ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「M586とキャリーコンプ」

2022-03-23 00:00:04 | コレクション

スミス&ウエッソン製357マグナム・モデル586と言えば『あぶない刑事』で鷹山刑事(舘ひろし)が愛用したリボルバーとして知られてるかと思います。『太陽にほえろ!』でもラガー刑事(渡辺 徹)が末期に使ってました。

’80年代に登場したS&W M586は、その二段構えのバレルがCOLTパイソンによく似てるもんだから、てっきりM19の外見をパイソンに近づけただけの拳銃だと私なんぞは思ってましたが、そうじゃないんですね。

まぁパイソンはライバル社が誇る一番人気のリボルバーだから意識はしてたでしょうけど、M586が開発された真の目的は、357マグナム弾を繰り返し撃つには華奢で、強度に不安のあったM19などKフレーム拳銃の弱点を補うべく、一回りサイズの大きい「Lフレーム」を誕生させる事なのでした。

ちょうどM29 (44マグナム) 等のNフレームとKフレームの中間サイズで、パッと見はそんなに変わんないしグリップはKフレームのと共用出来るもんで、私は長い間その意味がよく解ってませんでした。

ようやく理解したのは後年、MGC社が末期に「Lフレーム・スマイソン」なるモデルガンを、M586のバリエーションとして発売した時でした。従来のスマイソンと比べて格好良くなかったんですよね。シュッとスマートなKフレームだからこそスマイソンはカッコいい。Lフレームは、やっぱりゴツい。

で、M586です。S&W社の357マグナム決定版って事で当時人気を集め、日本ではMGC、コクサイ、マルシンの3社がほぼ同時期にABSモデルガンを競作&発売するという、実に面白い現象が起こりました。

どれも甲乙つけがたい程よく出来てたんだけど、まずコクサイのM586はバレルの形状がリアルじゃなくダサかったもんで、私は最初からスルーしました。

最初に買ったのはMGC製M686(586のシルバー版)の4インチ。けっこう気に入ってたけど自主制作映画の撮影で酷使し、傷だらけになっちゃったもんで現在はパーツ取り用として箱に収めてあります。

で、近年になってネットオークションで購入したのがコレ。MGC製M586の4インチ、ノーマルABSバージョン。↓



グリップはMGCが確か「ファイティング・グリップ」って名称で当時発売してた木グリです。フィンガーレスト付きのグリップは好みが岐れるところで、私も決して握り易いとは思わないけど、本来の分厚いヤツよりはマシだし、何より見た眼がカッコいいから万事OK。実際に撃つワケじゃないですからね。



細かい部分のリアルさや作動面ではマルシン製M586に軍配が上がると思うけど、バレルのデザインはMGCの方が格好良く感じるし、何度も書いて来たように結局「黒い地肌でテカテカ光ってる」ノーマルABSが一番好きなもんで、今でもよくイジるのはこのMGC製のM586です。

ところで、パッと見はよく判んないLフレームとKフレームの違いだけど、シリンダーを開けるとその肉厚の差がよく判ります。上がLフレーム(M586)で、下がKフレーム(M19)です。



画像だと判りにくいかも知れないけど、とにかく違うんだから仕方がない!

S&W M586はCOLTパイソンと似た形状ながら断然スタイリッシュで、私はどっちが良いか甲乙つけ難いです。パイソンは武骨でありつつ優雅だし、それぞれ違った魅力があるんですよね。

さて、私はMGCのが一番お気に入りだけど、誰かにオススメするとなれば話は別。クオリティーの高さでは断然マルシン社のM586が一番で、現在でも生産が続いてますから入手もスムーズ。



↑これはマルシン製M586・4インチのノーマルABSモデルを、流麗な塗装でドレスアップしたカスタム品。ネットオークションで入手しました。

画像ではイマイチ伝わらないかも知れないけど、すごく綺麗に仕上げてあります。かつて私も塗装には何度かチャレンジしたけど、ここまで滑らかな艶を出すスキルは到底ありません。売りに出されたのはプロのモデラーさんかも?

グリップはホーグ製のラバー。スリムで握り易いし、M586によく似合ってます。



↑そして、こちらもネットオークションで入手したマルシン製M586の4インチ、ヘビーウェイト・バージョン。グリップはお馴染みのパックマイヤー製ラバーです。

これ、ヘビーウェイトモデルなのに格安&即決で出品されてて、そう言えばヘビーウェイトのM586は持ってなかったしと軽い気持ちで落札したんだけど、届いたら驚いた!

これも画像じゃ判りにくいけど、ただのヘビーウェイトモデルじゃなくて「ブルーイング・カスタム」だった!



つまり全身ガンブルー液で染めてある。オークションの画像を見た限りじゃ判らなかったし、ブルーイングのブの字も記されてなかった!

これは塗装より遥かに手間のかかる作業で、普通なら少なくとも定価の倍以上、プロの仕上げだと3倍の値は付くところ。それが定価の半額以下で買えちゃった。

たぶん、出品した人はトイガンに関しての知識が無く、知り合いから譲り受けた物を価値も知らずに出品されたんでしょう。オークションはたまに痛い眼にも遭うけど、こんな嬉しいサプライズもあったりするから面白いです。



↑こちらはイベントで安売りされてたマルシン製M586の6インチ・ノーマルABSモデル。グリップはこれもパックマイヤー製ラバー。

作動性能はこれが我が家にあるM586シリーズの中で一番良く、タナカ・ワークス社のKフレシリーズにも負けてません。たぶん前のオーナー(あるいはイベントに出品した店主)が丁寧に調整してくれたんでしょう。



↑これは最近オークションで入手したMGC製M686の6インチ。M586の4インチに着けてるファイティング・グリップは本来これに着いてました。

つまりグリップが目的でこれを落札したワケだけど、2挺目のM686が手に入ったお陰で、傷だらけの4インチをパーツ取りに回す踏ん切りがつきました。

で、その結果、こんな珍品が生まれちゃいましたw↓



これはMGC社が末期にリリースしたM586ヘビーウェイト・バリエーションモデルの1つ「キャリーコンプ・カスタム」に、686のトリガー&ハンマー、サムピース、そしてシリンダーを移植した俺ジナル・モデルガン。その名もブラック・ジャック!(いま名付けました)



悪趣味!とおっしゃる方も多いかと思いますが、私はギリギリ格好良いと思ってます。いかがなもんでしょう?

これ、たぶんノーマルのM586がベースだと悪趣味になっちゃう。キャリーコンプのデザインだからこそ下品にならない。(と、私は思う)

いっぺんグリップも木製に替えてみたけど、それだとおかしくなっちゃう。ブラック1色のアンクルマイクスだからこそ品が保ててる。つまり黒と銀の2色オンリーなのが良いんですよね。(と、私は思う)



なぜこんな仕様にしたかと言えば、実はやむにやまれぬ事情があってのこと。ベースとなったM586キャリーコンプの動きがすこぶる渋くて、だけどどう調整すれば良いか分からず、箱にしまったまま長年放置してたんですね。

で、最近、上記のいきさつにより傷だらけのシルバーモデル686をパーツ取りに回すことになり、まずトリガー&ハンマーを交換したんだけど、それでも渋い。

なんでこんなに渋いのか、あらためてよく観察してみると、どうやらシリンダー(弾倉)がフレームに干渉している! なぜだか知らないけど、ABS用の金型でヘビーウェイトモデルを造ると、やや膨張する傾向があるみたいです。(と、私は思う)

で、それを確かめる為に686(つまりABS)のシリンダーをはめ込んでみたら、めっちゃスムーズに動くじゃないですか! 少なくとも我が家にあるMGC製586の中じゃダントツに動きが良い!

それと、私がけっこう重要視してる「操作音」の良さ! シリンダーを回転させたり出し入れしたりする時のカチャカチャ音が妙に心地良い! ABSとヘビーウェイト材が混じってるから独自の音を奏でるワケです。



最初、サイドプレートもシルバーにしてたんだけど、さすがにヤリ過ぎと思って元に戻しましたw 黒い部分が多い方が締まって見えるし。



30年ほど前に買ったビアンキ製の本革ホルスター。ずっとM10の3インチ(つまりKフレーム)用に使ってたんだけど、ちょっと隙間が出来ちゃうのが気になってました。

で、今回試しに586キャリーコンプを挿し込んでみたら、なんとジャストサイズ! どうやらLフレーム用(あるいはL&K兼用)に造られたホルスターみたいです。



ええ歳して何やってんねん?って思われるでしょうが、楽しいんだから仕方ありません。大霊界はあるんだから仕方がない!

オートマチック拳銃だと珍しくもないツートンカラーだけど、リボルバーにもあって良いじゃないですか?(すでに無くもないみたいだけど)

そんなキャリーコンプのほか、MGC社はM586の3インチと2.5インチ、前述のLフレーム・スマイソン、限定生産のPPCカスタム、そしてなんとLフレームのミリポリ (!) なんかも発売してたみたいだけど、程なくして店じまいしちゃいました。

モデルガンの最盛期に我々を大いに楽しませてくれたMGCさんが、最後に作ったリボルバーがM586モデルガンだったワケです。


 


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6 コメント

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Unknown (にっしん)
2022-03-23 14:44:37
シルバーのシリンダー!
イカしてますね‼️

おっさんモデルガンマニアなら多分惹かれると思います!
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Unknown (harrison2018)
2022-03-23 18:00:11
おっさん限定でも賛同してもらえて良かったですw
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Unknown (1938goo)
2022-03-24 09:06:43
今回も眼福でした。どれも素晴らしいコレクションだと思います!
586、今まで所有したことがありません。はるか昔のマルシンのキット、あぶない刑事が印象深いです。「ドック刑事が使っている」なんてコピーのように、誰かが使っているのは大きいです。
Kフレームとの違いはサムピースとフレームの間隔で見ていましたw。

マグナムを常用出来ないは、高校の同期から説教されました。彼はコルト好きで、ぼくのM19(コクサイ)と自分のローマンを比べて「この質実剛健さ!S&Wなんてサタデーナイトフィーバーが使う銃なんだよ」などと、散々言われましたw。サタデーナイト…は週末の夜にうごめく粗暴犯のことを指していまして、貧民層が手にする銃と言う意味でした。

ハリソンさんのブログは物欲を刺激されていろいろヤバいですw。ぼくも586が欲しくなってしまいました。

ツートンカラー、悪くないと思います。最近のスカンジウム合金を使ったリボルバーはそういうのがあるみたいですが、昨今のGUN事情は良くわかりません。
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Unknown (harrison2018)
2022-03-24 12:07:59
貧民層が使うのかどうか分かりませんがw、機能美のS&Wに対してコルトのリボルバーにはアートの香りがしますよね。どっちが好きか、私の場合はその日の気分によって変わる感じです。

コレクションはまさに麻薬です。ふとしたキッカケで再発症しちゃう。手始めにM586から如何ですか?w
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Unknown (kawakami(偽者))
2022-03-26 07:05:45
羨ましくなんかないぞ(笑)
Lフレームについて
Kフレームってのはコルトだとディティクティブなんかに使われるDフレームが相当して
コルトにはそのほかに
パイソン以外はMk3アクションになってしまったIフレーム
M1917などに使われたラージフレーム(S&WのNフレーム相当)
があります
Iフレームはオフィシャルポリスなどでかなりシェアを取っていたコルトですが
MkⅢアクションではそれを維持できていなかったので
このセグメントを狙ったんではないかと
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Unknown (harrison2018)
2022-03-26 11:59:34
コルトのリボルバーはパイソンとSAAばかりトイガン化されて、もっとバリエーションが欲しいところです。

ダイアモンドバックなんかはDフレームになるんでしょうか? タナカさんにディテクティブスペシャルを故障しないよう改良して頂き、ダイアモンドバックとか新型ディテクティブなんかも出して頂きたいです。
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