北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

将来小型護衛艦の量的優位重視視点【1】 将来三胴船方式による将来艦艇についての考察からの新編

2016-05-01 22:28:33 | 先端軍事テクノロジー
■新しい小型護衛艦の必要性
 将来三胴船方式による将来艦艇についての考察、として掲載しました連載の姉妹特集、将来小型護衛艦の量的優位重視視点、というものが必要ではないか、という特集です。

 海上自衛隊の護衛艦について、1995年の防衛大綱改訂においてそれまで約60隻という護衛艦勢力が約50隻へと大きく改められると同時期から海上自衛隊の護衛艦は大型化と転換しました、安易に数的不利を質的優位へ転換しようという反映ともいえるのかもしれませんが、他方1995年の新防衛大綱以前からミサイル護衛艦は護衛艦はたかぜ型から護衛艦こんごう型へ、汎用護衛艦も護衛艦はつゆき型から緊急時にはヘリコプターを2機搭載可能となる護衛艦あさぎり型へと拡大しています。

 他方、むらさめ型護衛艦として、あさぎり型護衛艦に続く新護衛艦は更に大型化し、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型、しらね型、という艦隊直轄艦に位置付けられた護衛艦と排水量で迫るものとなっています。むらさめ型以降、汎用護衛艦は、たかなみ型、あきづき型、と基本的に基準排水量5000tという規模が定着しており、ミサイル護衛艦についても、一時はミサイル護衛艦こんごう型に続く護衛艦は基準排水量で6000t程度に抑えられるのではないかとの視点はあったのですが、結果的に7700tへと大型化し、満載排水量では10000tに達する大型艦となりました。

 ヘリコプター搭載護衛艦についても、汎用護衛艦と同程度の装備に艦砲主体の兵装を有し航空機運用能力を重視した第一世代型ヘリコプター搭載護衛艦と今日的には区分される護衛艦はるな型、しらね型を、置き換える事となったのは全通飛行甲板型護衛艦である護衛艦ひゅうが型でした、ひゅうが型は満載排水利用では19000tという非常に大型の船体を有しており、艦種区分はDDH,即ち駆逐艦を国際的に示す指標を用いている事から完成当時は世界最大の駆逐艦、と揶揄されましたが。

 ヘリコプター搭載護衛艦いずも型は満載排水量で27000tと、全通飛行甲板を有する巨大な護衛艦となり、観艦式では哨戒ヘリコプター5機を飛行甲板に並べ航行する威容を世界に示しています。全通飛行甲板を有する航空機運用能力は航空機を新型に置き換える事で水上戦闘艦としてのシステムを即座に更新する事が出来、SH-60哨戒ヘリコプターのみを搭載する状況では対潜戦闘を中心に対水上戦闘等を補完的に行う能力を保持しています。

 全通飛行甲板を備えた護衛艦は、SH-60哨戒ヘリコプターを運用する事で高い能力を発揮出来ますが、しかし、MH-53E掃海ヘリコプターやMCH-101掃海輸送ヘリコプターを搭載すれば掃海母艦へ、AH-64D戦闘ヘリコプター,UH-60JA多用途ヘリコプター,CH-47JA輸送ヘリコプターを搭載すれば航空輸送艦として水陸両用作戦にも対応出来、将来的にF-35Bが採用されるならばその運用の幅はさらに高まる事となるでしょう。

 しかしながら、航空機により迅速に作戦展開は可能となっている訳ですが、稼働率の上限から展開できる海域には限度があり、そして数が限られ任務が増大する事で、出港すれば中々帰港する事が出来ず、上級司令部から艦隊の広報活動を縮小してでも艦隊を休ませるよう通達されるなど、数の不足という問題を突き付ける事となりました。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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