松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定

2008-04-26 00:02:34 | 労働運動
松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ(PDP)」(大阪府茨木市)の製造工場で働いていた吉岡力さん(33)が「偽装請負の違法な状態で
働かされた」として、雇用契約上の地位の確認と約600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。若林諒裁判長は吉岡さんの
訴えをほぼ全面的に認め、職場での嫌がらせへの慰謝料45万円の支払いだけを認めた昨年4月の一審・大阪地裁判決を変更し、吉岡さんと松下PDPの間に
は直接雇用の関係が成立しているとする判決を言い渡した。

 吉岡さんは04年1月から、松下PDP茨木工場で請負会社の社員として働いていたが、翌05年5月に大阪労働局に「偽装請負にあたる」と内部告発し
た。同年8月、松下PDPに期間工として直接雇用されたが、06年1月末、期間満了を理由に職を失った。期間工として雇われていた間、吉岡さんは他の社
員と接触できない1人だけの単純作業に従事させられた。

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松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定
/朝日新聞

違法な偽装請負の状態で働かされていた男性について、大阪高裁が25日、当初から両者間に雇用契約が成立しているとして、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うよう就労先の会社に命じる判決を言い渡した。就労先で直接、指揮命令を受け、実質的にそこから賃金支払いを受けていた実態を重視。「請負契約」が違法で無効なのに働き続けていた事実を法的に根拠づけるには、黙示の労働契約が成立したと考えるほかないと述べた。事実上、期間を区切ることなく雇い続けるよう命じる判断だ。
原告側の弁護団によると、偽装請負をめぐって就労先の雇用責任を認めた司法判断は高裁レベルで初めて。

 キヤノンなど大手メーカーの偽装請負は社会問題となったが、違法行為を指摘された企業が短期間の直接雇用のみで「是正した」と主張する事態が続発。行政もこれを追認していた。今回の判決はこうした法解釈を覆す可能性がある。弁護団は「労働の実態を踏まえた判決を高く評価したい。同様のケースに与える影響は大きい」と話している。

 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ(PDP)」(大阪府茨木市)の工場で働いていた吉岡力(つとむ)さん(33)が同社を相手に提訴した。若林諒裁判長は直接雇用の地位を確認しなかった一審判決を変更。06年の解雇後の未払い賃金(月約24万円)の支払いを命じ、内部告発に対する報復があったと認定して、慰謝料の額も一審の45万円から90万円に増額した。

 判決によると、吉岡さんは04年1月から、松下PDPの茨木工場で「請負会社の社員」という形で働いていたが、翌05年5月、「実際は松下側社員の指揮命令のもとで働いており、実態は直接雇用だ」と大阪労働局に偽装請負を内部告発した。同8月、松下PDPに期間工として直接雇用されたものの、06年1月末、期間満了を理由に職を失った。期間工だった間、吉岡さんは他の社員と接触できない単純作業に従事させられた。

 判決はまず、請負会社の社員だった吉岡さんらの労働実態について「松下側の従業員の指揮命令を受けていた」などと認定。吉岡さんを雇っていた請負会社と松下側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」であり、職業安定法や労働基準法に違反して無効だと判断した。

 そのうえで、労働契約は当事者間の「黙示の合意」でも成立すると指摘。吉岡さんの場合、04年1月以降、「期間2カ月」「更新あり」「時給1350円」などの条件で松下側に労働力を提供し、松下側と使用従属関係にあったとして、双方の間には「黙示の労働契約の成立が認められる」と認定した。この結果、吉岡さんはこの工場で働き始めた当初から直接雇用の関係にあったと結論づけた。

 松下側が06年2月以降の契約更新を拒否したことについても「解雇権の乱用」で無効と判断した。

 さらに、吉岡さんが期間工として直接雇用された05年8月以降、配置転換で単独の作業部屋に隔離されたことについて、「松下側が内部告発などへの報復という不当な動機や目的から命じた」と認定した。

 昨年4月の大阪地裁判決は「偽装請負の疑いが極めて強い」として、就労先には労働者を直接雇用する義務が生じるとの判断を示す一方、雇用契約の成立は否定していた。

http://www.asahi.com/national/update/0425/OSK200804250070.html?ref=rss


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