◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

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「私の心に暗雲が立ち込めた」って?

2018-07-22 09:14:53 | 気になる言葉、具体例
                                  虹色だね

 「私の心に暗雲が立ち込めた」(2018/6/3 16:00 NEWS ポストセブン)はもやもやしますねぇ。ずーっと前にテレビ朝日の女子アナが「雲が厚く立ち込めています」と言うのを聞きましたが、その後もたまに見聞きすることがあって、「地球ドラマチック」のナレーションにも登場しましたから、これからどんどん増えていくのでしょうか。
 「ネット空間にかつてないほどの暗雲が立ち込めている」(2016.9.29 東洋経済オンライン)、「著者に早くも暗雲が立ちこめる」(2017/8/24 11:00 ダ・ヴィンチニュース)、そして、「ベネチアの未来には暗雲が立ち込めているようです」は「地球ドラマチック」で聞いたナレーションです。
 「木村拓哉『衝撃』早くも暗雲が…」は「gooいまトピランキング」にあった見出し(2018/7/10 10:49)です。おやおや、「…」でうまく逃げたなぁと思い、記事(2018.07.10 TOCANA)を見てみたのですが、そちらの見出しには「主演映画も“キムタクと工藤静香の事情”で暗雲!」と書いてあってびっくり! あ然( ̄д ̄)! 「!」ですか、これは初めて見るパターンです。
 さらに、記事本文は「起死回生となるはずの今夏の主演映画に、早くも暗雲が立ち込めている」で、こちらはよくあるパターン <( ̄д ̄)>。いやはや、日本語の未来に暗雲が、いや、待てよ、キムタク主演の映画がヒットするかどうかなんて、そんなスケールの小さい話なら「立ち込める」もありか・・・なんてね( ̄― ̄)。
 まず、「雲が厚く立ち込めています」は単純ですね、「雲が厚く垂れこめています」が正しい言い方です。ネット空間は、私なんぞには想像もつかないほど巨大ですからね、「ネット空間にかつてないほど暗雲が垂れこめている」で、その次の例は、少し言葉を補って「著者の前途に早くも暗雲が垂れこめる」です。そして、「ベネチアの未来には暗雲が垂れこめているようです」でしょ! NHK、しっかりしてよ!
 暗雲は、上からどよ~んと垂れこめる? どこからともなくもや~っと漂ってくる? どんなイメージですか? 雲など、上から、低く広がるのが「垂れこめる(垂れ籠める)」で、煙や霧など、下から、一面に立つのが「立ち込める」です。暑いときに真っ白な入道雲が下から上へもくもく、これは「沸き起こる」ですね。
 最近は、あれよあれよという間に真っ黒な雲が頭上に現れ、いきなりどしゃ降りということがあり、逆に、常に灰色の雲が低く垂れこめて暗いというのが北陸の冬のイメージだったのに、このごろはそうでもないような・・・、車を覆い隠すほど降り積もった雪も解けるのが早かったのなんのって。
 さて、「不安」は心の底から「沸き起こる」ですが、冒頭の「私の心」には何が生じていっぱいになるのでしょうか。ライターが「立ち込める」と書いたのは、いっぱいになるということを言いたいからですよね、気持ちは分かります。でも、「暗雲」は「暗い雲」、「雲」といえば「空」ですからね、空は広いですよ、「立ち込める」というほど狭くありませんから、やはり「立ち込める」というより「垂れこめる」でしょう。
 つまり、「前途」や「未来」ぐらいのスケールならともかく、「私の心」に「暗雲」は大きすぎるように思うのです。でも、まぁ、「私の心に暗雲が漂う」だったら雲がちょっと見えているくらいだからいいかなぁ、いっぱいにはなりませんが( ̄~ ̄)。あるいは、「私の心にもやが立ち込めた」とか、どう?
 いっそのこと、雲・霧・もやからは離れて「私の心に不安が沸き起こった」はどうですか? いっぱいになるちょっと手前ですが、劇的ですし、じきにいっぱいになりますよ。まぁね、一般の人なら「私の心は不安でいっぱいになった」と書くところです。素直にそう書けばいいのではないでしょうか。
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