北大路機関

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安倍トランプ日米首脳会談,安保問題認識一致と貿易赤字相殺へF-35等米製装備調達増進要望

2017-11-07 20:17:20 | 国際・政治
■自衛隊が進める米製装備導入
 トランプ大統領アジア歴訪最初の訪問国である我が国を実り多い首脳外交を経て本日、次の訪問国である韓国へと出発しました。

 日米首脳会談が昨日行われ、安倍総理大臣とトランプ大統領は北朝鮮問題や海洋自由原則等で一致した行動指針を確認しました。一方、トランプ大統領は日米貿易問題について言及し、日本に突き付けられた安全保障上の危機を克服するには、世界最高のF-35のような装備が必要であるとし、アメリカからの更なる防衛装備品の調達を要望として示しました。

 アメリカは武器購入を希望しました、しかし、実は必要な装備と現在調達中の装備は多いのです。実は自衛隊には陸海空併せ、後継装備を喫緊に必要としている航空機が多種多様に並んでいます。これは、1998年の北朝鮮弾道ミサイル実験を受け整備開始となった弾道ミサイル防衛や島嶼部防衛へ多くの予算を割かれ、後継機選定の目途が立たない為のもの。

 AH-64E戦闘ヘリコプターかAH-1Z攻撃ヘリコプター、90機が調達のAH-1S対戦車ヘリコプター後継機です。航空打撃力として整備され、冷戦期にはソ連軍北海道上陸へ備え重視されていましたが、今日でも広大な南西諸島防衛に必須の装備です。後継はAH-64Dに一旦決まったものの、ミサイル防衛に予算を執られ調達計画が中断、宙に浮いたままです。

 MQ-8無人観測ヘリコプター、旧式化とともに急速に総数が縮小するOH-6D観測ヘリコプター後継機です。着弾観測から軽輸送に連絡任務と師団飛行隊や方面航空隊定数を満たすには150機程度が必要です。後継機に国産のOH-1が開発されましたが、予算不足で当初の250機調達計画は33機で中断、観測ヘリコプターは定数割れのまま自然減が続いている。

 CH-47F重輸送ヘリコプター、現在陸上自衛隊においてライセンス生産機の取得が進められている新型機、ボーイング社製、人員55名や重貨物を空輸できる。現在保有するCH-47J/JAの後継機で陸空自衛隊合せ約80機を装備しています。極めて高価な機体で、アメリカ陸軍に続く第二の保有国となっており、今後も順調にF型へ置き換えが進んでゆく事でしょう。

 MV-22可動翼機、南西諸島防衛に当たる水陸機動団の緊急展開用に17機が取得されます。既に日本用新造機は飛行試験中です。長大な行動半径と回転翼機の常識を超える巡航速度を有していますが、複雑な機構を有する為にF-35戦闘機並の高い取得費用を要し、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍に続く陸上自衛隊の配備で、海外輸出は我が国が世界初となる。

 F-35B艦上固定翼哨戒機、具体的な進展はありませんが、海上自衛隊がヘリコプター搭載護衛艦を全通飛行甲板型構造とした背景には、固定翼航空機の艦上運用を大きく意識していると断言できます。F-35Bは第五世代戦闘機ですが先進情報機材を集成し、従来哨戒ヘリコプターが担った対水上索敵等を可能とし、ステルス性により敵防空中枢艦勢力下においても任務遂行可能な機種です。

 E-2D早期警戒機、現在航空自衛隊はE-2C早期警戒機とE-767早期警戒管制機を運用していますが、早期警戒機増強事業を進めています。E-2Dは現在調達中で、中国軍航空機の九州沖縄及び西日本沖での行動が爆発的に増大している事を受けての施策です。運用開始から35年を経たE-2Cの老朽化も進んでおり、その後継機としてE-2Dは更に増強されます。

 KC-46A空中給油輸送機、航空自衛隊が旧式化したC-46輸送機の後継として、ではなく、KC-767空中給油輸送機の増強として導入するもの。ボーイング767旅客機を原型とするもので、KC-767の発展型といえる航空機です。航空自衛隊は年々増強される中国空軍へ限られた戦闘機での対応を期して、飛行時間を延ばすべく空中給油機の増強を決定しました。

 RQ-4無人偵察機、大型の滞空型無人偵察機で現在導入中です。自衛隊は戦闘機派生型のRF-4戦術偵察機等を運用していますが、海洋監視任務等の長時間任務には有人機では限界があり、当面3機を目処に調達計画を推進中です。飛行時間は実に37時間に達し、高精度先進複合監視装置は100km以遠から艦船動向や陸上施設を継続的に監視可能というもの。

 F-35A戦闘機の導入も進んでいます。今年度末にはF-35飛行隊準備隊が三沢基地へ新編され、来年度には百里基地からの飛行隊移転を以てF-35最初の飛行隊が創設されるほか、当面は2個飛行隊分の取得が進められていますが、F-15戦闘機初期型の機体も老朽化が進んでおり、ほぼ確実にF-35戦闘機が後継機となる見通しである為、取得数は更に増加する。

 政府専用機B-747の後継機としてボーイング777も飛行試験が進められており、アメリカから調達計画が進む航空機と、将来にわたり必要となる航空機は実は多種多様となっています。この他、航空機以外にも弾道ミサイル防衛に必須のイージスシステムの取得は、陸上型イージスシステム“イージスアショア”や8200t型ミサイル護衛艦等の建造を進めています。

北大路機関:はるな くらま
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