◆2013年度防衛予算へ三沢基地F-35運用基盤
防衛省は航空自衛隊の次期戦闘機F-35最初の配備基地を青森県三沢基地とする方針を発表しました。
青森県の航空自衛隊三沢基地は北部航空方面隊司令部が置かれ北日本の航空防衛の中枢であり、F-2支援戦闘機二個飛行隊を運用する第三航空団が展開しているほか、E-2Cの運用基盤があり、加えてF-16を運用する米空軍第35戦闘航空団が展開する極東地域有数の空軍基地となっています。
防衛省の2013年度予算には、F-35運用基盤として三沢基地へ配置する訓練用シュミュレータ等の設置調査費用800万円が計上され、防衛省によればF-2用強化型掩体など利用できる既存設備が多くある点が重視され、F-35最初の配備基地を三沢基地としたとのこと。
航空自衛隊は、新型の戦闘機を導入する際に最初の飛行隊を編成し、この飛行隊を元に機種転換訓練などをほかの飛行隊の飛行要員や整備要員に対し実施する、マザースコードロンという方式を採用し、F-4戦闘機では百里基地に、F-15戦闘機では新田原基地にマザースコードロンが置かれました。
マザースコードロンは、最初の飛行隊となると共に教育訓練支援が一つの任務となるため、余り緊張地域の近くに置くことは出来ず、この点がロシア機の影響を受ける北海道にほど近い三沢基地へ配備されることとなり、現在の西方、特に南西諸島へ安全保障上の影響が大きくなっていることを端的に示しているでしょう。
一方、三沢基地へ最初のF-35飛行隊が配置される背景には三沢基地の配備部隊という特色が反映されているとも考えられます。前述の通り三沢基地にはF-2二個飛行隊を有する第三航空団に加えて、米空軍がF-16二個飛行隊を以て編成する第35戦闘航空団が展開しており、この関係も多少考えられるやもしれません。
航空自衛隊の戦闘機部隊が展開しているのは、北方から千歳基地・三沢基地・百里基地・小松基地・築城基地・新田原基地・那覇基地、在日米軍で米海空軍海兵隊の戦闘機部隊基地は北方から三沢基地、厚木基地、岩国基地、嘉手納基地となっており、三沢基地は唯一日米の戦闘機部隊が展開する基地です。
日米の戦闘機部隊が展開しているほかにもう一つ此処から続き話があります、米空軍は日本における最初のF-35飛行隊を嘉手納基地のF-15戦闘機を中心に運用している第18航空団に編成する計画ですが、F-35は元来F-16戦闘機の後継機という位置づけであり、これは即ち三沢基地に対しても配備されることは言うまでもありません。
このことはF-35に関して日米での運用研究の情報交流が行えることを意味し、加えてアラスカなどでの訓練や日米共同の対戦闘機訓練などについても、特に頻度について訓練環境が良好となることを意味します。なによりもF-35は開発中の機体であり、日米同時に、とは言いすぎですが運用経験を蓄積するにはもってこいといえるのではないでしょうか。
ほかにも、三沢基地は弾道ミサイル脅威から距離があることと、これだけではなく三沢基地から遠くない車力分屯基地へ米陸軍が弾道弾警戒レーダ装置を持ち込んでいるため、ミサイルからの警戒監視体制では日本で最も安全な地域といえます。他の基地よりも三沢基地はこの点で有利ということ。
こうして後継機の配備が開始されるF-4戦闘機なのですが、F-4戦闘機は現在戦闘機部隊として茨城県の百里基地と宮崎県の新田原基地へ配備されています。三沢基地のF-2飛行隊二個は航空自衛隊で最も新しい戦闘機ですので、そのまま第三航空団のどちらかの飛行隊は転地されることとなる。
可能性としては、もちろん百里基地や新田原基地へ転地も考えられるのですが、例えばF-15とF-2を一個飛行隊づつ配備している福岡県の築城基地へ配備され、F-15飛行隊を更に転地、築城基地にF-2二個飛行隊を集中配備させる、という方策はあるやもしれません。もしくは、現在一個飛行隊基幹の那覇基地第83航空隊は近く二個飛行隊基幹へ改編される計画ですので、那覇基地への転地もありえるところ。
ともあれ、ようやくF-35の部隊配備が現実味を帯びてきました、最初の4機が三沢基地へ到着し配備が開始されるのはは2017年度以降とはなりますが、既に岐阜基地の飛行開発実験団にはF-35準備隊が発足しており、航空自衛隊はステルス機の時代の到来へ準備を進めることとなります。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
一方松島基地で被災したF-2は当初メンテナンスできるのはわずか6機といわれていましたが12機いけそうとか。
予算増額も結局落としどころは400億くらいとか。
早くGDPが昔の勢いで年々増加して欲しいと思っています。再登板の安部総理、さすがに安全運転、このまま行って欲しいもんです。民主党は予想をはるかに上回るダメ政権でした。
早く他の基地も掩体を土地を強制収容してでもじゃんじゃん立てるべきです。
初めまして。ご質問の件、私の知る範囲でお答えしておきます。
1.空自向けのF-35Aは「短距離空対空ミサイル(AAM)が搭載できない」と各種報道で書かれていますので、具体的にはソフトウェアにAIM-9Xサイドワインダーの運用能力が無いと思われますが、AIM-120は運用できないとは書いていないですし、実は2017年に岩国基地へ配備される予定の米海兵隊向けのF-35Bもどうやら同じソフトウェアを搭載している可能性が高いので、実戦運用自体は可能と思われます。
事実、米国防総省がF-35Bのソフトウェアについて「この状態でも既存の戦闘機よりも能力が高い」という公式見解を出しているとの事です。
2.松島基地で被災したF-2の修復状況ですが、現在補修中の6機に加え、更に7機分の補修費が平成25年度予算で要求されているので、合計13機の見込みとなっています。
3.平成25年度予算案における防衛予算増額は400億円に止まりましたが、これはあくまで昨年度予算と比較した数値であり、マスゴミお得意の「数字のトリック」です。
実はこの予算案、改定前(民主党時代の物)は平成24年度予算と比較して602億円の減少となるはずが、安倍政権による改定で平成24年度と同水準+更に「事項要求」として1000億円以上を上乗せしたものを当初要求していたので、実質的には「602億+400億=実は民主党の予算案よりも約1000億円の増加」と受け取るべきです。
また平成24年度補正予算の防衛関連予算では約3,251億円(契約ベース)という前例の無い支出がなされていますので、その辺も考慮した方が良いと思います。
以上の点を考えると、実は安倍政権は防衛問題に関して相当意識を持って取組んでいると見て良いでしょう。
F35はさっさとキャンセルして、小野寺五典防衛大臣、ファントムF4の更新と松島基地で水没した戦闘爆撃機F2の補充は、ユーロファイターのライセンス生産で80機は調達して欲しいですね。
三沢で、試作機を検討するなら、実戦配備なんて
まだ先、そんな金と時間に余裕があるのでしょうか?
同じロッキードの輸送機、給油機8機と注文入れ替えて、さっさとユーロファイターの訓練を、イギリスかスペインかで、やらせてもらった方がお金も、時間も節約できる。
もう、アメリカ製の飛行機をありがたがっていると、
B787と同じ運命ですね。
大体、F4とF2の置き換えなら、対艦ミサイルとか
マルチロールの機体がいいのでしょう?
素人一川防衛大臣の決めたことをひっくり返すぐらいでないと、出来ませんよ。
AIM-9XやAAM5等最新IR-AAMは発射後ロックオンが可能ですが、その為のプログラム開発、インテグレートが間に合っていないだけです。
F-2へのAAM5インテグレートも目途立っていない。
F-35に限らず最新戦闘機開発遅れは統合プログラムの遅れ。
最新高度化した兵器はスパイラル開発体制当たり前になっており、旧来の日本的感覚では永遠に管制しない、永遠に改良が続くともいえるでしょう。
失礼いたします。
ユーロファイターですが百里基地の第七航空団整備補給群の特集記事を以前、読みましたが整備も別物になるのは難しいとのこと
現在、第七航空団はF15J/DJ、F4EJ改、T4練習機、そしてRF4の四機種を整備されていますが南西航空団からの配置がえによりF4EJが基地に来てから整備士全員が整備出来るようになるには一年半以上かかったそうです。
現在の米軍機よりな施策、整備補給面からみても致し方ない部分は多々あります。
F15も、性能向上型と以前のものでは扱う機材も物品数も違います。全体では一万点を越えるといいます。
また、民生品レベルでも、米国式はミリ単位のネジ、欧州式はインチ単位のネジが主流です。こうした細かい違いで物品数が増大すると負担もかなり増えると思います。
おとしどころとしては、やはりF35なのでしょう。F18という選択肢はありましたが。
久我山のチ那ッピー 様へ
あのですね…既に別件で指摘しましたが、ユーロファイターは既に生産国の英国が将来F-35を後継機にすると報じているので、今更ライセンス生産しても中国のJ-20やJ-31(これは中国軍の要求で開発されたのではない、と言う説もあるが…)にフルボッコにされて終わりでしょう。もう非ステルス機で対応できるほど近未来の中国空軍は甘くないのです。
KGBtokyo 様へ
ステルス機とIR-AAMの意外な問題点をご指摘頂き、有難うございます。
最新高度化した兵器はスパイラル開発体制が当たり前になっているという件、一見すると不安ですが、よく考えたら今私達が使っているPCも時折OSや対ウイルスソフト等の更新を受けている訳で、それと同じ事だと思えば問題ないですね。
初めまして、よくわかりました。
詳細な解説どうもありがとうございました。
イギリスはユーロファイター232機を導入予定です。
F35は、最悪、艦載機として採用する予定のようです。
完成機を導入して、搭乗員訓練と、整備技術習得
で3年間をかければ、要撃ぐらいは出来る物にすればいい。
90式と04式対空ミサイルが使えるようにすればいい。最終的には、99式対空ミサイル4発と93式対艦ミサイル6発、90式もしくは04式対空ミサイル
2発で、海洋攻撃仕様が出来るようにすればいい。
それを使いこなせないと、だめですよ。
もともと、CCVでF2を作る予定だったのだから、ユーロファイターと同じ機体の構成だった。
国産ステルス戦闘機のエンジンXF5-1 アフターバーナーで5トンの推力、T4の次の練習機、攻撃機には使えるが、F-15の次期戦闘機のエンジンには非力で使えない。
EJ200エンジンもライセンス生産のが最適でしょう。偏向ノズルもつければいいし。
それくらい出来ないと、だめですよ。
大体、ファントムF4は退役するのだから、その整備をやる部隊は、一からやってほしいです。
設計思想の違う戦闘機の整備技術を習得するのはF35を採用するのは同じです。
J20,J31なんて、エンジンの性能も?でしょう。佐藤守のブログでは、相当煙を吐いている映像がアップされていました。
心神の試作機で、ステルス戦闘機の運用方法を考えることだ。
国産ミサイルを使えるステルス戦闘機を配備すればいい。
早い話が、ひそかに先制攻撃するのがステルス戦闘機。
>イギリスはユーロファイター232機を導入予定です
これ、イラク戦争前の計画ですね
トランシェ1が55機、トランシェ2が89機、トランシェ3が88機、こういう計画でした
現在はイギリスの国防政策見直しの影響でトランシェ1全機除籍、トランシェ2は24機をサウジへ転売し65機を調達、トランシェ3は開発中で開発費が確保出来ず困っていますが、とりあえずトランシェ3暫定型を40機導入する計画です
232機 → 105機、というところです
日本が採用すればトランシェ3の開発費を負担してくれる、と期待されていたのですが、これが叶わなかったのですよ・・・。
とある評論家の方が、余ったトランシェ1売ってくれよ、アップデートするから、とBAEの人に聞いてみたところ、アップデート費用だけで50億円くらいするとのこと・・・。