北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空自衛隊F-15J航続距離延伸への提案

2007-02-16 12:40:54 | 先端軍事テクノロジー

■燃料5トンを機外に搭載

 1980年代の話である、マクドネル・ダグラス社による“燃料5トンを機外に搭載 意外、変わらぬ飛行性能”という広告が日本の軍事専門誌などに掲載されていたことをご記憶の方はどのくらいおられるだろうか。

Img_7402_1  航空自衛隊では1981年より要撃機としてF-15Jの導入を開始し、複座型を含め約200機が本土防空を担っている。F-15Jは、ヴェトナム戦争中の米空軍航空機が実質的に多用途作戦機化し、航空戦闘に際してはミサイル発射母機としての性能を重視しすぎたことから、再度、空中戦闘機動性能の重視を盛り込んだ戦闘機として設計され、推力重量比(エンジン出力と航空機重量の比重、機体の強度にも左右されるが、エンジン推力が航空機重量に対して大きければ大きいほど高い機動性を発揮する)に重点を置いたことから大型の機体ながら高い空戦能力を有し、同時に容量に余裕のある設計は、電子戦装備やアヴィオニクスの近代化を可能とし、近代化改修を施すことによりかなり長い間の第一線航空機としての任務を担うことが可能である。事実、F-15は米空軍やイスラエル空軍により多くの実戦経験を重ねてきたが、中射程空対空ミサイルであるスパローミサイルによる戦果がその主柱を占めることから、単に空中機動性能に優れている航空機に留まらない部分を見ることが出来る。

Img_1278  さて、F-15Jのみならず、多くの航空機は航続距離を延伸する目的で増槽とよばれる燃料タンクを搭載する。

 写真の四機編隊のF-15Jはそれぞれ胴体下部に増槽を一つ搭載しているが、長距離フェリー時などでは最大で3増槽を搭載し飛行する。

 しかし、この増槽は空気抵抗を招く為、戦闘に際しては余程のことがない限り空中投棄し、航空戦に臨む。

Img_8208_2  当時のマクドネル・ダグラス社によれば、胴体空気取り入れ口部分から後部にかけて密着する形状でのコンフォーマルフューエルタンクは5トンの燃料を空気抵抗を殆ど増加させること無く搭載することが可能で、実質的に75%の燃料を増加させることが可能であるという。

 更にこのタンク部分は15分間での取り付け、取り外しが可能であるという。また、タンク部分にミサイルの搭載が可能であり、レーダー誘導ミサイル4発などを搭載することが可能である。

Img_9502_1  このコンフォーマルフューエルタンクは、試験を実施している写真以外見られないことから、結果的に要撃型のF-15Cへの装備は見送られたようで、恐らく米空軍の場合充分なKC-135空中給油機により航続距離を補うことが出来るとの考えが根底にあるのではないかと推測する。しかし、ダッシュ4としてF-15Eの標準装備として採用され、500ポンドJDAMでタンク部分を左右あわせ12発が搭載可能となり、重量増加分を補う燃料搭載により戦闘行動半径を高く維持し、任務遂行能力の強化に寄与している。

Img_8226_1  さて、航空自衛隊では老朽化したRF-4系統戦術偵察機の後継として近代化改修に対応していない非MSIP機をRF-15偵察機に改修し、将来的には可能性として電子戦機へのF-15Jの改修も構想自体は存在するといわれるが、空中機動性能よりも航続距離が重視されるこうした任務に対応させる観点から、コンフォーマルフューエルタンクの追加装備という構想もあってはよいのではないだろうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
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