ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『だから私は推しました』#03

2019-08-13 00:00:08 | TVドラマ全般









 
ドルオタ活動に夢中になることで生活にメリハリが生まれ、仕事にも良い影響が出てきた主人公の愛(桜井ユキ)。

だけど自分が「サニーサイドアップ」というマイナーな地下アイドルグループを追いかけ、ハナ(白石 聖)という劣等生アイドルを「推し」てることを、会社の同僚たちには言えないでいるし、せっかくハナからプレゼントされた応援Tシャツも人前では着れないでいる。

そんな愛とケンカ友達になりつつあるオタク番長=小豆さん(細田善彦)は、「あんたは所詮、みんながイイね!って言うものしかイイね!って言えないヤツだ」「ハナのこと誰かに紹介したことあんのかよ?」って、ズバッと痛いところを突いて来ます。

最近、俳優さんの台詞回しについて色々書いてるついでに言わせてもらうと、今回の小豆さんはストーリーの核心に触れるけっこう重要な台詞を言ってるのに、細田善彦さんの台詞回しだと(少なくとも私の)耳にぜんぜん入って来なくて、最初に観た時はうっかりスルーしちゃってました。(視聴後に公式サイトのあらすじを読んで、初めてその重要性に気づいた次第です)

元より軽薄なキャラクターで常におどけた口調なのに加え、居酒屋で呑んでるシーンでの発言だったせいもあるんだけど、たとえ同じようなキャラクターで同じようなシチュエーションでも、多部未華子さんが演じてたら全然違ってたと思うワケです。

滑舌の問題もさることながら、一言一句の強弱のつけ方、微妙なアクセントの置き方1つで伝わり方が違って来る。それはもう、技術を磨けばどうにかなるもんじゃなくて、脚本と演出の意図をパーフェクトに理解し、それを最も的確な表現に繋げていく天性のセンスと、頭の良さがものを言う……と、私は思います。

日本トップレベルの女優さんと比べるのは酷なことかも知れないけど、細田さんは「しょせん若手のイケメン俳優」と言われたくなければ自分の力量をもっと自覚すべきだし、ディレクターさんも演出でカバーしてあげるべきでした。

同じNHKさんのドラマでも、こういう些末な部分で『これは経費で落ちません!』とのレベル差が露呈しちゃってる、と私は感じた次第です。

閑話休題。ぽんこつ呼ばわりされても懸命に前を向いて頑張ってるハナを見守る内に、愛も変わっていきます。

サニーサイドアップのゲリラライブを応援するためショッピングモールに駆けつけた愛は、そこでバッタリ「意識高め」の同僚たちと出くわしちゃう。

更にそこで愛の姿を見つけて声をかけて来たハナを、つい他人のフリして無視しちゃった愛だけど、地下アイドルを「誰にも望まれてないのに自分で勝手にアイドルを名乗る、身の程をわきまえない痛い子たち」と侮蔑する同僚たちの言葉を聞いて、ついに立ち上がります。

「なんで? なんで身の程なんてわきまえないといけないの? 誰かの許しが無いとやりたい事もやっちゃいけないの? 誰かに望まれないと立ちたい所にも立っちゃいけないの? 誰が決めたのそんなこと? いつの間にそんな決まりが出来たのかって聞いてんの!」

そして愛は、ぽんこつアイドル=ハナの痛々しい姿に自分自身を重ね、それでも逃げずに前を向いてる彼女に勇気をもらい、応援するようになったいきさつを正直に語ります。

けど、意識高めの同僚たちにはまったく通じません。

「共依存っていうんじゃないの、そういうの。カウンセリングとか行った方がいいと思うよ、マジで」

もちろん、それで納得しちゃったらドラマになりませんから、愛は『凪のお暇』の主人公(黒木 華)と同じように「空気を読む」息苦しい日々といよいよ決別し、それまで着れなかったハナのちょっとダサい応援Tシャツを着て、ゲリラライブを全力で応援するのでした。

「好きなことを好きって言えるってさ、イイね!」

そんな愛の台詞も、居酒屋シーンで前振りの台詞を細田さんが(私のハートに残るように)ちゃんと言ってくれてたら、もっとグッと来た筈なんですよね。

まぁそれでも、愛が応援Tシャツを着てることに気づいた、ステージ上のハナの嬉しそうな顔には心を打たれました。これがラブストーリーなら、二人の気持ちが初めて通じ合う至福の瞬間ですよね。

ところで、「依存」っていうフレーズは『凪のお暇』第4話にも違った形で出てきました。社会の中で「空気を読む」ことに疲れたり「依存」に救いを求めることは、今に始まったことじゃないにせよ普遍性がどんどん増し、ドラマでクローズアップされる機会も増えて来ましたよね。

アイドルにハマることが果たして依存なのか(だとしてもそれの何が悪いのか)私には分からないけど、凪が「メンヘラ製造機」と噂される隣人=ゴン(中村倫也)にどんどん惹き込まれ、廃人と化していく姿はなかなかショッキングでした。

「メンヘラ」っていうのはメンタル・ヘルス(精神障がい)をもじったネット造語だそうで、一緒にいる心地好さに中毒性があり、関わった異性がみんな(嫉妬に狂ったりして)精神バランスを崩しちゃうから、ゴンはその製造機。

思い返せば、私の身の周りにもそんな男がいました。そいつといると妙に心地好くて、人生ずっと気楽にやって行けそうな気がして、それまで自分が背負ってた責任を放棄して彼(のグループ)に身を任せようかと思った時期もありました。

すったもんだあって彼とは決別したんだけど、あのまま行ってたら私も廃人みたいになったかも?って思うとそら恐ろしいです。一部の宗教団体にはそれと似たような構造があるんじゃないかと、まぁ個人的には思ったりします。

凪のゴンに対する想いは、確かに恋というより依存なんでしょう。で、ゴンを想って悶々とする凪の様子と、凪を想って悶々とする元カレ=慎二(高橋一生)の様子がシンクロして描かれたのは、二人が似た者どうしであるだけでなく、結局は慎二も凪に依存してるだけってことを、暗に示した演出なのかも知れません。慎二は凪に一方的な癒しを求めてるだけですからね。それを愛とは呼べないでしょう。

つまり良薬と中毒は紙一重。使い方を間違えると症状を悪化させ、同じアイドルオタクでもストーカーまで行っちゃう危険性がある。慎二が今やってることもストーカーと同じですからねw

愛がストーカーに重傷を負わせたいきさつも不明のままだけど、それも依存が過ぎて彼女がメンヘラ化した結果なのかも知れません。同僚に言われた通りカウンセリングを受けるべきだったのかも?w

私自身、刑事ドラマや多部ちゃんへの執着、ブログ執筆への異常な情熱、DVDやフィギュアの収集癖、毎日欠かさないコーヒー、胃腸薬、目薬、火薬、乳首など、数々の依存を抱えて生きてます。どれもこれも、度が過ぎれば何らかの破綻を招くことでしょう。(特に乳首)

『だから私は推しました』も『凪のお暇』も、空気を読みすぎて窒息しそうになったヒロインがオアシスを見つけたものの、依存という落とし穴を前に俊巡する姿を描いてて、一番の天敵が意識高めのOLたちなのも共通してますよねw 私もああいう女たちが大嫌いです。

そんな連中にまったく左右されない『それは経費で落ちません!』の森若さん(多部未華子)は鉄の意志を持ったスーパーヒロインで、依存とも中毒ともまったく無縁な人。(強いて言えば仕事中毒だけどw)

現代ならではの「理想の生き方」を実践してる少数派が森若さんで、本音ではそうなりたくてもなれない多数派が愛や凪、と言えるかも知れません。


PS. それにしても「メンヘラ」とか「コミュ障」「リア充」「バズる」「ディスる」等のネット造語がNHKさんのドラマでも普通に、頻繁に使われるようになって来ました。

若い世代と接する機会が少ない私にはちんぷんかんぷんで、いちいち意味を調べないといけなくて面倒くさいです。ニュアンスは何となく解るけど、ブログに書くとなると正確に意味を知らなきゃダメですから。

なんと言うか、日本語が軽くなっちゃいましたね。浅はかというか、みんなが使えば怖くないみたいな連帯感が、気持ち悪いです。

セクシーショットは、サニーサイドアップの劣等生アイドル=ハナを演じる白石聖さんと、リーダー=花梨を演じる松田るかさんです。
 
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『これは経費で落ちません!』#03

2019-08-12 00:00:04 | 多部未華子








 
面白い! 回を追う毎に面白さを増し、観れば観るほどヒロイン=森若さん(多部未華子)を好きになっちゃいます。これはタベリストであろうがなかろうが関係無いと思います。

山田くん(重岡大毅)の熱烈アプローチに根負けした森若さんは、金曜の夜に2人で食事することに同意しますが、その日にどんな服を着ていくかなんて、いっさい気にしません。

そんな事よりも、几帳面な森若さんは一週間の食事メニューをきっちり決めて作り置きしており、金曜の夜に食べる予定だった「手羽先の唐揚げときんぴら」が翌日にズレ込んでしまう、その番狂わせをやたら気にしてるw

そして当日、フランス料理店に行こうと言う山田くんの提案を「1時間で帰る予定だから」ときっぱり断った森若さんはw、注文した料理がサクッと出てきてサクッと食べられる馴染みの居酒屋に山田くんを連れて行き、そこで何も知らずに「手羽先の唐揚げときんぴら」を注文する彼に、なんとも言えない顔をするんですよねw

この「なんとも言えない顔」の面白さも多部ちゃんの真骨頂の1つだけど、几帳面な森若さんと無邪気な山田くんのキャラクターを、単なる笑いのネタで終わらせずストーリー展開に活かしていく脚本の妙!

そして更に、馴染みの居酒屋ゆえ他の同僚たちも来店してしまい、二人の仲を疑われるも森若さんが即座に全面否定。それで山田くんが凹んじゃうコメディー展開の中で同僚たちがこぼし始めた愚痴が、今回の本筋に繋がっていくという手際の良さ!

そもそも山田くんが森若さんに惹かれていく過程も全てこれまでのストーリーと密接にリンクしており、恋話が決して蛇足にならないし、観てる我々も彼の気持ちがよく解るから応援したくもなって来る。だからこそ、全く噛み合わない2人のデートが笑えるんですよねw

それって必要?って思うような描写や登場人物は一切なく、恋話も経理の話も職場の人間関係も、全てに意味があって全てが巧みに絡み合い、各回のストーリーをテンポ良く進めていく。

原作と脚本のクオリティーが神レベルで、加えてキャスティングも演出も音楽も全てが一級品。本作は今季ナンバーワンどころか、確実に今年ナンバーワン連ドラにノミネートされるだろうし、賞も必ず獲ることになると予言しておきます。本当に面白い!

さて、飲み屋での愚痴から始まる今回のストーリーは、やたら自分や家族の「交通事故」を口実に仕事を休む、営業部のスチャラカ社員=馬垣さん(岡崎体育)が、自分のミスを誤魔化すべく1枚の請求書を隠蔽したが為に採算が合わなくなり、森若さんたち経理部が大変な修羅場に見舞われるという、これもまた「会社あるある」の1つなんだろうと思います。

馬垣さんみたいなヤツ、どこの会社にも1人はいるんじゃないでしょうか? 何年か前に、修学旅行のバスを間違えた日程で予約した担当教諭が、そのミスに気づきながら当日まで言い出せなかったせいで大変な騒ぎになった、みたいなニュースが報道されたのを思い出しました。

責められたり叱られたりする事から逃げてばかりいると、それが体質として染み付いてしまい、大人になって責任ある立場に就いても、こういうとんでもない事をやらかしちゃう。大なり小なり、身近にそんな困ったちゃんがいる、あるいは自分がやらかしちゃった方も多いんじゃないでしょうか?

仕事は出来なくもないのに、そんな逃げ癖のせいでトラブルを大きくしちゃう馬垣さん。一方、よくミスはするんだけど、それを正直にすぐ報告することで被害を最小限に抑えてる、経理部の佐々木さん(伊藤沙莉)。今回の騒ぎで両者の違いが浮き彫りになり、社会人として我々はどう振る舞うべきか、さりげなくこのドラマは教えてくれてます。

そして本エピソードのサブタイトルになってる「逃げる男」。当然それは問題児=馬垣さんのことを指すワケだけど、それだけじゃ済まさないところがこの作品の凄さです。

刑事コロンボ並みの洞察力と推理力を持つ森若さんは、馬垣さんを指導する立場にある営業部のエース=山崎さん(桐山 漣)が、馬垣さんの「やらかし」に気づいていながら放置していたことを見抜きます。

本来は商品開発がやりたかったのに、弁の立つキャラが災いして営業部に回された山崎さんは、トップの成績を上げながらも「やらされてる」感が根本にあり、自分の部署で起きてる問題をどこか他人事みたいに傍観してる。

今回の件でも、あえて放置したことで馬垣さんの逃げ癖が皆に知れ渡り、それなりの処分が下ったんだから結果オーライだと山崎さんは思ってる。

だけど森若さんは、問題を起こした馬垣さん本人よりむしろ、山崎さんを糾弾するんですよね。なぜなら、今回の騒動による社員たちの残業手当てなど合わせて約3万円の経費は、彼がすぐに馬垣さんを止めていれば生じなかった、会社の「損害」だからw

森若さんはいつものように、淡々と彼に言います。

「山崎さんは以前わたしに、馬垣さんのことを『逃げる男』だと言いました。でも、山崎さんも『逃げる男』です。馬垣さんより逃げるのがちょっと上手なだけの」

爽やかイケメンで仕事がデキて、当然女子にモテるし後輩には「神」扱いされ、上司にもチヤホヤされてる山崎さんに、こんなことを何の躊躇もなく言ってのけるのは、世界広しと言えど森若さんだけでしょうw

「営業部では、少しくらい損失を出してもまた挽回できるチャンスがあるのだと思います。でも、私たち経理部は、たった1円の間違いも許されない。誤魔化したり、逃げたり出来ません」

根は真面目な山崎さんが、この日を境に心を入れ替えたのは言うまでもありません。

そしてさらに! いつも経理部を目の敵にし、今回の騒動でも最初は「ざまぁ見ろ」とばかりに高みの見物をしてた営業部長(角田晃広)が、自分の部下の「やらかし」が発端だったことを知るや否や、すぐに「申し訳ない!」って、経理部の面々に深く頭を下げて見せた、その潔い姿勢にも私は感動しました。性格にはいろいろ問題がある人だけど、彼は「逃げない」からこそ部長なんですよね。

会社員として、そして大人として、本来あるべき姿勢、生き方。それを上から目線で説教するんじゃなく、笑わせながら、同時にハラハラもさせつつ教えてくれる、こんなに楽しい人生の教科書が他にあるでしょうか?

これから社会人になる若い世代よりも、むしろ彼らを指導する立場にある大人たちが刮目して観るべき作品だと、私は思います。大袈裟に言ってるんじゃなく、マジメな話です。

さて、次週は森若さんをも凌駕しそうな「鉄の女」キャラで、私の好きな女優さんの1人である平岩紙さんがご登場! こんなに次回が待ち遠しくて、毎回レビューしたくなる連ドラとは、なかなか出逢えるもんじゃありません。

セクシーショットは、今回一番の被害者だった営業部の中島さんを演じてる、松井愛莉さん。この人の台詞回しも一風変わってて、好きですw
 
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『ハンチョウ/警視庁安積班』シリーズ '12~'13

2019-08-11 00:00:05 | 刑事ドラマ HISTORY









 
TBS系列の月曜夜8時枠にて、2012年の春シーズンに全12話、2013年の冬シーズンに全10話が放映された『ハンチョウ』シリーズの第5弾&第6弾。原作は今野 敏、制作はTBS&ドリマックス。

所轄の神南署から警視庁に新設された「特捜一係」へ異動となった安積警部補(佐々木蔵之介)が、まったくアウェイな状況から係長としてチームをまとめていく姿を縦軸に、それまでの人情路線よりハードな世界観で事件捜査が描かれます。

かつてボンクラ上司の命令に従ったばかりに相棒を殉職させてしまったトラウマから命令無視を繰り返す、スコッチ的な一匹狼キャラ=尾崎警部補(小澤征悦)、短気な性格ですぐに暴走しちゃう紅一点=結城刑事(比嘉愛未)、気弱な性格でミスばかりする若手=小池刑事(福士誠治)と、なんとも扱いづらい部下ばかりの新チームに、さすがの人格者=安積班長も今回は手を焼きまくります。

また、特捜一係を創設した張本人の刑事部長=川口警視監(里見浩太朗)がその目的をなかなか明かさなかったり等、シリーズを通して謎を引っ張る今どきの(小賢しい)手法が目立つのが、シンプルだった前シリーズに昭和ドラマ(というか太陽にほえろ!)のスピリットを感じた私としては残念なところ。そのへんはまぁ、時代の流れとして受け入れるしかありません。

なお、第5シリーズの終結をもって特捜一係が解散となり、第6シリーズで再結集(新設の押上分署にチームごと異動)する流れは、後にテレ朝の『警視庁捜査一課9係』→『特捜9』シリーズや『刑事7人』シリーズ等でも見られます。特に前者で解散した9係を特捜班として再結集させる警視総監を、これまた里見浩太朗さんが演じてるもんだから既視感がハンパないですw(果たして偶然なのかスタッフのお遊びなのか?)

ほか、警視庁初の女性捜査一課長に高島礼子、鑑識課員に六平直政、加藤夏希、押上分署刑事課の課長に升毅、押上の町医者に橋爪功、交番巡査に林家正蔵、居酒屋オヤジに金田明夫、といったレギュラーキャスト陣。

女性刑事が「結城」や「真山」だったり、若手刑事が「小池竜也」、おまけに居酒屋のオヤジが「徳吉幸吉」だったり等、昭和の刑事ドラマフェチならニヤリとせずにいられない役名が散見されるのと、あと安積たちが今どきベレッタやガバメント等のいかつい拳銃を使ってるのは、たぶんメインライター=大川俊道さんの仕業ですw

放映枠(パナソニック・ドラマシアター)そのものが第6シリーズ終了をもって廃止され、2019年現在のところ『ハンチョウ』シリーズ再開の噂は聞きません。

佐々木蔵之介さんもお忙しいだろうし、無理をして続ける必要は無いけれど、ちっとも面白味がない『刑事7人』みたいなシリーズを惰性で続けるぐらいなら、私は安積班のその後を見せて欲しいです。
 
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『ダーティ・ママ!』2012

2019-08-10 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の冬シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時「水曜ドラマ」枠で全10話が放映されたコメディータッチの刑事ドラマ。『アンフェア』の原作者である秦建日子さんの同名小説をドラマ化した作品です。

ろくでなしの旦那に見切りをつけ、子連れ狼スタイルで捜査する麻布南警察署・刑事課強行犯係主任の敏腕刑事「マルコー」こと丸岡高子に、永作博美さん。

マルコーが特製ベビーカーに乗せて連れ歩く、幼子のベビーシッターとして交通課から抜擢された相棒刑事「ラッセル」こと長嶋 葵に、香里奈さん。

ほか、恋人=葵との格差に悩む交番巡査に上地雄輔、強行犯係の係長に八嶋智人、刑事たちに佐藤二朗、安田 顕、野間口 徹、林 泰文と、当時は地味に思えたキャスト陣も今となっては豪華な顔ぶれ。

そして第1〜2話のゲスト=西田尚美さんは、男に依存しないと生きて行けない女性の役で、究極の自立型であるマルコーと対比して描かれました。

女性の生き方、仕事への取り組み方っていうのは結局、男とどう関わって行くかが何より重要というか、それが全てと言っても過言じゃないのかなぁ?って、このドラマを観て私は思いました。

男に媚びることなく自立するのか、あるいは男に寄り掛かるか利用するかして生きていくのか? 番組としては前者を圧倒的に支持してる感じだけど、そんなの人それぞれだし好きにすればええやん!って、私は思いました。男はだいたいそう思うんじゃないでしょうか?

けど女性にとっては、身につまされたり指針を発見したりする、何より興味深いテーマなのかも知れません。だからこれは100%女性向けの番組。

刑事ドラマとしては正直、食い足りない印象です。マルコー刑事のキャラは面白いんだけど、ダーティ・ママと呼ぶにはダーティーさが足りてない。

ベビーカーに色んなギミックが仕込んであったり、自分の子供をダシに使って容疑者に探りを入れたり、拷問は自分の手を汚さず後輩のラッセルにやらせたり、盗聴、盗撮、買収と、やってることは確かにダーティーなんだけど、その程度なら昭和ドラマの刑事さん達は日常的にやってました。手ぬるい!w

ただ、特製ベビーカーを押して出勤し、子連れで捜査する女刑事という設定に対して「あり得ない」みたいな声も出たでしょうけど、その点に関しては「あり」だと私は思います。

『デカワンコ』のロリータファッションと同じで、主人公の生きざまを象徴するアイテムだと思うし、絶対にあり得ないとは言い切れないですよねw マルコー刑事の場合、検挙率ナンバーワンの実力があればこその特別待遇であり、ミスを犯せば即免職というリスクを負わされてる等、設定の裏付けで最低限のリアリティーがキープされてます。

でも、装甲車と同じ素材で造られたというあのベビーカー、装備がやっぱり手ぬるいですw 子連れ狼を意識するならマシンガンは必須でしょう? 防弾仕様にはなってるみたいだけど、武器が腐ったタマゴって……w そっちのダーティーかよ!っていうギャグにはなってるんだけどw

何ならロケット・パンチが撃てるとか、それ位はっちゃけないとこのテの話は面白くならない、って私は思うんだけど……そういう部分が淡泊なのも、やっぱり女性向け番組なんですよね。

そんなワケで私は物足りなく感じたけど、永作博美さんの怪演&快演には観る者を惹きつける力があり、赤ちゃんの愛くるしさと相まって本作の見どころとなってます。

ただし相棒役の香里奈さんが、永作さんの力量にイマイチついて行けてないのが惜しい。ラッセルがマルコーにさんざん振り回された挙げ句、最後にプッツンして丁丁発止の口喧嘩になるのが毎回のお約束、かつ見せ場にもなってるんだけど、これがイマイチ面白くない。

不毛な話だけど、ラッセル役がもし多部未華子さんクラスの才能を持った女優さんだったら、その場面見たさに毎回チャンネルを合わせる事になったかも知れません。

香里奈さんも決して下手な人じゃないとは思うけど、美人でコメディも上手にこなせる女優さんは、ほんのひと握り。永作さんの相手役はちょっと荷が重すぎたかも知れません。
 
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『ストロベリーナイト』2012

2019-08-09 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、フジテレビ&共同テレビの制作による刑事ドラマ。

先にテレビ朝日系列で放映された『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』の原作者=誉田哲也さんの代表作と云われる警察小説『姫川玲子シリーズ』を映像化した作品で、2010年秋に2時間スペシャルとしてパイロット版が放映され、その好評を受けての連ドラ化。

翌年には劇場版も製作・公開され、そのスピンオフとなるスペシャルドラマも放映。さらに2019年春シーズンには二階堂ふみ主演による連ドラ『ストロベリーナイト・サーガ』(全11話) としてリメイクまでされる人気シリーズとなりました。

ノンキャリアから異例のスピード出世を遂げた警視庁捜査一課殺人犯捜査第十係の姫川班主任=姫川玲子警部補に竹内結子が扮するほか、その部下に西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、係長に高嶋政宏、日下班主任に遠藤憲一、管理官に渡辺いっけい、監察医に津川雅彦、鑑識課主任に田中要次、所轄署刑事に生瀬勝久、そして玲子の天敵となる勝俣班主任=通称「ガンテツ」に武田鉄矢、といったレギュラーキャスト陣。

魅力的な顔ぶれが揃っており、それだけで観る価値は充分にあるんだけど、内容は凡庸な謎解きもので、さして面白いと私は思えません。

ただ、毎回の殺人事件が『羊たちの沈黙』や『セブン』を彷彿させる猟奇性とゲーム性を孕んでること、そして主人公の玲子や部下の刑事たちがそれぞれ過去のトラウマに苦しみながら捜査する姿が、ダークな作風を嗜好する人たちにウケたのかも?

私はそういうのをあまり好まないけど、猟奇的殺人の再現シーンを決して生々しくは見せず、映像技術を駆使してファンタジックに描いた創り手の配慮には好感を持ちました。より過激に描くことが反骨精神=カッコいいと思い込んでる(としか思えない)おバカさんが映像業界には多いですからね。

とはいえ、同じ原作者による『ジウ』にも感じた事だけど、その設定って本当に要る?って思わずにいられない、ストーリー上で機能してるとは言いがたい設定がやけに多いのは気になります。

例えば、玲子が高校生だった時にレイプされた過去のトラウマ。その事件を担当し、親身になって励ましてくれた女性刑事(国仲涼子)への想いが、警察官を志望する玲子の原動力にはなってるんだけど、今でも折に触れレイプされた時の恐怖と苦痛がフラッシュバックする描写は、果たして必要なのか?

さらに、玲子の母親(手塚理美)もその事件をずっと引きずってて、もう30歳にもなる娘をがんじがらめに(そしてヒステリックに)縛り付ける「毒親」と化した姿を、第1話の冒頭でわざわざ見せる必要があったのか?

そういった設定が玲子の天才的な「刑事の勘」を裏付ける理由になってたり、事件の謎を解くヒントになったりするならともかく、単にキャラクターの背景として存在するだけで、ストーリーにはほとんど影響してない。それはまさに『ジウ』における基子(黒木メイサ)の複雑すぎて誰も共感できないトラウマ設定や、美咲(多部未華子)につけられた渾名「カンヌ」の無意味さ、そして二人の関係性が何のドラマも生まない投げやりさ等とホントよく似てます。

ならばアクションやお色気でサービスしてくれる『ジウ』の方がよっぽど面白いと私は思うんだけど、それでも『ストロベリー~』の方がヒットしたのは、やはり大方の視聴者がアクションより謎解きを好むのと、何となく面白いものを観てるように錯覚させる「魅せ方」が『ジウ』より巧かったという事でしょう。

ついでに言えば、高校時代の玲子にキャスティングされたのが、竹内結子さんとは全く似ても似つかない岡本あずささんである点も意図不明。リメイク版『ストロベリーナイト・サーガ』でも同じように全くタイプの違う2人(二階堂ふみさんと八木優希さん)が演じてますから、これは創り手が「あえてそうした」としか思えません。

あの事件を境に玲子の内面が大きく変わったことをビジュアルで示す、みたいな意図があるんだとしたら、そんなのイタズラに視聴者を混乱させるだけで創り手の自己満足に過ぎないと私は思います。

そもそもドラマ化したり映画化したりするだけの価値がイマイチ感じられない、私には凡庸としか思えない小説やマンガ、あるいは韓国ドラマ等に次から次と、決して安くはないであろう権利料をポンポン支払う日本のテレビ局ってほんと気前がいいですよね。オリジナルでもっと面白いストーリーを、もっと安い金額で書いてくれるライターさんが業界にはいくらでもいる筈なのに……なんとも勿体無いことです。

けど、こういう作品がヒットしてしまうんですよね。そんな世の中なんです。
 
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