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【京都発幕間旅情】金生山神社,美濃赤坂探訪と旧蔵王権現宮は古生代ペルム紀地層上に建つ

2017-11-09 20:09:28 | 旅行記
■美濃赤坂金生山の金生山神社
 美濃赤坂、東京と結ぶ東海道本線旧大垣夜行終着駅大垣駅、かつては其の本当の終着駅は美濃赤坂駅で、中世より石材産出地として有名でした。

 金生山神社、赤坂明星輪寺へと金生山を登る道中に在ります神社です、元々は明星輪寺にあった蔵王権現宮が明治時代の神仏分離政策により独立したものです。当時は国家神道を奉じるための政府へ恭順するべく廃仏毀釈という恥じるべき文化財破壊が行われました。

 石灰岩を産出する金生山ですが、ともすればこの山そのものが全て削り取られてしまうのではないかという一瞬危惧にも似た感傷的な印象を受けますが、国が文化財の中でも重要文化財として指定したことで、赤坂明星輪寺の存在により山は守られるのかもしれません。

 金剛蔵王権現を祀る蔵王権現宮、究極不滅の真理を体現する金剛蔵王権現は釈迦如来と千手観音と弥勒菩薩が三位一体となり木々や山々と水や空気は勿論天地をも巡る力の源を司るとのことで役小角が吉野金峯山にて修験道を極めるべく修行中に降臨したと伝わります。

 社殿などは木造建築ではなくコンクリート構造となっていまして、拝観しますと山の中腹と山道に位置する神社の管理というものが難しいという事を考えさせられるものですが、併せて金生山化石館として金生山から産出の化石等が展示されていまして観光地でもある。

 ペルム紀、即ち古生代という恐竜が生きた中生代よりもひとつ前の時代地層が金生山には地表近くに位置しています。このペルル紀は中生代と古生代の境界線に当たる転換点で、このペルム紀末期の大変動により地球は一転し大量絶滅期を迎えたと地質学は語ります。

 ゴンドワナ大陸とパンゲア大陸がマントル対流と共に一体化し、シベリア大陸も衝突、内側へ内側へマントルに導かれて動いた結果、世界の大陸が一体化して中心部に逃げ場のない大陸地塊の凝集現象が起こり、更にその大陸地塊が膨大な圧力で押され、破綻しました。

 大量絶滅期とは、大陸同士の衝突により巨大な大陸地塊がマントルに落下、これがマントルの裂け目を生み、現在のシベリア平原に我が国本州島と同規模の巨大火口を穿ち、地球誕生以来最大の火山活動を引き起こしました、スーパープルームという巨大噴火発生です。

 P-T境界といいまして、大量の火山ガスは太陽を覆い氷河期を生むまでの短期間に高温ガスが地表を包み、急激な温暖化は海底メタンハイドレートの暴沸を誘発、地表温度は木材発火点摂氏250度以上まで上昇、その後氷河期が訪れ全地球氷結という大打撃となりました。

 釈迦如来と千手観音と弥勒菩薩が三位一体となり金剛蔵王権現を象ったと伝わりますが、P-T境界という大量絶滅期以前の様々な生物の化石が大理石や石灰石と共に産出されるこの金生山の中腹に金剛蔵王権現が祀られている、といいますと、何か納得するものがある。

 95%の生物が死滅し、これを境界線として両生類が勢力を弱め一億年後の恐竜時代へ転換した境界線となる事からP-T境界と呼ばれます。白亜紀末期恐竜絶滅の要因となった巨大隕石によるK-Pg境界よりも生物への被害は遥かに大きく、金生山化石館にはその化石が並ぶ。

 赤坂明星輪寺へは、その更に上の山頂を目指すのですが、まっすぐ舗装道路が山頂に向け続いている情景はある種壮観です、しかし、勾配が大きく転倒しそうな恐怖感があり、登山装備ならばいざ知らず、カメラバックを担いでの散策には非日常を感じる急斜面でした。

 俯瞰風景は、右手に岐阜城と名古屋市街地を望見しつつ左手に関ヶ原地峡を望む眺望は初めてで、これは素晴らしい。しかし急斜面故夜間車両通行禁止となり、途中ある茶店は残念ながら閉店、散策には難易度がありますが、山頂は自販機もあり眺望を堪能できました。

北大路機関:はるな くらま
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