「京都・細見美術館 琳派のきらめき」 日本橋高島屋8階ホール

日本橋高島屋8階ホール
「琳派400年記念 京都・細見美術館 琳派のきらめきー宗達・光琳・抱一・雪佳」
4/29~5/11



日本橋高島屋8階ホールで開催中の「京都・細見美術館 琳派のきらめき」を見てきました。


本阿弥光悦(書)・俵屋宗達(下絵)「忍草下絵和歌巻断簡」 江戸前期

琳派コレクションで定評のある京都・岡崎は細見美術館。うち宗達・光悦にはじまり、光琳・乾山、また抱一・其一、さらには明治以降の雪佳らの作品が、ここ東京・日本橋へとやって来ています。

雅やかな屏風がお出迎えです。伊年印の「四季草花図屏風」。6曲1双の金地に描かれたのは色とりどりの草花です。四季とあるように、春夏秋冬、バランス良く配置されていますが、その種類には2パターンあるとのこと。大根や茄子といった中国の蔬菜図由来の野菜と、撫子や菖蒲といった大和絵の草花が混ざっているそうです。

斬新な構図に目を奪われます。光悦、宗達の「月梅下絵和歌書扇面」です。大きな月が扇面を分断します。梅の枝が月に重なって描かれていました。

分断すると言えば宗達の「墨梅図」も同様です。縦にスクっと伸びる梅枝が軸画の画面を左右に二分しています。墨の滲みによる梅のニュアンスも美しい。水墨の名手、宗達ならではの技を堪能することが出来ます。


俵屋宗達「双犬図」 江戸前期

さらに水墨といえば「双犬図」も忘れられません。戯れあうのは白と黒の仔犬。宗達得意のたらし込みです。墨は瑞々しい。見事に犬の身体を表現しています。


中村芳中「白梅小禽図屏風」 江戸後期

光琳は小品の掛軸が3点。乾山は2点です。また上方の絵師では和みの琳派こと中村芳中が充実。こちらは7点です。うち「白梅小禽図屏風」はどうでしょうか。千葉市美術館での芳中展のチラシ表紙を飾った作品、広がる梅の木の様子はまるで人が両手を開いているかのようです。丸っこい梅の花は光琳由来なのでしょうか。何やら可愛らしくもあります。

ハイライトは江戸琳派と言って差し支えありません。抱一10点、其一9点をはじめ、いわゆる雨華庵の絵師、鈴木守一や酒井道一、唯一と続きます。その数は40点超。全出展数93点のうちの4割超を占めています。

若き抱一の描いた美人画が出ていました。「松風村雨図」です。一見するとほぼモノトーン、渋い色遣い。当時流行した紅嫌いとも称される作品です。酒井家に伝わり、抱一の兄と同じ着物の巻物が用いられています。


酒井抱一「白蓮図」 江戸後期

細見コレクションでも人気の「白蓮図」がお出ましです。もう何度も何度も見た作品ですが、上部の大きく開いた蓮の花の美しさと言ったら比類がないもの。もちろん白い花の透明感も素晴らしい。一方で下の蕾は薄っすら緑色を帯びています。間もなく朽ちる花とこれから開こうという花の対比。生命のはじまりと終わり。構図にも隙がありません。


鈴木其一「藤花図」 江戸後期

まさに見頃ではないでしょうか。其一の「藤花図」です。たくさんの花を蓄えた3つの房が縦に垂れていますが、花は思いがけないほど写実的です。さも実際の藤を前にしているかのような臨場感さえあります。

また其一では「雪中竹梅小禽図」も良いもの。ねっとりと粘り気を帯びた雪が竹に積もっています。ちょうど今、雪が落ちたのかもしれません。小鳥が慌てたかのように飛び立っています。

「垣に秋草図屏風」は抱一の門下生、抱二の代表作だそうです。6曲1双の金地の屏風絵。随所の垣には流麗な秋草が描かれ、合間を余白が埋めています。こうした作品を見ると屏風が本来的に室内空間を飾る調度品であったことを思い出します。部屋に置いたらさぞかし映えるのではないでしょうか。

同じく屏風では「四季草花草虫図屏風」に惹かれました。作者は不詳、タイトルの如く四季の草花や虫の描かれた屏風ですが、左右で随分と表情が変わります。と言うのも右隻は金地なのに対し左隻は銀地。そこに秋と冬の光景が表現されているのです。

雪をかぶり、まるで凍りついたかのような木は、銀地の効果を借りてか、より寒々しく、冬の気配を伝えています。それに植物だけでなく、虫も面白い。アゲハチョウが花にやってきて蜜を吸う姿までが描かれています。


神坂雪佳「金魚玉図」 明治末期

ラストは神坂雪佳です。お馴染み「金魚玉」にはじまり、香合や硯箱まで16点。この明治・大正の京琳派を楽しめるのも、細見コレクションならではと言えるのではないでしょうか。


尾形光琳「柳図香包」 江戸中期

細見コレクション、何かと巡回展が多く、見る機会も少なくありませんが、良いもの、好きなものは、何度見ても楽しい。琳派好きにはたまらない展覧会でした。


「日本橋高島屋 琳派400年記念」WEBサイト

なお会場の日本橋高島屋では同じ8階の催会場で「京のみやび 伝統の味と技展」を開催中(5/6まで)。また全館規模で「RIMPA百花繚乱」と題し、琳派に因んだ様々なイベントを行っています。さすがに百貨店、この辺りは抜け目ありません。

「琳派・若冲と雅の世界/青幻舎」

5月11日まで開催されています。

「琳派400年記念 京都・細見美術館 琳派のきらめきー宗達・光琳・抱一・雪佳」 日本橋高島屋8階ホール
会期:4月29日(水・祝)~5月11日(月)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00 *入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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