北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

富士学校創設58周年祭PowerShotG-12速報後編 富士教導団特科教導隊・戦車教導隊

2012-07-10 21:08:11 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
◆富士学校祭2012
 富士教導団観閲行進予行、前編に続く後編はは特科教導隊、戦車教導隊の観閲行進の様子をお伝えしましょう。
Fimg_7963 特科教導隊第一中隊と第二中隊はFH-70榴弾砲を運用しています。FH-70は欧州共同開発の榴弾砲で、機動性が高い牽引式榴弾砲に半自動装填能力や高い発射能力に持続射撃能力を付与したものの、自走榴弾砲並みに取得費用が高くなり欧州では配備が進まなかったものが、我が国では道路事情に合致し、高性能ということで配備が進みました。最大射程は30km、ただ、特殊装薬を用いた場合39kmにも達する。
Fimg_7993 特科教導隊第二中隊のFH-70榴弾砲。高性能装備であることは間違いないのですが、旧式化しているのも事実、そこで防衛省では火力戦闘車という52口径155mm砲を装輪車両に搭載する自走榴弾砲開発を開始します。一効力射の極限短縮化を目指す陸上自衛隊特科装備体系から、恐らく自動装填装置を搭載した高性能砲、ボフォースのアーチャーHSPのようになるのかもしれません。
Fimg_8012 特科教導隊第三中隊の99式自走榴弾砲。日本製鋼所を主契約企業として国産開発した52口径155mm榴弾砲。自動装填装置による射撃速度の速さは世界的に見て高性能であり最大射程は30km以上とされています。日本製鋼所の砲身技術を考えた場合、性能限界を示す最大射程は40km程度ありそうなのですが、こればかりは広大な射撃場を持つ北米で試験をしないとわからないところ。
Fimg_8038 特科教導隊第四中隊の203mm自走榴弾砲。一発あたりの砲弾重量は91kgと大きく、威力も我が国他法としては最大の威力を発揮します。米陸軍のM-110を車体のみライセンス生産により取得したもので、軍団直轄砲兵、自衛隊では方面特科部隊の装備ですが重砲ながら徹底した軽量化を実現したもの。
Fimg_8086 特科教導隊第六中隊の88式地対艦誘導弾。射程180kmの地対艦ミサイルでプログラムされたデジタルマップに沿って低空飛行し内陸から洋上へ進出します。特科教導隊第五中隊にはMLRSが装備されているのですが、MLRSは教育支援に当たっているため、今回は装備品展示にのみ参加となっていました。
Fimg_8118 特科教導隊第303観測中隊の対砲レーダ装置P-16,このほか80式気象測定装置やJMMQ-M2対迫レーダ装置JMPQ-P13が装備されているほか、無人ヘリコプターである遠隔操縦観測システムなんかも装備されています。特科火砲は目標の位置情報を得て、気象条件に応じて運用し、適切に修正しなければ命中率は違ってくるというもの。
Fimg_8140 教育支援施設隊、富士教導団の戦術研究などを行うにあたって、実際に普通科部隊の陣地構築や機甲化部隊の障害突破能力は施設学校の施設教導隊が支援を行うことが望ましいのですが、施設学校は独自の教育体系に依拠した任務に当たっています。こで、実際に施設科部隊の支援を富士教導団独自で運用することとなったためこの部隊が置かれました。
Fimg_8168 教育支援施設隊の観閲行進、掩体掘削装置や92式地雷原処理車、それに91式戦車橋なども見えます。装甲ドーザや地雷原処理車は師団施設大隊や旅団施設部隊から方面隊へ集約されているのですが、建設工兵としての方面施設と、戦闘工兵としての第一線施設部隊、この区分はある程度考慮してほしいですね。
Fimg_8228 戦車教導隊。昨年までは戦車教導隊は五個戦車中隊を基幹としていましたが、今年度に一個中隊削減され、四個中隊となりました。そして最新鋭の10式戦車を基幹とする中隊が発足すると共に、74式戦車の中隊は一個となりました。74式戦車の戦車教導隊における少数派への転換、これも時代の流れというものでしょう。
Fimg_8258 戦車教導隊第一中隊の10式戦車、機動力打撃力防御力について90式戦車を全般的に凌駕しつつ車体重量と44tを最大限小さく収め、第三世代戦車近代化において標準装備されつつある車体間データリンク装置搭載による共同交戦能力付与、世界初技術となるアクティヴサスペンションと無段式変速機を搭載した最新最高の国産戦車です。
Fimg_8298 10式戦車。一斉に耐用年数を迎えつつある74式戦車を置き換える装備として注目されており、十年ほどで74式戦車をほぼすべて代替することが期待されています。しかし、第一線整備や激減する戦車定数下での小部隊運用など研究が必要な分野は多く残っており、戦車教導隊での研究が今後の戦車体系に大きく影響することは間違いありません。
Fimg_8319 戦車教導隊第二中隊の90式戦車。120mm戦車砲、複合装甲、1500馬力エンジンという第三世代戦車三要素を満たし、自動装填装置の搭載による車体小型化を成功させた世界一級の主力戦車。ただ、第三世代戦車としては最も軽量な50tとしたものの、なお我が国内では重量が運用に支障を来し、広大な地形と道路環境を有する北海道に集中配備されました。
Fimg_8360 戦車教導隊第三中隊の90式戦車。第三世代戦車は、第二世代戦車が対戦車ミサイル技術の発展を背景に防御力の限界を来したという発想で、当時としては強力な長砲身105mm砲と機動力により防御力即ち装甲の薄さを補うという発想で設計されていますが、第三世代戦車はチタンとセラミックの複合装甲が対戦車ミサイルや戦車砲防御へ必要な装甲厚を維持し軽量化を実現したため、強力な戦車砲とともに機動力と防御力に打撃力を両立したものとなっています。
Fimg_8399 戦車教導隊第四中隊の74式戦車。105mm砲を装備し、流線型で構成された砲塔は砲弾の直撃を回避させることを意図しており、懸架装置を前後左右車体傾斜可能なものとして地形防御を最大限生かす我が国の起伏にとんだ地形を防御とする設計、当時最新の電子計算機により優れた射撃精度を有する戦車として約870両が生産されましたが、順次用途廃止が始められています。以上が予行の観閲行進でした。
北大路機関:はるな

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