米英はイランのイラク戦略をくじくためにイラク抵抗勢力支持もあり得る/アラビアニュース

2006-11-04 20:00:54 | イラク

英軍幕僚会議議長が、「イラクから英国軍を撤退させることを真剣に検討するよう」訴える声明を発表した後、米国のジョージ・ブッシュ大統領が、「現在のイラクの軍事、治安状況が、米軍が撤退を強いられた1968年のベトナムに似ている」と認めたことで、地域に混乱が、政治や治安の世界に動きが生じている。

 イラク情勢は、武装抵抗勢力の力を「無視」することや、米国のイラク政策の「正しさ」に「固執」することを米国の指導者たちが諦め、早急に本腰を入れたな対応を迫られる困難な状況にあると認めなければならないほど悪化している。

 米英占領軍や両国の指導者、そして追従するイラク人を、政治的、軍事的、治安の面で「不可能」というトンネルに追い詰めた最大の功労者が抵抗勢力であるなら、イランの戦略と、イラクで果たしたその中心的な役割は、例え当初の計画ではイランが中心的な戦略目標の実現を意図したのであったにせよ、占領当局とその軍を危機の一角に閉じ込めることで本質的かつ有効な貢献をした。 

 これに関して二つの重要な指摘をしよう。一つはイランが決してイラクの抵抗勢力の勝利やイラクの主権回復、及び占領軍の追放を追求しようとしないことだ。これで「イランの利益」が抵抗勢力を標的にすることだと分かる。これはイラク支配層の中のイラン支持者を通じて、先ずイラクを支配し、次に地域の諸情勢、政治、宗教、軍事、経済を支配するというイランの戦略目標によって付帯的に生じるものだ。

 二つ目は、抵抗勢力は現状を強化し、主要で決定的な2戦線で戦わなければならないことだ。イラクの占領継続を困難にさせると同時に、イランの行動に反対しその計画を挫くことだ。理由はイランの戦略が、イラクの抵抗勢力による成果を横取りし、占領軍とその手先たちが撤退するや否や抵抗勢力に襲い掛かりイラクを攻めることに基づいているからだ。

 イランの指導部は、1990年代からダアワ党とその党首イブラーヒーム・ジャアファリー、イスラム革命最高評議会(政党)とそのアブドルアジーズ・ハキーム議長(当時は2003年にナジャフで暗殺されたアブドルアジーズの兄弟のムハンマド・バーキル・ハキームが議長を務めていた)などを通じ、経済、政治、文化、医療面における包囲と戦略的、軍事的作戦によるイラク弱体化を狙って、米国や英国と直接的及び間接的に協力、協調してきたからだ。

 イランのムハンマド・ハータミー前大統領は、ロンドン発行のアラビア語紙に掲載された長文の声明を含む複数の声明で、「イランが米国のイラク占領を助けて成功させたのであり、アフガニスタンで米国がイスラム(タリバン)体制を倒して米英軍が同国を占領するのをイランが援助したような役割をもしイランがイラクで果たしていなかったなら、米国のイラク占領は成し遂げられなかっただろう」と認めている。

 イランの動機は、イラクの前体制と8年間続いたイラン・イラク戦争での敗北に対する復讐だけではなく、イラクを支配し、次に中東地域、特にペルシア湾岸諸国に政治的、宗教的、経済的影響力を及ぼすことも含む。イランはイラクを自国包囲網に対する堤防とし、さらにイラクを米英軍を泥沼に引きずり込み消耗させる場所に変えた。これにより、イランに対する攻撃や包囲、或いはイランの支配戦略妨害は困難になる。

 イラン「イスラム」革命の指導者らは80年代中葉に、ナジュム・ハーシミー・ラフサンジャーニーが権力の座に就いて以来、「自己の利益に役立たないものは何も無い」というイランのペルシア的思考の不変の原則を堅持してきた。その結果、イスラム革命のスローガンと、革命指導者らの実際の行動や国内外における彼らの同盟関係との間に、明白な矛盾をきたすことになったようだ。

 恐らく、1979年に宗教者らが権力を掌握して以来イラン指導部が公に奉じた最も大きな原則と政策は、イランの指導者らが大悪魔であると評したイスラエルやシオニズム、米国への反対を表明することだった。しかし、彼らは武器や諜報機関の情報を得るために、イラクとの戦争中にイスラエル及び米国と「コントラ」として知られる秘密の取引を行なっていた。

 報道の世界ではイランの敵であるはずのイスラエルと米国は、アフガニスタンとイラクでの出来事が証明しているように、実際はイランの中東地域における主要な同盟国だった。ラフサンジャーニーから前大統領のハタミに至るまでイラン指導部は、米国の軍事作戦や政策において、兵站、諜報、軍事支援等を通じて米国の中東地域における戦略計画の成功に果たした自国の役割を隠そうともしない。

 イランの目的は、米英軍を追い出し、イランの体制に対する脅威を遠ざけ、イランに従属する者をイラクの政権に据えることだ。抵抗勢力とイランは事前に示し合わせることなく、占領からのイラク「解放」という目標を達成するために「スクラム」を組んだ。しかし、両者は互いに争っており、米英が撤退ないし後退すれば両者の争いは激しさを増そう。

 抵抗勢力は中東地域及び世界から支援を受けておらず、ほぼ完全に国内に頼っているが、米国と英国が現在の政策を変更し、西洋とイスラエルの利益のために政治的、文化的、社会的に中東地域を再編するという米英の目標と完全に対立するイランのイラク戦略を挫くために、間接的にではあるにせよイラクの抵抗勢力のために政治、物資供給、及び軍事に至るまでの便宜を図ることがあり得ないとは言えない。

 http://www.middle-east-online.com/?id=42029
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【短報】
* ブッシュの政治顧問、カール・ローブ:どうして石油をテロリストの手に委ねてイラクから撤退できようか! 「AP」

* チリの新聞がチャベス大統領がブッシュと抱擁している偽写真を掲載で在チリ大使館が抗議 「アンサ・ラティナ・ニュース・サイト」

【アラビア・ニュース】  齊藤力二朗 転載は一日1記事、再転載は見出しと序文、URLのみに限定
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