「山口晃展 画業ほぼ総覧」 群馬県立館林美術館

群馬県立館林美術館
「山口晃展 画業ほぼ総覧ーお絵描きから現在まで」
2013/10/12-2014/1/13



群馬県立館林美術館で開催中の「山口晃展 画業ほぼ総覧ーお絵描きから現在まで」を見てきました。

『かつてないほどに網羅的な山口晃展。』

本展の特徴を一言でいえばこう表せるのではないでしょうか。


「TOKIO山水 東京圖2012(部分)」2012年

画家の山口晃は群馬県の桐生市生まれ。高校までを同地で過ごした群馬県人でもあります。つまりは故郷での回顧展です。出品は旧作から近作、絵画や立体にインスタレーションなど全80点弱。また基本的に時系列での展示ですが、途中に澱エンナーレの総集編を挟み、大作「TOKIO山水」へと流れるという構成は一つのストーリーを紡ぐようでもある。山口ワールドをいくつかの視点から俯瞰する内容ともなっています。

それでは展示のポイントを。まず驚かされるのは出品作で一番古いのが3歳の頃だということ。もちろんそれは『作品』ではなく『お絵描き』ですが、その中にも今の山口の画風を思わせる要素があります。メカにロボットに骸骨とオバケ。いずれも細かな線です。こうした関心が幼少期からあったことが伺い知れます。

また高校の卒業アルバムの表紙を山口が描いたそうですが、それも参考資料として展示。さらに同じく高校時代の文芸誌まであります。まさに故郷ならではの試み。3歳まで遡るとは思いもよりませんでした。


山口晃「深山寺参詣圖」1994年 仙庄館

さて展示では90年代の初期作も見どころです。例えば「深山寺参詣圖」(1994年)に「神鳥図」(1996年)。時空を超えての伽藍と人間模様。現代と江戸と古代の混在した一枚。ちなみに両者とも初公開の作品です。(深山寺は美術館としての初公開。)

「中西夏之氏公開制作之圖」(2003年)も初めて見ました。いうまでもなく画家、中西氏の制作の様子を表した作品。イーゼルにキャンバスを立てて筆をとる中西氏。それを追っかけながらメモを取る観客の姿。画家に特徴的な紫色の絵具が画面を覆います。

澁澤龍彦の「貘園」(2004)の挿画も見慣れないシリーズです。露骨な性描写も登場しますが、そこはある方法でカモフラージュされている。山口の機知を感じます。


山口晃「三浦しをん『風が強く吹いている』表紙原画(部分)」2006年

なお展示では「江戸しぐさ」や三浦しをんの「風が強く吹いている」の他、ドナルド・キーンの「私と20世紀のクロニクル」などの挿画の原画が多数出ているのも嬉しいところです。かなりのスケールでした。

「こたつ派」(1997年)のDM原画も目を引きました。これは会田誠の呼びかけの元、ミヅマで開催されたグループ展のこと。山口晃の実質的デビューとなった展示でもあります。


山口晃「フランス重騎兵」(日清日露戦役擬畫より)2002年

少なくとも都内近辺の山口展はそれなりに目を通しているつもりですが、今回は未見のものも多く、新鮮味もありました。


山口晃「百貨店圖 日本橋 新三越本展(部分)」2004年 三越伊勢丹

現在、上毛かるたをテーマとした新作を鋭意制作中です。ご本人によればもう間もなく出来上がるとか。またカタログは予約での受付。完成は12月下旬だそうです。

「ヘンな日本美術史/山口晃/祥伝社」

館林は北千住から伊勢崎線の特急に乗ってしまえば50分弱。駅からのアクセスにやや難がありますが、最寄りの多々良駅から歩けないこともありません。都内からは意外と近い美術館です。



2014年1月13日まで開催されています。

「山口晃展 画業ほぼ総覧ーお絵描きから現在まで」 群馬県立館林美術館
会期:2013年10月12日(土)~2014年1月13日(月・祝)
休館:月曜日。但し祝休日の場合は開館し、翌日休館。群馬県民の日10/28は開館。及び年末年始。(12/29~1/3)
料金:一般800(640)円、大高生400(320)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *群馬県民の日(10/28)は観覧無料。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) 
住所:群馬県館林市日向町2003
交通:東武伊勢崎線多々良駅から徒歩約20分。伊勢崎線館林駅からバス多々良巡回線にて「県立館林美術館前」からすぐ。バス停「西高根町」からは徒歩約15分。
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山口 晃 展 / 群馬県立館林美術館 (南風録ぶろぐ)
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