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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

中国-NATO東方拡大を警戒し異例の声明,日本経済新聞"NATO代表部日本事務所設置予定"報道受け

2023-05-05 07:00:55 | 国際・政治
■欧州との関係変化
 NATO東方拡大と云えば過去にロシアがNATOとのパートナー協定締結の際に将来的な加盟国と目された平和な時代もありました。

 日本経済新聞が5月4日に報道した“NATO代表部日本事務所設置予定”という、日本とNATO北大西洋条約機構の関係強化について、中国外務省は談話で、NATO東方拡大の危険性にたいして高度の警戒が必要、という見解を示しました。NATOの東方拡大といいましても、いまのところ日本にはNATO加盟の交渉さえ全く予定されていないのですが。

 NATO東方拡大、しかしNATO加盟に際しては加盟国同士の部隊指揮などを円滑化するために、士官はもちろん下士官に至るまで高度の英語力が求められ、更に装備体系もNATO標準装備が求められます。特に日本では英語の日常話者という職域はそれほど広いものではなく、日米同盟でも自衛官が米軍部隊を指揮する想定まではまだすすんでいません。

 日本は元々NATOとのパートナー国であり、NATOはグローバルパートナーとして、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、モンゴル、パキスタン、イラク、などを挙げています。そして単なるNATOパートナー国としては既に41か国が挙げられ、フィンランドがNATOに加盟しましたが、加盟国とパートナー国は世界の三分の一の国なのです。

 中国が警戒するのは何か、その背景にあるのは欧州の潮目でしょう。具体的には十年前にはなかった中国への警戒感の発露でしょう。ロイター通信は奇しくも同じ四日にイタリア政府が中国との一帯一路政策協定を更新せず2024年初頭に失効させる見込みをイタリア高官の関係筋として報道しています、いわば欧州と中国の蜜月関係終焉を警戒しています。

 欧州と中国の関係は2022年から続くロシアウクライナ戦争に際して、中国政府は中立という姿勢を強調していますが、NATO加盟国との温度差は、明らかにインドや韓国などほかの中立姿勢とことなり、同調している権威主義国家という位置づけで警戒感を示しており、繰り返しロシアへ武器供与を開始しない事、武器関連部品供給停止を要求しています。

 NATO東方拡大、加盟国という形で拡大する可能性はあるのでしょうか。わずかな可能性としてオーストラリアの今後の動向は未知数ですが、可能性は皆無ではありません。しかしそれ以上に、FOIP自由で開かれたインド太平洋理念、これに基づき、この地域における力による現状変更が世界へ波及することへNATOが関心を持つことを中国は懸念しているのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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