熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

METライブビューイング・・・「魔笛」

2017年12月13日 | クラシック音楽・オペラ
   近くの109シネマ湘南で、METライブビューイングが上映されることになったので、「魔笛」を鑑賞する機会を得た。
   ジュリー・テイモア演出の舞台なので、歌手などは異なっているが、2007年正月に、歌舞伎座で上映された同じバージョンの「魔笛」を観ている。
   ライオンキングのような動物がバックで動き回るティモアの舞台を微かに覚えていたが、全く忘れてしまっていたので、初めて見るような感じで、久しぶりにMETの舞台を堪能することが出来た。

   METで初めて鑑賞したのは、1972年、ウォートン・スクールで勉強していた時で、学生の身分であったので、安い鈍行のアムトラックで、ニューヨークに出かけて、深夜にフィラデルフィアへ帰り、危険な夜道を寮へ帰ると言ったMET通いを2年間繰り返していた。
   その後、出張や個人旅行で、ニューヨークへ行くことが何度もあったので、METへはかなり通っていて、ロイヤルオペラの次に、よく通ったオペラハウスなのだが、最近では、このブログにも書いているが、ニューヨーク旅行時に、マノンレスコー、セビリアの理髪師、ヘンデルとグレーテル、そして、NHKホールで、ドミンゴのワルキューレくらいで、一寸離れていたので、今回の魔笛の映画で、一気に懐かしい日々が蘇ってきた。
   カール・ベームの「薔薇の騎士」、アンナ・モッフォのネッダなど、思い出しても懐かしい。

   この「魔笛」については、随分前だが、ロイヤルオペラの来日公演で観ており、その後、ロンドンなど、ヨーロッパにいた時に、モーツアルトのオペラは好きであったので意識して劇場に通っており、何度か、別のバージョンの「魔笛」を観ている。

   今回のMETのキャストは、
   指揮:ジェイムズ・レヴァイン
   演出:ジュリー・テイモア
   出演:
   ルネ・パーペ、マルクス・ヴェルバ、キャスリン・ルイック、 ゴルダ・シュルツ、    チャールズ・カストロノヴォ、クリスチャン・ヴァン・ホーン

   指揮者のジェイムズ・レヴァインは、クリーヴランド管弦楽団のジョージ・セルの弟子なのだが、1970年にフィラデルフィア管弦楽団の客演指揮者となったと言うから、1972年から2年フィラデルフィア管のシーズンメンバーチケットを持っていたので、コンサートを聴いていたかも知れないが、その後、METで随分聴いているので、METの主のような指揮者である。
   ロンドンで、ウィーン・フィルを指揮をしたのを聴いており、アンコールで指揮した軽快なシュトラウスのワルツが印象的であった。と言っても、確か、暫くタクトを振って、後は、ウィーン・フィルに任せて、指揮台から消えて行ったのだが、・・・
   身体の調子が大分悪いのであろう、いつものMETライブの様に、「マエストロ、ピットへどうぞ」と言われる前に、指揮台で座っており、カーテンコールでも、指揮者席に座ったままで拍手を受け、舞台には上がらなかった。

   やはり、驚嘆するのは、夜の女王のキャスリン・ルイックの凄さ、脱帽である。
   パパゲーナのゴルダ・シュルツは、METデビューだと言うことで、最初は一寸不安定だったが、後半持ち直して、表情も歌唱も実に素晴らしく、将来有望なソプラノだと思った。
   タミーノのチャールズ・カストロノヴォは、サンフランシスコでキャリアをスタートしたが、METのLindemann Young Artist Development Programでの研修や経験を経て、Don Ottavio, Ernesto, Fenton, Ferrando, Tamino、Alfredo.など、テノールの重要な役を歌い始めて脚光を浴びたと言う、絶頂期の歌唱で圧倒する。
   パパゲーノのマルクス・ヴェルバ(バリトン)は、オーストラリアの歌手で、正に、千両役者で、今回の舞台では最高に輝いており、ウィーン国立歌劇場でのパパゲーノは勿論、ザルツブルグやバイロイト、ロイヤルオペラなどでも人気絶頂と言うからさもありなん。  
   ザラストロのルネ・パーペは、文句なしに、ドイツが生んだ現代最高峰のバス歌手で、私自身、これまで何度か舞台を観ており、このザラストロは、正に適役で、これ以上の舞台は期待できないと思う。
   最近、本格的なオペラを観ることが少なくなったので、流石は、METで、若い歌手など最近のスター歌手を知らないのだが、どんどん、凄い新星が派出されているようで、びっくりしている。
   私など、マリア・カラスやレナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコやディートリッヒ・フィッシャーディスカウ、それから、プラシド・ドミンゴやルチアーノ・パバロッティなどに入れあげた時代なのである。

   私がMETに通っていた時から考えれば、舞台展開は、正に、巨大な工場の機械装置が移動するような感じで、回り舞台を上手く活用して、左右に回転させて瞬時に移動。
   それに、ジュリー・テイモアの動物やファンタ―スティックなオブジェが、縦横無尽に踊って飛び回り、エキゾチックな舞台空間を作出して、実に楽しく、幻想的でドラマチックな魔笛の世界を創出して感動的である。

   実際に、METで見るオペラは、臨場感豊かで凄いのだが、映画で見ると、とにかく細部がよく分かって、一か所から見るのではなく、舞台を移動して複眼で鑑賞できるのが良い。
   
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