熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ギリシャ雑感

2011年09月03日 | 海外生活と旅
   今、ギリシャは、財政の悪化で危機的な状態にあるのだが、私の印象では、比較的国家財政に対して甘いラテン系の国とも違って、この国は、ヨーロッパでも、もう少し、中東のイスラム国家に近い独特な雰囲気を持っているように思う。
   あの偉大なギリシャ文明を築いたギリシャ人が、今日のギリシャ人と全く同じなのかは知らないが、落差はかなり大きいように思う。

   この古代ギリシャの遺跡のかなり多くは、トロイやミレトスもそうだが、エーゲ海を隔てた対岸のトルコにある。
   ところが、宗教が違うのも勿論だが、キプロスでの対立でも顕著だが、両国の関係は悪い。
   私は、イスタンブールへは2度行ったことがあるが、イズミールを経てブルサくらいまでタクシーで走ったが、残念ながら、ギリシャの遺跡には接することが出来なかった。

   この口絵写真は、パルテノン神殿のエレクテイオンの有名な6人の少女の姿の柱像のカリアティッドの玄関だが、私が最初に見たのは、南西隅の少女像で、大英博物館でであった。
   一番きれいに残っていた柱をイギリス人が持ち出したのだが、私が最初にパルテノンに行った時には、残りの少女像はそのままだったと思うのだが、次に行った時には、博物館の中に安置されていたので、この写真は摸刻像である。
   エルギンマーブルとして有名なパルテノンの正面東ペディメントに残っていた彫像や波風の壮大な絵巻物とも言ううべき一連の彫刻を見てから、益々、アテネに行きたくなったのだが、イギリスに運び込んだのが良いか悪いかは別にして、トルコ軍に爆破されて廃墟になったパルテノン神殿をそのま間、風雨に晒されしまうのも問題であったことも事実であろう。
   「日曜はダメよ」のメルクーリが大臣の時に、返せとイギリスに怒鳴り込んだのだが、文化遺産がオリジンの母国に帰るのなら、ヨーロッパやアメリカの博物館は空になってしまう。

   このアテネにある古代ギリシャの遺跡は、結構手入れされているのだが、私が、コリントスやミケーネやエピダウルスなどに行った時には、まだ、沢山の建造物の欠片ががれき状態で残っていたし、けしの花が鬱蒼と茂っていたりして、正に、兵どもが夢の跡と言った感じの廃墟があっちこっちに残っていた。
   メソポタミアやエジプト、インド、中国の遺跡からすれば、随分若い文化なのだが、あの勇名を馳せたスパルタなどほんのチッポケな集落に過ぎないと思うのだが、大帝国を築かずに、吹けば飛ぶようなギリシャの都市国家が、世界の文化文明を総なめにした時期が歴史上にあったと言うことは、驚異と言う外ない。

   そんなギリシャが、今、世界の文明国で、一番弱い貧弱な国家経済に泣いている。
   古代ギリシャ人が、今のギリシャ人かどうかと問うたのは、そんな気持ちからだが、この危機から早く脱して欲しいと思っているのだが、ソクラテスやプラトンやアリストテレスはどう思っているであろうか。
   
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