北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

護衛艦隊旗艦“たちかぜ”自衛艦籍除籍

2007-02-10 15:57:15 | 海上自衛隊 催事

■航跡は消えず、白波とともに明日へ

 既報の通り、1月15日、海上自衛隊横須賀基地において護衛艦隊旗艦であるミサイル護衛艦“たちかぜ”が30年9ヶ月の任務を完了し退役、自衛艦旗を返納した。

Fh010023  “たちかぜ”は“たちかぜ”型ミサイル護衛艦のネームシップで、1971年度計画により三菱重工長崎造船所において建造、1976年に就役した。“あまつかぜ”に続く海上自衛隊二隻目のミサイル護衛艦にあたり、ターターSAM(スタンダードなのだが海上自衛隊の方にはターターとも聞いた)を用いて艦隊防空を担う艦である。基準排水量3850㌧、満載排水量5200㌧で、全長は143㍍、全幅14.3㍍、蒸気タービン二基により60000馬力の出力を誇り、最大速力は32ノットに達する。

Fh010024  Mk13SAM単装発射機から発射されるスタンダードSM-1MRは射程18kmとされ、シースパロー短SAMが一般化する以前は5in砲を越える重要な艦隊防空装備であった。

 就役後は第二護衛隊群に配備され、1993年に横須賀の第四護衛隊群に配備、その後1998年3月より護衛艦隊旗艦の任務に就いた。本艦は45277時間もの間洋上にあり、観艦式に六度、環太平洋合同演習に六度参加している。

Fh020020  “たちかぜ”は1980年にOPS-11対空レーダー、ミサイル警報装置OLR-9B、チャフ発射機を搭載する近代化改修を実施し、1986年には対艦ミサイルに対する個艦防御力の向上を期しCIWS20㍉高性能機銃を搭載しESM装置を新型に換装した。その後1997年より護衛艦隊旗艦への改装が長崎で実施され、後部の5in砲一門が撤去、ここに司令部設備を構築した(この改修工事の様子を撮影したのだが、写真が見つかり次第掲載したい)。なお、以上三枚は伊勢湾展示訓練の際に撮影したものだ。

Img_1123  護衛艦隊旗艦としての威容を感じさせる一枚。

 舞鶴基地での護衛艦隊集合訓練において撮影したものである。舞鶴基地には海上自衛隊最初のミサイル護衛艦“あまつかぜ”の主錨が保存されており、その“あまつかぜ”就役より11年を経て建造されたのが本艦であるが、満載排水量の“あまつかぜ”の3850㌧からの増大から見られるように上部構造物の容量増大や火砲、対潜装備などはかなりの充実をみている。

Img_1125

 2006年の護衛艦隊集合訓練では“たちかぜ”型の“DDG-168たちかぜ”“DDG-169あさかぜ”“DDG-170さわかぜ”全てが集結した。

 晴天の青空を背景に日本海は舞鶴に錨をおろす三隻。平素はそれぞれ護衛艦隊旗艦、第4護衛隊群第64護衛隊、第2護衛隊群第62護衛隊に所属していることもあり三隻が揃った写真は珍しいのではないか。

Img_1142  なお、新型イージス護衛艦“あたご”の就役により退役する“たちかぜ”であるが、現在建造中の“あしがら”就役と共に二番艦の“あさかぜ”も退役すると思われる。

 本艦の上部構造物は特に正面から見た際に“たかつき”型DDKを思い出させるのは小生だけであろうか、“きくづき”は小生が初めて体験航海に乗艦した艦であり思いで深いからやもしれないが一時代の日本型艦容であるようにも思う。

Img_1401  舞鶴基地での夜間電飾の様子。集合訓練の期間は一週間程度であったが夜間電飾を見物するべく多くの観光客が訪れていた(かくいう小生もその一人だが)。夜間の基地内は非公開であったためこの写真の撮影は三脚を工夫し撮影したものである。

 昼間に撮影した写真と並べなければ判然としないが、配置は変っていない為、一番桟橋よりの艦が“たちかぜ”である。

Img_1271  自衛隊観艦式における写真。

 橋本内閣時代に自衛隊記念日の記念行事を三自衛隊持ち回りで行うこととなり、中央観閲式、観艦式に次いで航空観閲式が行われるようになったが、海上自衛隊観艦式は自衛隊観艦式と改められた。この結果、“たちかぜ”は海上自衛隊観艦式、自衛隊観艦式という時代の転換点に観艦式に参加することとなったが、昨年実施された相模湾自衛隊観艦式が“たちかぜ”の最後の観艦式参加となった。

Img_0977_1

 観艦式において海上に雄姿を示す“たちかぜ”、快晴であれば富士山が背景にみえるのであろうか。

 護衛艦として初めて本格的な統合戦闘指揮装置システムOYQ-1Bを搭載した護衛艦であり、更に初の量産型ミサイル護衛艦である“たちかぜ”であるが、新しい護衛艦隊旗艦として三番艦である“さわかぜ”にその任務を譲ることとなる。

Img_1222_1  空包を発射する“さわかぜ”、護衛艦隊旗艦の任に就く。SAM発射機にSSMも運用可能なMk13Mod4を搭載し、戦闘指揮システムなどを更に近代化したもので、基準排水量は100㌧増加、海上自衛隊最後の蒸気タービン推進方式護衛艦として1983年に就役した。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (34)
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