京大原子炉実験所の小出さんからのお知らせです。
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皆様
8時の枝野長官の記者会見を聞き、爆発は格納容器と原子炉建屋の間で起き、
格納容器はまだあるとのこと、ちょっとほっとしました。
もし、それが本当なら、爆発は水素爆発です。
そしてその水素は、燃料棒被覆管材料である、ジルコニウムという金属と水と
の反応で生じた水素だと思います。
それが格納容器ベントを開いたことで、原子炉建屋に漏洩し、爆発に至ったと
推測します。
格納容器は放射能の放出を防ぐ最後の砦で、それがまだ形として残っていると
いうことは、せめてもの救いです。
その格納容器の中に、海水を注入するという説明でしたが、どうやって海水を
送るのでしょうか?
そのためにはポンプが動かなければいけませんし、そのためには電源が必要です。
電源が失われたからこそ、事態がここまで悪化してきました。
何故、いきなり海水を送れるようになったのでしょうか?
注水できるポンプの圧力の能力はあります。
原子炉圧力容器内は大変高圧になっており、消防用のポンプ車の吐出圧力では
原子炉圧力容器の中に直接水を送ることはできませんが、格納容器の中であれば
送れると思います。
それでもなお、核の容器の中に水を送る作業はもっと早くやれたはずだと私は
思います。
十分な情報がない中、申し訳ありませんが、正確な判断ができません。
もし、格納容器内を海水で満たすことができるのであれば、もちろん原発は2
度と使えませんが、最悪の破局は免れることが出来ると私は思います。
格納容器内に海水にホウ素を混入させることは必要です。
今直面している危機は、原子炉が溶けてしまうこと、そして一度は停止させた
ウランの核分裂反応が再び始まってしまうかもしれないことの2つです。
原子炉を溶かさないためには水を供給すること、核分裂を再び始まらないよう
にするためには中性子を吸収できる物質を供給しなければいけません。
中性子を吸収する物資がホウ素です。
ですから、ホウ素を混入した海水を格納容器に注入することは有効です。
成功してくれることを願います。
政府の提供する情報は大変不十分です。
爆発前後で正門前での放射線量が、減ったなどということは、格納容器が破壊
を免れたという証明にはなりません。
単位風向きが変わった可能性の方が遥に大きいです。
今後も、あちこちからの情報に常に注意してください。
このメールは失礼ながらたくさんの人たちに一斉に送ります。
事故の対応に追われており、お許しください。
2011/3/12 小出 裕章
枝野官房長官の記者会見
「原子力施設は鋼鉄製の格納容器で覆われており、その外はコンクリートと鉄筋の建屋で覆われている。この建屋が爆発したものであり、中身が爆発したものではない。
爆発の理由は炉心の水が足りなくなったことによって発生した水蒸気が建屋との隙間に入り、その過程で水素になり、酸素と合わさって爆発した。
格納容器内には酸素はないので水素と合わさっても爆発はしない。
東京電力からは格納容器には影響はないと報告を受けている。
従って放射能物質が大量に漏れ出すものではない。
放射能のモニタリングも確認したが爆発前と比べても濃度は上昇していない。
15時29分の1015マイクロシーベルトの数値について、この地点の数値はその後、15時36分に爆発があったが、15時40分の数値が860マイクロシーベルト、58分には70.5マイクロシーベルトとなっており、むしろ少なくなっている。
その他の地点も14時頃にベントという容器内の水蒸気を圧力を高くなることを抑制するために外に出す、今日の未明以来申し上げてきているが、これが15時頃に行われ、その前後、ベントの前から後で一旦高くなっているが15時36分の爆発を挟んでも低下をしており、低いレベルにとどまっている。
従って現時点で爆発前からの放射能物質の外部への出方には大きな変化はないと認められるので冷静に対応をしてもらいたい。
その上でこうした状況・現状を踏まえ、今後懸念される格納容器の破損による被害を未然に防ぐため、容器を海水で満たす措置をとる判断をして、大臣においてその指示をした。
その際、合わせてホウ酸を用いることによって念のために万が一にも再臨界などの懸念される事象が生じないように工夫することも確認している。
政府としてこうした準備や手順が適切であることを確認し、妥当なものと評価している。
すでに20時20分にこの手順は着手している。
避難指示についてはこうした爆発の状況、それによる対応策などの方向性・輪郭が見えてきた段階で、万が一にもの対応策として20キロ圏内から待避してもらうことに拡大した。
これまでの対応方針同様、10キロから20キロの間の住民に具体的に危険が生じるものではないが、念のためにさらに万全を期す観点から20キロに拡大することにした。
住民の皆さんはこういう事情、経緯に伴うものなので警察や自治体の指示に従って冷静に対応して欲しい」
「格納容器の中に原子炉はあり、格納容器に損傷はない」
「建屋がないよりはある方が安全。容器を海水で満たすという対応策を判断した」
----------------------------------
海水注入で原子炉冷却開始 東電「放射線量は低下」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E3E0E2E5818DE3E0E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
福島原発「チェルノブイリに似てきた」発言も
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110312-OYT1T00670.htm
【ワシントン支局】福島第一原発の爆発に、米欧メディアも重大な関心を寄せている。米CNNテレビは「核の大惨事につながる恐れもある。(危機回避は)時間との闘いだ」とする専門家の見方を引用し、住民への避難勧告などについて詳報した。
原発大国フランスの有力紙ル・モンドも、巨大地震を経験したばかりの日本で、原発事故により「不安が高まっている」とインターネットの電子版で速報した。
英BBC放送は「高水準の原子力技術を誇る日本が初めて直面した核の緊急事態」と伝えた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)や、米スリーマイル島原発事故(79年)の際のニュース映像を放送し、「チェルノブイリ事故の状況に似てきた」とする識者の発言を紹介した。
(2011年3月12日21時32分 読売新聞)
避難範囲拡大、対象住民は十数万人に 福島第一原発
2011年3月12日21時36分
http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY201103120524.html
福島第一原発に隣接する福島県双葉町から避難した住民たちは原発事故を伝えるラジオに耳を傾けていた=12日午後5時42分、福島県川俣町、水野義則撮影
福島第一原子力発電所の爆発を受け、12日夕に国の避難指示の対象が半径20キロ以内に拡大された。避難が必要な自治体が2市5町2村に増えて対象住民は十数万人に達し、各役所の職員たちは対応に追われた。
浪江町は午後7時半過ぎから、半径10キロ以内の町民約1800人を、それまでの避難所から20キロ圏の外になる同町津島地区にバスで移動させ始めた。新たに対象になる町民には、防災無線などで避難を呼びかけている。
第一原発の西側にあたる福島県田村市。午後4時31分に、第一原発のある大熊町から7005人の受け入れを完了した。しかし、同市東部の都路地区は原発から20キロ圏内。地区にある市役所支所が独自に避難用バスの手配を進める。地区には市民3千人と大熊町からの避難民800人がいるという。
第一原発から北西に約25キロ離れた福島県葛尾村の住民によると、午後6時25分ごろ、「原子力爆発の影響を防ぐために、外には出ず窓を閉めて屋内に待機してください」との内容の村役場の放送が流れたという。
一方、半径10キロ内に取り残された双葉町の病院や老人ホームのお年寄りら195人は、陸上自衛隊がヘリコプター10機で避難を手伝っている。午後7時現在で輸送は続いている。
また、東京消防庁によると、同日午後3時過ぎに東京を発って第一原発に向かっていた、放射線対策などが専門のハイパーレスキュー隊8隊28人が午後6時、引き返し始めた。爆発によって、当初の原子炉の冷却という任務が変更されたことや、危険な状況になったためだという。
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皆様
8時の枝野長官の記者会見を聞き、爆発は格納容器と原子炉建屋の間で起き、
格納容器はまだあるとのこと、ちょっとほっとしました。
もし、それが本当なら、爆発は水素爆発です。
そしてその水素は、燃料棒被覆管材料である、ジルコニウムという金属と水と
の反応で生じた水素だと思います。
それが格納容器ベントを開いたことで、原子炉建屋に漏洩し、爆発に至ったと
推測します。
格納容器は放射能の放出を防ぐ最後の砦で、それがまだ形として残っていると
いうことは、せめてもの救いです。
その格納容器の中に、海水を注入するという説明でしたが、どうやって海水を
送るのでしょうか?
そのためにはポンプが動かなければいけませんし、そのためには電源が必要です。
電源が失われたからこそ、事態がここまで悪化してきました。
何故、いきなり海水を送れるようになったのでしょうか?
注水できるポンプの圧力の能力はあります。
原子炉圧力容器内は大変高圧になっており、消防用のポンプ車の吐出圧力では
原子炉圧力容器の中に直接水を送ることはできませんが、格納容器の中であれば
送れると思います。
それでもなお、核の容器の中に水を送る作業はもっと早くやれたはずだと私は
思います。
十分な情報がない中、申し訳ありませんが、正確な判断ができません。
もし、格納容器内を海水で満たすことができるのであれば、もちろん原発は2
度と使えませんが、最悪の破局は免れることが出来ると私は思います。
格納容器内に海水にホウ素を混入させることは必要です。
今直面している危機は、原子炉が溶けてしまうこと、そして一度は停止させた
ウランの核分裂反応が再び始まってしまうかもしれないことの2つです。
原子炉を溶かさないためには水を供給すること、核分裂を再び始まらないよう
にするためには中性子を吸収できる物質を供給しなければいけません。
中性子を吸収する物資がホウ素です。
ですから、ホウ素を混入した海水を格納容器に注入することは有効です。
成功してくれることを願います。
政府の提供する情報は大変不十分です。
爆発前後で正門前での放射線量が、減ったなどということは、格納容器が破壊
を免れたという証明にはなりません。
単位風向きが変わった可能性の方が遥に大きいです。
今後も、あちこちからの情報に常に注意してください。
このメールは失礼ながらたくさんの人たちに一斉に送ります。
事故の対応に追われており、お許しください。
2011/3/12 小出 裕章
枝野官房長官の記者会見
「原子力施設は鋼鉄製の格納容器で覆われており、その外はコンクリートと鉄筋の建屋で覆われている。この建屋が爆発したものであり、中身が爆発したものではない。
爆発の理由は炉心の水が足りなくなったことによって発生した水蒸気が建屋との隙間に入り、その過程で水素になり、酸素と合わさって爆発した。
格納容器内には酸素はないので水素と合わさっても爆発はしない。
東京電力からは格納容器には影響はないと報告を受けている。
従って放射能物質が大量に漏れ出すものではない。
放射能のモニタリングも確認したが爆発前と比べても濃度は上昇していない。
15時29分の1015マイクロシーベルトの数値について、この地点の数値はその後、15時36分に爆発があったが、15時40分の数値が860マイクロシーベルト、58分には70.5マイクロシーベルトとなっており、むしろ少なくなっている。
その他の地点も14時頃にベントという容器内の水蒸気を圧力を高くなることを抑制するために外に出す、今日の未明以来申し上げてきているが、これが15時頃に行われ、その前後、ベントの前から後で一旦高くなっているが15時36分の爆発を挟んでも低下をしており、低いレベルにとどまっている。
従って現時点で爆発前からの放射能物質の外部への出方には大きな変化はないと認められるので冷静に対応をしてもらいたい。
その上でこうした状況・現状を踏まえ、今後懸念される格納容器の破損による被害を未然に防ぐため、容器を海水で満たす措置をとる判断をして、大臣においてその指示をした。
その際、合わせてホウ酸を用いることによって念のために万が一にも再臨界などの懸念される事象が生じないように工夫することも確認している。
政府としてこうした準備や手順が適切であることを確認し、妥当なものと評価している。
すでに20時20分にこの手順は着手している。
避難指示についてはこうした爆発の状況、それによる対応策などの方向性・輪郭が見えてきた段階で、万が一にもの対応策として20キロ圏内から待避してもらうことに拡大した。
これまでの対応方針同様、10キロから20キロの間の住民に具体的に危険が生じるものではないが、念のためにさらに万全を期す観点から20キロに拡大することにした。
住民の皆さんはこういう事情、経緯に伴うものなので警察や自治体の指示に従って冷静に対応して欲しい」
「格納容器の中に原子炉はあり、格納容器に損傷はない」
「建屋がないよりはある方が安全。容器を海水で満たすという対応策を判断した」
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海水注入で原子炉冷却開始 東電「放射線量は低下」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E3E0E2E5818DE3E0E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
福島原発「チェルノブイリに似てきた」発言も
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110312-OYT1T00670.htm
【ワシントン支局】福島第一原発の爆発に、米欧メディアも重大な関心を寄せている。米CNNテレビは「核の大惨事につながる恐れもある。(危機回避は)時間との闘いだ」とする専門家の見方を引用し、住民への避難勧告などについて詳報した。
原発大国フランスの有力紙ル・モンドも、巨大地震を経験したばかりの日本で、原発事故により「不安が高まっている」とインターネットの電子版で速報した。
英BBC放送は「高水準の原子力技術を誇る日本が初めて直面した核の緊急事態」と伝えた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)や、米スリーマイル島原発事故(79年)の際のニュース映像を放送し、「チェルノブイリ事故の状況に似てきた」とする識者の発言を紹介した。
(2011年3月12日21時32分 読売新聞)
避難範囲拡大、対象住民は十数万人に 福島第一原発
2011年3月12日21時36分
http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY201103120524.html
福島第一原発に隣接する福島県双葉町から避難した住民たちは原発事故を伝えるラジオに耳を傾けていた=12日午後5時42分、福島県川俣町、水野義則撮影
福島第一原子力発電所の爆発を受け、12日夕に国の避難指示の対象が半径20キロ以内に拡大された。避難が必要な自治体が2市5町2村に増えて対象住民は十数万人に達し、各役所の職員たちは対応に追われた。
浪江町は午後7時半過ぎから、半径10キロ以内の町民約1800人を、それまでの避難所から20キロ圏の外になる同町津島地区にバスで移動させ始めた。新たに対象になる町民には、防災無線などで避難を呼びかけている。
第一原発の西側にあたる福島県田村市。午後4時31分に、第一原発のある大熊町から7005人の受け入れを完了した。しかし、同市東部の都路地区は原発から20キロ圏内。地区にある市役所支所が独自に避難用バスの手配を進める。地区には市民3千人と大熊町からの避難民800人がいるという。
第一原発から北西に約25キロ離れた福島県葛尾村の住民によると、午後6時25分ごろ、「原子力爆発の影響を防ぐために、外には出ず窓を閉めて屋内に待機してください」との内容の村役場の放送が流れたという。
一方、半径10キロ内に取り残された双葉町の病院や老人ホームのお年寄りら195人は、陸上自衛隊がヘリコプター10機で避難を手伝っている。午後7時現在で輸送は続いている。
また、東京消防庁によると、同日午後3時過ぎに東京を発って第一原発に向かっていた、放射線対策などが専門のハイパーレスキュー隊8隊28人が午後6時、引き返し始めた。爆発によって、当初の原子炉の冷却という任務が変更されたことや、危険な状況になったためだという。
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