2012年 私が観た展覧会 ベスト10

ギャラリー編に引き続きます。私が今年観た展覧会のベスト10をあげてみました。

「2012年 私が観た展覧会 ベスト10」

1.「トーマス・デマンド展」 東京都現代美術館(5/19-7/8)



率直なところ、このデマンドと具体とポロック、どれを1位にするのか相当に迷いましたが、初見時の頭を殴られたような衝撃。その観点からもデマンドを1位にすることにしました。「紙で出来たリアル」。いずれの作品も匿名的で、なおかつ恐ろしいまでの不在感、しかしながら実はその奥底に何らかの事実と物語があった。今自分が見ているもの、体験しているものは一体何なのか、そしてそれは確かなのか。そうしたものを強く考えさせられる展示でした。

2.「具体-ニッポンの前衛 18年の軌跡」 国立新美術館(7/4-9/10)



2004年に兵庫県美での回顧展を見て強く興味を惹かれた具体。まさか東京でこれほどの規模での展覧会が行われるとは思いもよりません。戦後に興った僅か20年弱の美術の一潮流。そして万博での終焉。必ずしも順風満帆ではないものの、そこには確かに何かを変えようとする芸術家たちがいた。ドラマテックな展開に終始、圧倒させられました。

3.「ジャクソン・ポロック展」 東京国立近代美術館(2/1-5/6)



私が抽象絵画を好きになったきっかけの一人であるポロック。まさに待望の回顧展です。ともかくこれまでは断片的にしか見てこられなかったので、時間軸に沿いながら作品を追うだけでも感無量。オールオーヴァーおける生命感と躍動感。それが晩期になってかなり変容していく。どうしても壮絶なポロックの人生を思わずにいられませんでした。

4.「美術にぶるっ!第2部 実験場1950s」 東京国立近代美術館(2012/10/16-2013/1/14)



東近美のリニューアルオープンにあえてこれをぶつけて来た企画の方の熱意、まずはそこに頭を下げたいと思います。50年代の混沌、また反面での成長。それが今とどう関係していくのか。原爆で幕を空け原爆でまた閉じる構成は、我々に何を問いかけているのか。じっくり丁寧に向き合い、その意味を噛み締めたい、そう感じる展示でした。

5.「須田悦弘展」 千葉市美術館(10/30-12/16)



あちこち歩き回りながら「あった!」と見つける喜び。そこに艶やかな草花がそっと。これを愛おしいと呼ばずに何というのでしょうか。また千葉市美らしく江戸絵画や古美術と取り合わせた企画も魅力アップ。さや堂を今回ほど効果的に使った展示も初めてでした。公開制作を見学したのも良い思い出です。

6.「セザンヌーパリとプロヴァンス」 国立新美術館(3/28-6/11)



約40年ぶりとなる大回顧展。基本的に時間軸に沿いながらも、二つの都市、パリとプロヴァンスに焦点をあて、さらにいくつかのテーマに分けた章立ても、また画家の多面性を知るのに相応しい内容ではなかったでしょうか。どこか取っ付きにくい印象もあるセザンヌ、しかしかの繊細なタッチ、そして知的遊戯というべき視覚的実験。その面白さ。画家の進取性を改めて知る思いがしました。

7.「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」 千葉市美術館(4/10~5/20)



キャッチーなタイトル、しかしながら展示は至極充実。蕭白の魅力全開です。また前史や同時代の画家と比較する丹念な構成も秀逸。蕭白の特異性を知るとともに、当時の画壇から如何なる影響を受けているのかを知ることが出来ました。またランクに入れませんでしたが、今年は東博の「ボストン美術館展」でも蕭白は主役。まさしく蕭白イヤーだったと言えそうです。

8.「シャルダン展」 三菱一号館美術館(2012/9/8-2013/1/6)



今年も好企画連発の三菱一号館の中でもとりわけ強い感銘を受け、また余韻を覚えた展覧会です。寡黙でかつ静謐、静物に差し込む詩情。実は2度ほど行きましたが、見れば見るほど深い味わいに虜となる。噛めば噛むほど味が出る。実に趣き深い絵画体験をすることが出来ました。

9.「おもしろびじゅつワンダーランド」 サントリー美術館(8/8-9/2)



いわゆるテーマパーク体験型の展覧会。確かに夏休みの特別企画という面はあったでしょう。しかしながら間違いなく一般的な展覧会の在り方に風穴を開けた企画。様々な角度からさらに検証してしかるべき、非常に意義深いものであったに違いありません。これほど観客が目をキラキラさせながら日本美術に親しんだことがあったのか。本当に楽しかったです!

10.「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」 国立新美術館(10/3-12/23)



今年は注目のマウリッツ、そしてベルリンにエルミタージュなど、いわゆる西洋の名画名品展も充実していましたが、最も印象深いのがこのリヒテンシュタインです。もちろんかのバロックルーム、本邦初となる天井画の展示にも圧倒されましたが、ルーベンスの諸作も充実。コレクションの層の厚みを思わせる内容で見入りました。来年のBunkamuraでのルーベンス展にも期待しましょう。

次点.「ドビュッシー、音楽と美術」 ブリヂストン美術館(7/14-10/14)

次点のドビュッシーは作曲家を基点にしながらも音楽と美術の関係を問うもの。双方のジャンル、親和性が高いとされながらも、それだけで片付けられないのも事実。しかしながらそこにあえて切り込んだ企画には深い意義があったのではないでしょうか。またオルセー蔵の名品も多く、西洋絵画展としても相当に見応えがありました。

またドビュッシー展の絡みでは、荻窪の6次元で「ドビュッシーナイト」なる企画を。不肖私が進行役をつとめさせていただきました。振り返れば今年は展覧会やイベントなどを通して、多方面の方と交流を深められた一年だったと思います。こうした繋がりに改めて感謝です。

またベストには入れなかったものの、特に印象に残った展覧会は以下の通りです。

「田中一光とデザインの前後左右」 21_21 DESIGN SIGHT(2012/9/21-2013/1/20)
「ベン・シャーン展」 埼玉県立近代美術館(2012/11/17-2013/1/14)
「中西夏之展」 DIC川村記念美術館(2012/10/13-2013/1/14)
「ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画」 根津美術館(11/1-12/16)
「篠山紀信展」 東京オペラシティアートギャラリー(10/3-12/24)
「古道具、その行き先-坂田和實の40年」 渋谷区立松濤美術館(10/3-11/25) 
「棚田康司 たちのぼる。展」 練馬区立美術館(9/16-11/25)
「さわひらき展 Whirl」 神奈川県民ホールギャラリー(10/23-11/24)
「日本の70年代 1968-1982」 埼玉県立近代美術館(9/15-11/11)
「ポール・デルヴォー展」 府中市美術館(9/12-11/11)
「与えられた形象 辰野登恵子/柴田敏雄」 国立新美術館(8/8-10/22)
「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(8/4-10/8)
「特撮博物館」 東京都現代美術館(7/10~10/8)
「ベルリン国立美術館展」 国立西洋美術館(6/13-9/17)
「お伽草子 この国は物語にあふれている」 サントリー美術館(9/19-11/4)
「船田玉樹展」 練馬区立美術館(7/15-9/9)
「村山知義の宇宙」 世田谷美術館(7/14-9/2)
「ハラ ドキュメンツ9 安藤正子―おへその庭」 原美術館(7/12-8/19)
「バーン=ジョーンズ展」 三菱一号館美術館(6/23-8/19)
「吉川霊華展」 東京国立近代美術館(6/12-7/29)
「福田平八郎と日本画モダン」 山種美術館(5/26-7/22)
「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」 東京都写真美術館(5/12~7/16)
「近代洋画の開拓者 高橋由一」 東京藝術大学大学美術館(4/28-6/24)
「ボストン美術館 日本美術の至宝」 東京国立博物館(3/20-6/10)
「KORIN展」 根津美術館(4/21-5/20)
「草間彌生 永遠の永遠の永遠」 埼玉県立近代美術館(4/14-5/20)
「難波田史男の15年」 東京オペラシティアートギャラリー(1/14-3/25)
「今和次郎 採集講義展」 パナソニック汐留ミュージアム(1/14-3/25)
「ジャン=ミシェル オトニエル:マイウェイ」 原美術館(1/7-3/11)
「あざみ野コンテンポラリーvol.2 Viewpoints」 横浜市民ギャラリーあざみ野(2/4-2/26)
「北京故宮博物院200選」 東京国立博物館(1/2-2/19)

如何でしょうか。たくさん挙げてしまいましたが、いずれも思い出深く、また甲乙付け難い内容。これ以上は絞り込めませんでした。

皆さんは今年一年、美術や音楽で、どのような感動、発見、衝撃、そして出会いがあったでしょうか。本エントリに展覧会のベスト10についてTBなりコメントをいただけると嬉しいです。

これで年内のブログの更新は終わります。本年もこの拙い「はろるど」とお付き合い下さりどうもありがとうございました。それではどうか佳いお年をお迎え下さい!

*過去の展覧会ベスト10
2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年その2。2003年も含む。)

*関連エントリ
2012年 私が観たギャラリー ベスト10
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (通りすがり)
2013-01-01 12:33:46
失業中であんまり東京・大阪には行けてませんがざっと2012年も各美術館の学芸員さんががんばった展覧会が沢山あって楽しめました。
今年は景気が良くなるとか言われていますが、予算が付いて印象派ばかりにもどりませんように。


マウリッツハイス美術館展 東京都美術館
 やっぱり「真珠の耳飾り」。

エル・グレコ展 国立国際美術館
「無原罪のお宿り」が良いのは当然だが、20世紀前半の写真では大きかったがその後ぶった切られて小さくなってる作品や疑問点がある作品とか解説読むと結構楽しい作品が多くあった。

瀧口修造とマルセル・デュシャン 千葉市立美術館
村山知義の宇宙 京都近代
 このあたりは日本国内であれば必ず追っかけ

コレクションの誘惑 国立国際美術館
 これにあわせて開催されたシンポジウム「写真の誘惑---視線の行方」の 森村泰昌・米田知子のやり取りも印象にのこった。 

マン・レイのパリ 1972年 ギャラリー マロニエ(京都)
 マン・レイコレクター石原氏のコレクション展。
 
 
 
Unknown (すぴか)
2013-01-01 21:45:43
あけましておめでとうございます。
ウィーン・フィルの生中継もいたってなごやかに
やってますね。ウエルザーメストさんと団員の
一体感がすごい!

ベスト10、あの1位と2位は全然しらなくて、
ポロックでやっと、、抽象画にお強いのですね。「美術にぶるっ!」も、実験場はとても、見て通
るのがやっとでした。

知らないものが多すぎる私ですが、これからも
よろしくお願いいたします。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2013-01-28 21:20:52
@通りすがりさん

こんばんは。ご丁寧にコメントをありがとうございました。

>エル・グレコ

ちょうど今、東京に巡回してきて、私も先日見てきたところです。
好きな画家なのでさすがにあのスケールだと感無量、
色々と賛否のある作品もあるようですが、見応えがありました。

>国立国際美術館

去年は好企画連発でしたね!
今年はもう少し関西へ行けるようになれば良いなと思ってます。


@すぴかさん

こんばんは。

>ウィーン・フィルの生中継

やはりお正月はニューイヤーコンサートですよね。
今年も楽しかったです。

遅くなりましたが、今年も宜しくお願いします!
 
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