全国に先駆けて老人医療費の無料化 深沢旧沢内村長の憲法解説原稿見つかる

2010-09-22 18:37:57 | 社会
全国に先駆けて老人医療費の無料化に踏み切った旧沢内村(現西和賀町)の故深沢晟雄(まさお)村長が公布直後の憲法を解説した原稿が見つかった。村の青年を対象にした講座の草稿で、戦争放棄や生存権をうたった憲法9条や25条の理念を説いている。生命尊重の行政を進める上で憲法を強く意識していたことを示す資料として西和賀町沢内の深沢晟雄資料館に保存される。〓(但木汎)


 原稿は2008年1月に亡くなった深沢さんの妻ミキさんの遺品の中から発見され、NPO法人「深沢晟雄の会」に寄贈された。出納帳の罫紙(けい・し)を縦に使って鉛筆で記され、十数ページがひもでとじられていた。会では深沢さんの生涯を描いた「村長ありき」の著者で一関市に住む及川和男さん(76)に翻刻を依頼。及川さんは09年夏に1カ月かけて読み解いた。


 原稿には表題がなく、1946年11月公布、47年5月施行の新憲法を解説した内容で、47年2月ごろに書かれたことがわかった。東北帝大を卒業し、中国で敗戦を迎えた深沢氏は46年に帰国、郷里で農業に従事する傍ら、青年会の学習講座で講師役を務めていた。


 深沢氏は原稿で新憲法の性格を「民主政治の原則と平和思想の原則を基本とする」と指摘し、戦争放棄や生存権を中心に解説している。


 深沢氏が村長に就任し、老人医療費の無料化を実施したのは60年12月。この時に県が国保法に違反するとして無料化を思いとどまるよう指導したのに対し、深沢氏は「裁判されるなら受けて立つ。憲法25条に照らして私は絶対に負けない。国は必ずあとからついてくる」と反論した。


 無料化に踏み切る十数年前に憲法を解説した内容や、実施を渋る県を説得したエピソードからは、無料化が単なる思いつきではなく、憲法を深く読み込み、理解したうえで挑んだ様子がうかがえる。


 深沢晟雄の会副理事長の佐々木孝道さん(54)は「深沢さんは、豪雪、貧困、多病多死に直面する沢内の窮状を憲法で切り開こうと考えたのだろう」と語り、及川さんは「深沢村政の原点に憲法があることを裏付ける貴重な資料だ」と話している。


    ◇


 新憲法を解説した原稿の中から以下、一部を抜粋した。


 ▽「日本国の最高意志を決定するものは、国民自身であります。人民の意志が一番高く尊いことを意味します」


 ▽「主権在民の思想が表なら、人民の基本的な生まれつきの権利や自由の主張が裏になって参ります」


 ▽「人間がこの世に生まれたからには、誰でも同じやうに生き行く権利を持ってる」


 ▽「個人が尊重され、凡(すべ)てが幸福になることが民主政治の目標であり」


 ▽「日本は自衛の為にさへ一切戦争をしないし、従って武力さへも永久に放棄することを宣言して居ります。斯(か)かる徹底した戦争放棄は世界史始まって以来ないことであります」


 ▽「一度戦争放棄を宣言した以上は、国際平和の先頭に立って、理想に邁進(まい・しん)せねばならぬ」
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001009160002

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