北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ヘリコプター護衛艦くらま就役30周年記念一般公開⑨ 護衛艦くらま佐世保出港

2012-09-13 22:55:00 | 海上自衛隊 催事
◆くらま出港!湾内で撮影!!
 佐世保三日目、最終日の朝、遂に護衛艦くらま佐世保出港の様子を撮影することが出来ました。
Kuramaimg_9032_1 ここから本日は連続写真です。くらま、その護衛艦としての紹介はこれまでに何度も紹介しましたので、撮影などを経ての感想を掲載するとともに、じっくりと背負い式艦砲とマックに艦橋という上部構造物に長大な飛行甲板、美しい、はるな型以来のヘリコプター搭載護衛艦の艦容を見ていただきたいと思います。
Kuramaimg_9042_1 鞍馬、旧帝国海軍では巡洋戦艦鞍馬として有名ですが、戦時中の海軍拡張計画に基づく航空母艦鞍馬、として終戦には間に合わなかったものの建造されていた艦名を引き継いだのが護衛艦くらま、でして、空母鞍馬、よりは排水量は小さくなるのですが遅れて完成した、という印象で見ると違って見えるやもしれません。
Kuramaimg_9052_1 くらま就役30周年記念特別一般公開ということで、佐世保へ展開したわけなのですけれども、大事を取って月曜日に長さっ空港からの便を予約しておいたのが正解でした。日曜日の夜の便も考えていたのですけれども、あまり詰め込み過ぎた行動計画ではかえって難しい、ということで月曜日午後一のフライトとしたわけ。
Kuramaimg_9062_1 特別公開第一日目には、基地での護衛艦くらま、を見学するとともにもっと良いアングルから撮影することはできないものか、と佐世保の撮影ポイントを詳しく知らなかったため文字通り上がったり下がったり東奔西走北上南下、良いといわれる場所が明らかに私有地で断念したり、建物の陰に入っていたり。
Kuramaimg_9072_1 そして体験航海という事を知ったのですが、基地の近くに住んでいる場合を除けば、中々護衛艦の出入港というものは見えるものではありません。もっとも、この時点では知らなかった話で、こののち2011年12月に佐世保入港の様子を、2012年3月に江田島出港の様子を撮影する機会には恵まれたのですけれども。
Kuramaimg_9082_1 くらま。見上げますと、この艦容は独自、日本ならではのものだからこそ、印象に残ります。DDHという呼称そのものが独特のもので、ヘリコプターの運用を余り行わない海軍などではほかの水上戦闘艦と区分するためにヘリコプター搭載艦艇をDDHと呼称する場合もあるのですが、日本の呼称はもっと独特です。
Kuramaimg_9092_1 はるな、最初のDDH就役に際してはやはりヘリコプターを搭載する唯一の護衛艦、という意味合いであったのですが、くらま就役の時点ではヘリコプター一機を搭載する護衛艦はつゆき型の量産が開始されており、それよりも大型対潜哨戒用のヘリコプターを集中運用する航空中枢艦、という意味合いが強かったわけですね。
Kuramaimg_9102_1 しらね型、これは石油危機の関係で縮小された第四次防衛力整備計画の護衛艦なのですが、実はこの時期に汎用護衛艦にもヘリコプター搭載の計画があり、しかし、汎用護衛艦はのちの、はつゆき型よりも小さかったためもう少し小型のヘリコプター搭載を考えていたそうです。石油危機を契機とする計画中止で、DDHと同じ大型機を搭載する護衛艦はつゆき型、とおわまったのだとか。
Kuramaimg_9112_1 HSS-2B,くらま最初の艦載機はこの懐かしい機体だったのですが、これは米海軍が空母の対潜用に搭載していたSH-3と同型、吊下ソナーを搭載するかなり高度な対潜哨戒機でした。その後米海軍は駆逐艦やフリゲイト搭載用にSH-60Bを導入するのですが、水上戦闘艦のセンサーの延長という位置であり、対して海上自衛隊は吊下げソナーを搭載する対潜機としての性能を重視したSH-60Jを開発しました。
Kuramaimg_9122_1 さてさて、この日の天候ですが青空を背景に護衛艦、という情景を期待したのですが洋上からの撮影は航路の関係上、逆光となってしまう配置です。すると、曇りの方がしっかりとした情景に出会えるはずなのですが、天候というものは撮影の中でも非常に運に左右されるものがあり、多少不安は抱えていたけれども、この通り当日の天候は曇りです。
Kuramaimg_9132_1 絞りなどを+補正にしまして、もちろんあまり補正をかけすぎると画面が光を拾いすぎてしまい真っ白になってしまいます。気を点けつつ、デジタル一眼レフ最大の強みはフィルム式カメラでは不可能であった、ためしに一枚撮影して露出やシャッター速度とISO感度を調整できるという事、慎重に準備します。
Kuramaimg_9142_1 くらま洋上撮影はこれ一回、緊張度はブルートレインを撮影するときの様、いや、早朝の山崎駅で寝台特急なは・あかつき号を撮影したことを思い出しました。あかつき号、残っていれば長崎に行くのに便利だった。ただ、ブルートレインは失敗しても翌日に同じダイヤに基づく動くのですが、護衛艦となるとそうはいきません。
Kuramaimg_9152_1 写真はある程度うまく撮影できたことはこの連続写真を見て判断していただくこととしましょう。2011年12月の撮影では、日の出の逆光が美しくシルエットを際立たせた写真を撮ることが出来ましたし、江田島出港では天気に恵まれ、順光の環境で出港する様子を理想的な写真を撮ることが出来ました。
Kuramaimg_9162_1 くらま、この護衛艦しらね型ですが、最初は対潜巡洋艦として計画されていた護衛艦で、8000t級のミサイル巡洋艦と対潜巡洋艦を建造して巡洋艦隊を護衛艦隊に置く案や、全通飛行甲板型巡洋艦を建造する計画もありましたが、石油危機で見直され、今に至ります。なにやらロマンを引き立てる響きですが、四個護衛隊群の能力の均衡を考えれば、くらま、はこの状態でよかったのだと思います。
Kuramaimg_9172_1 新冷戦時代には、護衛艦隊を七個護衛隊群に拡張する案や、大型航空母艦を導入する案が自民党から出されたこともありましたが、現在の経済状態で護衛艦隊がその規模を維持できているのは、この四個護衛隊群という編制が石油危機の景気後退を背景に達成された、まさに不景気対応型の編成だったからこそ、維持できているのではないか、そう考えているところ。
Kuramaimg_9182_1 まあ、いろいろと長く書きましたが、これら写真を撮影している時間はほんの一瞬、EOS-7Dの連写機能を最大限活かしての撮影でした。PowerShotG-12の導入はこの写真を撮影した約二週間後、今では例えるならば小銃と拳銃、艦砲とミサイル、そんな関係でEOS-7DやEOS-50Dとの連携で撮影に活躍しているもの。
Kuramaimg_9192_1 さてさて、護衛艦くらま特集は、番外編的なものを紹介する次回と、そして総集編を掲載して完結です。実質三カ月から四カ月ほどの長い特集記事でしたが、次は何を紹介しようか検討中です。舞鶴展示訓練か大阪湾展示訓練、一転して航空自衛隊特集で、入間基地航空祭や新田原基地航空祭か那覇基地航空祭、なんかもいいやもしれません。
Kuramaimg_9202_1 南海トラフ地震への備え特集記事も間もなく完了しますが、続いて来年度防衛予算概算要求分析記事を作成するか、こちらを不定期連載という扱いにして島嶼部防衛の記事を紹介するのか、自衛隊行事紹介記事を陸海空三本立てとして、これに防衛産業特集を組むのか、サイドバーの“最新の記事”10本に各特集を1記事づつ紹介できるよう、検討中です、お楽しみに。
北大路機関:はるな

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コメント (2)
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