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平成24年度日米共同訓練国内における米陸軍との実動訓練 10月24日~11月7日実施

2012-09-30 23:27:52 | 防衛・安全保障

◆饗庭野演習場、ストライカー装甲車演習参加!

 平成24年度日米共同訓練国内における米陸軍との実動訓練の概要が発表されました。指揮官は第10師団長松村五郎陸将、在日米理う軍司令官マイケルTハリソン少将との発表です。

Nimg_2369 本年の日米共同訓練は陸上自衛隊第10師団と米陸軍第25軽歩兵師団が参加し、実施されます。第10師団は名古屋に司令部を置き、四個普通科連隊と特科連隊に戦車大隊を編成に有する師団で、第25軽歩兵師団は戦車に代え攻撃ヘリコプターを配置し高度に自動車化された師団ですが、2004年の師団改編により第1ストライカー旅団戦闘団、第二ストライカー旅団戦闘団、第3歩兵旅団戦闘団、第4空挺旅団戦闘団、航空旅団という機械化部隊と空挺部隊を統合した理想的な機動力を持つ旅団となっています。

Nimg_6053 訓練は滋賀県の饗庭野演習場において実施されます。第10師団からは久居駐屯地の第33普通科連隊を中心に600名の要員が参加、演習へは89式小銃やMINIMI機銃、9mm拳銃や12.7mm重機関銃に加え、81mm迫撃砲、01式軽対戦車誘導弾、そして第10戦車大隊の74式戦車と第10飛行隊のUH-1多用途ヘリコプターが参加するようです。おそらく、普通科連隊からの参加規模から高機動車や軽装甲機動車も参加することとなるのでしょう。

Nimg_2388 ストライカー装甲車を米陸軍は持ち込みます。第25軽歩兵師団からはハワイ駐屯の第2ストライカー旅団戦闘団より第1-14歩兵大隊を基幹とした750名の部隊が参加し、M-16小銃、MINIMI機銃、M-240軽機関銃、M-82対物狙撃銃、M-24狙撃銃、AT-4対戦車ロケット、60mm迫撃砲、81mm迫撃砲、ストライカー装甲車が参加するとのことです。ストライカー装甲車とは、装甲戦闘車と野戦高機動車の中間を担う八輪式装輪装甲車として今世紀に入り米陸軍に大量配備された装甲車です。

Nimg_2272 日米共同訓練ですが、陸上自衛隊から600名、米陸軍から750名という規模で米陸軍がストライカー装甲車を持ち込む、というのはかなり稀有な事例のように思います。歩兵大隊基幹というと、装甲車の車両数の規模はそれなりのものとなるわけで、道路上を迅速に起動しこれまでの重装甲部隊では対応できなかった機動力を有する装甲車両群による緊急展開を念頭に部隊の前方展開を改める具体的施策となったこの車両が我が国の演習場地形においてどのような運用が為されるのか、かなり興味の湧くところ。

Nimg_6624 実は、とある安全保障系の研究所、その主任の方に陸上自衛隊の師団を機甲師団以外全て米陸軍のストライカー旅団に置き換えたほうがいいのではないか、というお話を伺ったことがありました、イラク戦争の翌年の話です。しかし、一個ストライカー旅団には400両以上のストライカー装甲車があり、仮に機甲師団以外に14個旅団所要と中央即応集団所要を導入する場合、所要数は単純計算で6000両となり、耐用年数を考えれば年間300両以上で中期防あたり1500両の装甲車を自衛隊が導入することは現実的なのだろうか、という討議をおもいだしました。

Nimg_2254 別の方で、研究者でありながらいわゆる通の方では、連隊戦闘団を戦車と航空機を統合した40個のMEU海兵遠征隊編成に切り替えてはどうか、という話しもありましたが、・・・、まあ、それはさておき。訓練は饗庭野演習場及び今津駐屯地において10月24日から11月7日にかけ実施されるとのこと。陸上自衛隊及び米陸軍がそれぞれの指揮系統に基づき共同した運用を行うという訓練、連携要領の実動を通じた運用などを演練すると発表されており、その成果が抑止力として機能するところを願います。

北大路機関:はるな

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