全般への批判に向かったというわけだ。
■韓国の場合、大統領選挙最大の争点は「経済民主化」
現代財閥出身でCEO大統領を任じた李明博大統領は5年前、『7%成長、1人あたりGDP4万ドル、世界で7番目の経済大国入り』という「747政策」を掲げて当選した。
青瓦台(大統領府)に財閥オーナーとのホットラインを引き、財閥優遇策で法人税を減税し、ウォン安誘導を行って米国発のリーマンショックもいち早く乗り切った。
その結果、サムスン電子、現代自動車の2社で2012年1-3月期の営業利益が韓国全企業の36%という経済の極端な集中が起きた。
だが、いまや財閥だけが過去最高益を更新する経済政策、国政運営そのものが批判の的になっている。大統領選最大の争点といわれるのが、この財閥経済を打破する「経済民主化」である。
「経済民主化」とは財閥系大企業の規制強化と不正処罰強化のことで、傘下企業への出資を規制し、最終的には財閥の資本構造それ自体を解体しようとするもの。
またこれまでは、財閥トップに不正が発覚し処罰されてもその後恩赦で救済されてきたが、「民主化公約」ではこの優遇を撤廃するという。
各候補ともに「経済民主化」を公約に掲げた。規制や処罰は朴氏が財閥に甘く、文氏は厳しい。しかし程度の差はあるものの、法制化されて厳密に施行されれば、これまでにない「財閥たたき」「財閥解体」になる経済規制となる。
こうした日韓で高まる「新しい国のかたち」への国民的な関心は、新時代を迎える日韓関係にも、少なからぬ影響を及ぼすことになりそうだ。