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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G7X撮影速報】第10師団創立56周年記念守山駐屯地祭,名古屋の師団祭(2018-11-24)

2018-11-25 20:00:28 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■探訪,平成最後の第10師団祭
 東海北陸地方最大の大都市名古屋、そこには師団司令部があります、東海北陸地方の防衛警備及び災害派遣を担う第10師団司令部です。

 守山駐屯地第10師団創設記念行事へ行って参りました。第10師団祭はこのWeblog北大路期間がOCNブログ時代を含め2005年に創設されて以来、毎年いくことが出来ている数少ない自衛隊行事です。本年は連続14年目という事となりますが、快晴に恵まれました。

 守山駐屯地は名鉄瀬戸線守山自衛隊前駅前にあります。名鉄瀬戸線とは東武東上線のように本線から独立した運用系統となっていまして、名古屋市営地下鉄を乗り換えて乗車します。JR中央線からも大曽根駅で乗り換えることが出来ますが名古屋市の外縁というところ。

 第10師団祭、第10師団は師団改編前には第14普通科連隊、第33普通科連隊、第35普通科連隊、第49普通科連隊と四単位編成を採り、戦車大隊は4個戦車中隊58両、特科連隊は5個大隊火砲60門という非常に重厚な編成をとっていましたが、時代の流れは、と。

 師団改編は、中部方面隊最大の火力と打撃力を有する第10師団にあって、第49普通科連隊は中部方面隊隷下の方面混成団へ編入、戦車は半減し30両に、特科火砲も連隊は維持されつつも半減し30門へ、更に対舟艇対戦車誘導弾も全廃され、様々な装備を大きく減じた。

 軽装甲機動車が中部方面隊にて最初に配備された師団でもあり、観閲行進はなかなかの迫力がありますが、最盛期には一個連隊から軽装甲機動車を一個中隊、別の連隊からは高機動車を中隊規模で、ほかの連隊は重迫撃砲中隊、と観閲行進を実施した時代もありました。

 観閲行進、守山自衛隊前駅を降りて開門後の駐屯地に入りますと、行進を撮影する観閲台右手はもう既に多数写真愛好家が集まっていまして、これは脚立を準備しておらず流石に撮影できません、そんな中、個人的にすごい写真を撮るなあ、と感心している方が脚立を。

 自衛隊行事、脚立は航空祭のように禁止されていないのであればやっぱ重要だ、と思いつつ、昨今はデジタルカメラの威力で片手だけを伸ばしてカメラを掲げ、適当に撮影しても充分に良い写真が撮影できる時代となりました、いつもながら、技術革新はすごいですね。

 観閲行進、結局撮影位置を考えたのですが、手元には最強のEOS-7Dと28ー300mmISレンズがありますので、G7Xは文字通り補助、それならば絞り値を充分とって師団長閣下と観閲部隊を充分収められる構図、と観閲台から300m以上離れた位置から撮影しています。

 師団の装備ですが、そろそろ普通科連隊に中距離多目的誘導弾の配備を期待したいところ、併せて将来的に74式戦車は戦車大隊ごと偵察戦闘大隊へ改編が見込まれるのですが、戦車を廃止するのであれば、せめてRWS遠隔操作銃塔を搭載する装輪装甲車は必要では、と。

 通信装備、全国の師団旅団に野外通信システムの配備が完了して、戦術インターネット基盤が完成しました。実はこれはかなり重要な一歩です。そして元々の装備ですが、師団は対砲レーダ装置と対空レーダ装置に低空レーダ装置を有し、この点比較的充実している。

 装甲車両は充実しているとは言い難く、実質小型の軽歩兵師団、軽装甲機動車の乗車戦闘能力を補完するには装輪装甲車が必要と考えるのですが、戦術機動性という部分を陸上自衛隊がどう考えているのか、長い目で見てきましたが、今一つ予算不足、金科玉条の言い分以外が見えてきません。

 74式戦車の観閲行進、105mm戦車砲は今日的にも観るべき性能があるのですが、暗視装置の旧式化や弾薬配置における第三世代戦車との越え難い設計思想の相違、複合装甲の有無は勿論、製造後の根本的な老朽化によりいち早い後継車両の導入を必要としています。

 観閲行進、実際問題として五年後十年後はどうなるのか、戦車大隊を廃止するのは選択肢として既定路線ですが、その補完に当る近接戦闘部隊の装甲化や機動力付与、というものを真剣に考えているのかという部分がどうしても納得いく説明や論理に突き当たりません。

 訓練展示では野戦を展示しました。バトラー交戦装置を用いて実戦的な内容を展示していましたが、夥しい戦死判定が生じていまして、小隊規模の部隊との戦闘を数回繰り返すだけで中隊は戦闘能力を喪失するのではないか、という根本的な懸念が改めて、という感じ。

 攻撃機動を戦術面から立案する場合、包囲か突破か迂回ないし浸透、という要素が一般論として存在するのですが、優先目標や敵集結予測点と間隙や地形を機動力と火力支援により上記攻撃機動を採る訳です。しかし、現在は古くとも戦車があり火砲もあるのですが。

 戦車を有さない場合の接敵行動は機動力と両立しえるのか、戦果拡張と追撃に際し現在の装甲車両は攻勢時間という戦機の制約下で充分な機動力を提供し得るのか、即応機動連隊型の普通科連隊を増勢する選択肢や自走迫撃砲型火力支援車といった検討はあるのかなど。

 バトラー交戦装置は、離隔距離の短い地域で使用したならば必然的にああいった結果となることはある種当然ではあるのですが、市街地戦闘では当然発生し得る距離において、やはり、多数の想定死傷者という実情を見せられますと、装甲車両の不足、これは頭痛い。

 実際問題として改編前の第10師団の装備について、通信装備等は現状の通り置き換えるとして、その上で74式戦車を10式戦車に更新し、普通科連隊の一個中隊でも96式装輪装甲車により充足させる事が出来ていれば、こうした憂鬱を感じる事も無かったのかもしれませんね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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