転載 【 PUBLICITY 】 1797 :ポスト「9・11」の時代に、彼はいない

2008-11-13 06:46:24 | 世界
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1797 2008/11/13木■■


▼東京はここ数日で冬へ加速中ですよ。冷える冷える。おでん
に手を伸ばしたい季節になりましたナ。

▼11月4日付の社説から。この日は無国保の子どもの話題が
多かった。

宮崎日日「空幕長論文 文民統制上も限度を超える」
南日本新聞「[空幕長更迭] 自覚のなさにあきれる」

あと、障害者自立支援法への批判がちらほら。

西日本新聞「障害者支援法 応急措置で欠陥覆ったが」
岐阜新聞「自立支援法訴訟 原点に立ち返り考えたい」

京都新聞「自立支援法提訴  怒りを見直しに生かせ」
「障害は自己責任なのか、社会保障とは何なのか。提訴は社会
に対して、根源的な問いを投げかけてもいる。一九八〇年の国
連総会で採択された国際障害者年行動計画に、こんな一文があ
る。「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すよう
な場合、それは弱くもろい社会なのだ」。この言葉を、あらた
めてかみしめたい」

▼京都新聞の指摘は原理的で、それだけ言っていても仕方ない
のだが、まず知っておいた方がいい話だ。そして今回の訴訟は
法や制度の欠落を問うかたちをとりながら、同時にニッポン社
会の、まさに「原理」を、「人間観(=誰が人間なのか)」を
問うている。

11月5日付では、岩手日報「空幕長の更迭 ぬぐえない薄気
味悪さ」。

▼11月6日付の社説は、当然のことながら、バラク・オバマ
上院議員の米大統領選勝利が多かった。「アフリカン・アメリ
カン」初の米大統領誕生。三番手を締め出す選挙報道の手法に
はゲンナリするけどね。

オバマの勝利の最大の原動力は、ブッシュ大統領の8年間の統
治に対する拒否、否定だが(グルジア紛争がひどくなり、未曾
有の経済危機が起きなかったら、どうだったろうか)、しかし
オバマの勝利は明らかに、公民権運動の勝利の証でもある。

historic、historic、ヒストリック。英語のニュースサイトは
、軒並み「歴史的」との見出しが並んでいた。40年前のアメ
リカでは、バスの座席とかトイレとかレストランとか、ありと
あらゆる生活空間で黒人差別が罷り通っていたのだ。

「インディペンデント」紙のサイトには、暗殺されたマーティ
ン・ルーサー・キングの妹とその孫娘が抱き合って感涙してい
る写真が載っていた。


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'I never thought we'd see this day,' proud
African Americans see their dream fulfilled

By Stephen Foley in Atlanta, Georgia
Thursday, 6 November 2008

Later, at the victory rally in Chicago's Grant Park,
the civil rights campaigner the Rev Jesse Jackson, whose
own bids for the Democratic presidential nomination in
the 1980s never broke out beyond racial lines, was in
tears as TV networks called the election for Mr Obama.
One man held up a sign: "We have overcome."

"I feel like I want to pinch myself," Cheryl Munson, 54,
said outside the Ebenezer church. "I could have watched
on TV, but I wanted to come here for [my mother], and
for her mother, and for all their mothers that I didn't
know."
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▼「We shall overcome」から「We have overcome」へ。そし
て「母」への感謝。思わず涙ぐんでしまいましたよ。

youtubeで「obama」で検索すると、マジかよというくらい、オ
バマの演説映像がアップされている。合言葉の「Yes we can」
はかっこいい歌になっている。編集センスといい、豪華な顔ぶ
れといい、アメリカの選挙のメディア戦略ってすごいね。

オバマの勝利演説から、リアルタイムで聴いていて鳥肌が立っ
た箇所を抜粋したい。何年かしたら世界史の教科書に載るでし
ょうナ。訳は朝日新聞。


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今回の選挙で初めて起きたこと、そして多くの話が、何世代に
もわたって語り継がれるだろう。しかし、今夜私の心に浮かぶ
のは、アトランタで1票を投じた女性のことだ。他の数百万人
の有権者と同様に、行列に並んで投票した。ただひとつ他の人
たちと違っていたのは、彼女、アン・ニクソン・クーパーさん
が106歳だということだ。

彼女は奴隷制が終わってわずか1世代後に生まれた。まだ道に
は車がなく、空には飛行機が飛んでいなかった時代だ。彼女の
ような人が、女性であるということと、肌の色という2つの理
由で投票ができなかった時代だ。

今夜、この1世紀に米国で彼女が見たすべてのことに思いをは
せたい。傷心と希望、努力と進歩、「不可能だ」と言われ続け
たことに対して、「我々はできる」という米国の信条を進めよ
うとした人々。

女性が声を出せず、希望が踏みにじられた時代もあったが、女
性が立ち上がって発言し、投票を求める姿を、彼女は目の当た
りにした。

(30年代に中西部で起きた)土埃の嵐の絶望や全土の恐慌の
時にも、この国がニューディール政策や新たな雇用、そして新
たな共通目標の意識によって、恐怖そのものを克服するのを、
彼女は見た。我々はできるのだ。

我々の港が爆撃され、独裁体制が世界を脅かしたが、彼女は、
一つの世代が立ち上がり、民主主義が守られるのを目撃した。
我々はできるのだ。

(黒人解放運動のきっかけとなったアラバマ州)モンゴメリー
の通学バスのボイコットやセルマのデモ、「我々は勝利する」
というキング牧師の言葉も聞いた。我々はできるのだ。

人類が月に到達し、ベルリンの壁が崩壊し、世界は科学と想像
力でつながった。

そして今年、この選挙で彼女は指で画面に触れて一票を投じた
。106年の生涯で良いときも暗い時代も経験し、彼女は米国
がいかに変化するかを知っているからだ。我々はできるのだ。
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▼さて、各紙社説では、神奈川新聞の「米国外交の転換は、日
本の対米追随外交の限界と国際的責任を浮き彫りにする。オバ
マ政権の誕生は、日本外交の「変革」の必要性もあらためて示
している」との指摘が鋭い。

西日本新聞は「「脱9.11」へ、試練が始まる」との秀逸な
見出し。
「「脱9.11」、つまり自国第一主義(アメリカ・ファース
ト)の脱却。世界が求める、それができるかどうか。「オバマ
氏の米国」の試練が始まる」

コラムでは、中国新聞「天風録」「ヒロシマは待っている」。
具体的には、2010年に行われるAPECの日本での首脳会
議のこと。

佐賀新聞「有明抄」は、記者自身によるコロラド・デンバーへ
の簡単な訪問記。
「オバマ氏を大統領候補に指名する「民主党大会」を見るため
だ。全米の州からオバマ氏の支持者が集まっており、町中のホ
テルは満室。郊外のモーテル風のホテルに部屋を取った◆タク
シー運転手もホテルのフロントもヒスパニック系(中南米出身
者)で、スペイン語が飛び交っていた。米国では白人はマジョ
リティー(多数派)、黒人、ヒスパニックはマイノリティー(
少数派)と呼ばれていたが昨年、米国のマイノリティーの人口
は1億人を超え、全米人口の3分の1に達した。機は熟してい
たのだ」


▼オバマが勝利した3日後、筑紫哲也が亡くなった。そのこと
は、また今度書こうと思う。寄せては返す波のように感情が動
き、ちょっと、うまくまとめられない。(1793号の答えも
もうちょっと待ってくだしゃんせ)

と言って後回しにすると、書けなくなることが多いから、取り
敢えずいま思いつくことだけでも少し書いておくと、ぼくには
筑紫哲也が、ポスト「9・11」の時代の開幕を確かめてから
逝ったように思えてならない。

田母神史観をめぐる多事争論を観たかった。後継の後藤キャス
ターに、ぜひスタジオでバトルしてほしいですね。

▼多事争論──実にいい言葉を流通させた人の帰還は、ついに
叶わなかった。ぼくとしてはフリースピーチの取材をしたいな
あと思い、『総理大臣の犯罪』から始まって、彼の本をざっと
40冊ほど買い込んで準備を整え、彼自身の「痩我慢の説」を
、本人の言を交えて、ぜひ記したいと意気込んでいたのだが。

いまは彼自身の文章ではなく、筑紫哲也のジャーナリストとし
ての人生に最も相応しいと、ぼくが勝手に思っている表題の本
から、次の一節を引用して、早すぎる死を悼みたい。


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人間の生活はいまなお活動中であり、探究されていない財宝と
使われていない救出方法をなおもそなえているのだ。私たちを
現に悩ませ、堕落させようとする暗闇は、薄らぐかもしれない。

私たちはやがて民主主義に万歳三唱をすることができるかもし
れない。

現在のところ民主主義は万歳二唱にしか値しないけれども。

E.M.フォースター
『民主主義に万歳二唱』みすず書房
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freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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