北大路機関

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ロンドン五輪中の紛争抑止?嘉手納F-22展開と原子力空母ジョージワシントン横須賀帰港

2012-07-30 23:18:41 | 国際・政治

◆前回の北京五輪ではグルジアがロシア軍を攻撃

 ロンドン五輪、女王陛下の降下に始まり(違)、柔道判定方式の複雑さとサッカー連勝と我が国代表選手団が奮闘が伝えられるところですが、安全保障では安穏と中継に釘づけとはなれないもよう。

Pimg_3243 開会式と同じころ嘉手納にF-22が展開、原子力空母ジョージワシントンは8月4日までリムパック2012が実施される中横須賀へ帰港しました。オリンピックと戦争、関係無いように思われるやもしれませんがオリンピックを筆頭とした国際スポーツ大会下では世界の耳目がスポーツに集中するため、軍事的侵攻を行う場合に世論を逸らす格好の時期ともなっています。また、ワールドカップ等が行われる際には戦争も一時休戦となった、という話題が提示されることもあるのですが、休戦までの戦果拡大と期間中の戦力蓄積は無視してはなりません。

Pimg_1959 そこで、ですが勿論すべてではないにしろ、この時期にF-22が嘉手納に展開、MV-22は岩国へ到着、原子力空母ジョージワシントンは横須賀に戻っています。考え過ぎと言われるかもしれませんが、2008年の北京五輪では、開会式が行われるまさにその時、グルジア軍が南オセチア自治州に駐留するロシア軍を奇襲攻撃し、プーチン首相は北京の開会式開場にて戦争を仕掛けられたことを知りました。ロシア軍は二個師団を以て反撃に転じ、アメリカの仲介を元に停戦に至りましたが、今も緊張が続くところ。

Pimg_8905 特に警戒を要するのは南シナ海や台湾近海における突発的緊張で、この緊張は適切な抑止力により防ぐことが出来ます。F-22戦闘機8機が嘉手納基地へ前方展開したことで、ステルス機の存在は制空戦闘に革命的な不確定要素を供するものですから約50機のF-15CとE-3早期警戒管制機を有する嘉手納の第18航空団の能力は大きく嵩上げされることとなりますし、ジョージワシントン横須賀帰港により第五空母航空団の厚木航空基地への配置の抑止力は大きく、岩国航空基地へ展開しているMV-22の潜在的抑止力も少なくない。

Pimg_7147 特に原子力空母ジョージワシントンの横須賀既往が比較的早いのはある種意外でした。現在ハワイ沖において環太平洋合同演習リムパック2012が実施中で、海上自衛隊からは護衛艦しらね、みょうこう、等が参加していますが、リムパックは8月3日まで実施、ジョージワシントンはリムパック期間中に戻ってきた、ということなのです。参考までに海上自衛隊の派遣部隊は早引きなどはせず、護衛艦部隊の帰国は8月19日なのですから、ジョージワシントンの早退はある種意味があるといえるでしょう。

Pimg_2841 特に過去一か月間を俯瞰すればCCTVによる中国新中古空母公試映像の公開や国際領有権紛争地南沙諸島における中国の三沙市成立、中比間の海軍艦艇対峙と中国コルベットのフィリピン沖での座礁など、注意を要する事案は連続していまして、次の一手が安定と秩序を根底から覆す痛打とならないよう、この地域の安定が世界の利益に寄与することがアメリカの国益と繋がる、という国是の下で責任ある行動を取っている、といえるやもしれません。

北大路機関:はるな

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コメント (2)
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