熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

未来創発フォーラム2006・・・玉子屋の革新経営

2006年09月22日 | 経営・ビジネス
   野村総研が、東京フォーラムで、”ITが変える日本の未来、ひとが変えるITの未来”と銘打って「未来創発フォーラム2006」を開催した。
   第一部「ITが変える日本の未来」では、野村総研の三浦智康氏が「2010年の金融」、日野典明氏が「2010年の流通」夫々、調査結果を踏まえて非常に興味深い事業展開とその展望を語った。
   第二部「ひとが変えるITの未来」では、國領二郎慶大教授が基調講演「2010年、ひとが変えるITの未来」を行った後、村上照康理事長の司会で、国分教授に加わり、アイランド(株)の栗飯原理咲社長、(株)玉子屋の菅原勇一郎社長と野村総研の齋藤義明氏が参加してパネルディスカッション「2010年、ITと人間の関わり」が行われた。

   夫々非常に質の高い公演で興味深かったが、面白かったのは、最後のパネルディスカッションで、アイランドと玉子屋のビジネスモデルと、齋藤氏の語ったインセンティブとモチベーションを高める為に試みている多くのエクセレント企業の試みのケーススタディであった。
   話題が、ひとに比重が移っていて従業員のモチベーションやインセンティブを前面に出したので、インターネット、特に、Web 2.0を活用しているアイランド以外は、直接ITに深く関係していないが、ITが見え隠れしていて時代の趨勢を感じさせた。

   アイランドの栗飯原社長は、若くて中々しっかりしたチャーミングなレディで、やはり若い女性の豊かな発想から生まれた事業で、お取り寄せグルメの口コミサイト「おとりよせセット」の主宰者で、ホームページを開いてみたら実に面白い。
   ヤフーや楽天のショッピングサイトを開いても、欲しい品物でもどれが良いのか全く分からなくて困るのだが、このサイトには、グルメハンターの5人の内少なくても3人以上が自腹を切ってでも買いたいと言う評価を与えたものでないと紹介しないし、ランキングのみならず懇切丁寧な消費者の口コミ情報が満載されている。
   「レシペブログ」や「朝時間.jp」等の人気サイトも展開中だが、DeNAの南波社長の「モバオク」と似た発想で、Web2.0のインターネットのIT技術をフル活用したこのような豊かな事業展開は、何処まで進んで行くのか中々楽しみでもある。

   さて、お弁当の玉子屋であるが、サラリーマン向けのお昼弁当の仕出屋。
   兎に角、東京都区内と神奈川の一部に限って一日7万食も売り上げるが、ロスは一日40食程度と言う驚異的な数字をクリアーするビックリするような会社である。
   翌日の売上予測を6万食と想定すると、夜中の12時から2時にかけて食材5万8千人分を注文して調達し弁当を作り始める。(絶対に前もって食材は調達しない方針)
   9時から10時半までに電話とインターネットで注文を受け付けて、不足分の食材を調達して弁当を作って昼の12時までに注文先に届けると言う。
   予測数字は、年に3日程度間違うことがあるが常にぴったり当たるという。

   食材費は、質の高い弁当を安く提供する為に原価の50%以上で現在53%強だが、無駄をすると直ぐに赤字になる数字で、大体普通のレストランの食材費が30%以下だと聞いているので、大変良心的なサービスである。
   メニューは前もって示しているが、一日一種類の単品メニューで価格は430円だが、季節感を大切にした栄養バランスとカロリーを十分に吟味したメニューで、この価格でこれかとビックリするような弁当であるから、売れない訳がない。
   
   ところで従業員は、中卒や高校中退など学歴がない人が殆どだが、正社員とパート等の比率は1対5で業態にしては正社員の比率が高い方である。
   従業員全員に、お客さんからお金を頂いているのだと言う考えを徹底さており、今までに一度も褒められたことのないような者ばかりだが、商品が良くて褒めてもらえるのと社会に大いに貢献していることが嬉しくて、それが生甲斐になってモチベーションになっている。
   このような従業員の努力の結晶が、今日の無駄のないビジネスモデルを自然に創り上げて来た。
   離職率の高い会社の従業員の研修に社員を預かることがあるが、離職率ゼロのなったと喜ばれている、と社長は言う。

   支払方法や料金の回収は、お客さんに任せており不都合はないと言うが、何故か、電話注文からインターネット注文に切り替えると客数が減るのだと言う。
   電話受付は100人いるが、営業は配達人がやってくれるので営業の人間は一人もいない。
   弁当容器は総て回収して洗って再利用する。 
   今のところ、配達区域が限られているのでお断りせざるを得ない場合が多いのが残念だと言うが、本来、一番ローテクで生産性の低い泥臭い弁当販売が、ビジネスモデル次第では完全に近代産業として蘇る素晴らしい例を見て、日本のビジネスの底深さと奥の深さに感服しながら菅原社長の話を聞いていた。 

   携帯電話が普及したので、この弁当屋の事業も成り立つようになったのだといっていたが、兎に角、IT時代、IT技術を駆使したヒューマンタッチの時宜を得たビジネスモデルを構築することは、起業の本質的要素なのかも知れない。
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