都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「アーティスト・ラボ つくられるの実験」 川口市立アートギャラリー・アトリア
川口市立アートギャラリー・アトリア
「アーティスト・ラボ つくられるの実験」
7/19-8/31
川口市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「アーティスト・ラボ つくられるの実験」を見て来ました。
「つくる実験」ではなく「つくられるの実験」と題した展覧会。出品は「気鋭」(公式サイトより引用)の4名のアーティストです。いわゆる個展形式で絵画にインスタレーションなどの展示が行われています。
[出品作家]
江川純太
谷本真理
知念ありさ
安西剛
さて「つくられる」とは一体何か。答えは観客がアーティストとともに作品をつくること。平たくいえばワークショップ、参加型の展示と言えるかもしれません。ゆえに作品からすれば観客に「つくられる」というわけなのです。
会場内、撮影が出来ました。
知念ありさ「Topography of the Dots/点々の在り処」
2014年 紙、シール、アセテートフィルム、糸、ピン
まずは知念ありさです。宙に浮く青と白のドット。それこそ点々と連なっているわけですが、壁面にも同じように点々が広がる。今にもさも散りそうな面、時にまるで鳥の羽根のようにも映ります。テーマは身体です。お分かりいただけるでしょうか。いずれも両足をモチーフとしている。確かによく目を凝らすと親指に爪のようなものが見える。そこに無数の点々が記されていることが見て取れます。
知念ありさ「Topography of the Dots/点々の在り処」
2014年 紙、シール、アセテートフィルム、糸、ピン
そしてこの点々を実際に身体へ描くワークショップも行われるとか。作家は元々、風景をテーマにしていましたが、今回新しく身体に着目しました。身体に潜む意外な造形。それをドットを介して発見する契機となるやもしれません。
谷本真理「起きてるつもりだった」
2014年 布団、陶土、紙粘土、木材、ロープ、ペン ほか
続いては谷本真理です。床面にうち広げられた無数の布団に吊るされたロープ、そして木材にシート。粘土も転がっています。キャプションには「一人遊びの痕跡」とありました。ようはこの布団の上で寝転がりながら粘土なりを触ってかたちをつくる。その意味では最も「つくられるの実験」に近い作品とも言えるでしょう。会期中の土日(一部除外日あり)は実際に観客が中に入って参加することが出来るのです。
素材の「感触」や「心地よさ」に強い関心を持つという谷本。確かに粘土も布団も触感が魅惑的です。来場者の行為如何では思いがけない方向にも展開し得るインスタレーション。私も靴を脱いでしばし布団の触感を楽しみました。
安西剛「platonic machines」
2014年 指示書、日用品、モーター、鉄管、木材 ほか
日用品とモーターを利用して「きかい」を制作するのが安西剛です。タイトルは「platonic machines」(2014)。鉄パイプでしょうか。木材と組み合わされた構造物。随所にはそれこそ日用品、カラフルなプラステック製の洗濯干しなりラックなどが釣り下がっています。そして写真では分かりませんが、いずれも可動式です。くるくる回ったり、ばたんばたんと上下に倒れたりして動いています。
安西剛「platonic machines」
2014年 指示書、日用品、モーター、鉄管、木材 ほか
その様子は何ともユーモラス、ついつい見入ってしまいますが、これらはいずれも「指示書」によってつくられたものです。ただし指示書はとかく曖昧。そもそも読んでもどう作って良いのか分かりません。また本作も参加型のワークショップがあります。ようはその曖昧な部分は参加者らが想像力を補って作らなければならないわけです。
江川純太 展示風景
ラストはeitoeikoでの個展も控える江川純太です。いずれも油彩画、全部で8点ほどでしょうか。真四角のフォーマットにストライプなり抽象的ながらもどこか有機的なモチーフも描かれる。また画面に「言葉」を取り入れた新作も出品。これまでにはない展開も見られます。
江川純太 展示風景
一番右下のキャンバスが真っ白です。まだ何も描かれていません。何故でしょうか。答えを明かせば、この作品は今後、アートウォッチングというイベントで参加者が制作、それを作家がさらに後の公開制作で加筆して完成するわけです。
「江川純太 全ては奥歯で砕かれる。」@eitoeiko(神楽坂) 7月26日~8月30日
展示は「つくられる」ことで刻々と変化する。嬉しいことに半券で会期中、何度も入場出来ます。また何度も触れてきたように公開制作やアーティストトークの他、主に小中学生向けのワークショップのイベントもあります。(事前申込制)作品の完成だけでなくプロセスを見せる展覧会。ちょうど夏休み期間中です。親子連れで出かけても面白いかもしれません。
イベントの詳細や参加方法については公式サイトをご参照下さい。
アーティスト・ラボ「つくられる」の実験@川口市立アートギャラリー・アトリア
8月31日まで開催されています。
「アーティスト・ラボ つくられるの実験」 川口市立アートギャラリー・アトリア
会期:7月19日(土)~8月31日(日)
休館:月曜日。但し7月21日(月・祝)は開館、7月22日(火)は閉館。
時間:10:00~18:00。土曜日は20時まで開館。*入館は閉館の30分前まで
料金:一般300円。高校生以下無料、65歳以上は無料。
住所:埼玉県川口市並木元町1-76
交通:JR線川口駅東口から徒歩約8分。
「アーティスト・ラボ つくられるの実験」
7/19-8/31
川口市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「アーティスト・ラボ つくられるの実験」を見て来ました。
「つくる実験」ではなく「つくられるの実験」と題した展覧会。出品は「気鋭」(公式サイトより引用)の4名のアーティストです。いわゆる個展形式で絵画にインスタレーションなどの展示が行われています。
[出品作家]
江川純太
谷本真理
知念ありさ
安西剛
さて「つくられる」とは一体何か。答えは観客がアーティストとともに作品をつくること。平たくいえばワークショップ、参加型の展示と言えるかもしれません。ゆえに作品からすれば観客に「つくられる」というわけなのです。
会場内、撮影が出来ました。
知念ありさ「Topography of the Dots/点々の在り処」
2014年 紙、シール、アセテートフィルム、糸、ピン
まずは知念ありさです。宙に浮く青と白のドット。それこそ点々と連なっているわけですが、壁面にも同じように点々が広がる。今にもさも散りそうな面、時にまるで鳥の羽根のようにも映ります。テーマは身体です。お分かりいただけるでしょうか。いずれも両足をモチーフとしている。確かによく目を凝らすと親指に爪のようなものが見える。そこに無数の点々が記されていることが見て取れます。
知念ありさ「Topography of the Dots/点々の在り処」
2014年 紙、シール、アセテートフィルム、糸、ピン
そしてこの点々を実際に身体へ描くワークショップも行われるとか。作家は元々、風景をテーマにしていましたが、今回新しく身体に着目しました。身体に潜む意外な造形。それをドットを介して発見する契機となるやもしれません。
谷本真理「起きてるつもりだった」
2014年 布団、陶土、紙粘土、木材、ロープ、ペン ほか
続いては谷本真理です。床面にうち広げられた無数の布団に吊るされたロープ、そして木材にシート。粘土も転がっています。キャプションには「一人遊びの痕跡」とありました。ようはこの布団の上で寝転がりながら粘土なりを触ってかたちをつくる。その意味では最も「つくられるの実験」に近い作品とも言えるでしょう。会期中の土日(一部除外日あり)は実際に観客が中に入って参加することが出来るのです。
素材の「感触」や「心地よさ」に強い関心を持つという谷本。確かに粘土も布団も触感が魅惑的です。来場者の行為如何では思いがけない方向にも展開し得るインスタレーション。私も靴を脱いでしばし布団の触感を楽しみました。
安西剛「platonic machines」
2014年 指示書、日用品、モーター、鉄管、木材 ほか
日用品とモーターを利用して「きかい」を制作するのが安西剛です。タイトルは「platonic machines」(2014)。鉄パイプでしょうか。木材と組み合わされた構造物。随所にはそれこそ日用品、カラフルなプラステック製の洗濯干しなりラックなどが釣り下がっています。そして写真では分かりませんが、いずれも可動式です。くるくる回ったり、ばたんばたんと上下に倒れたりして動いています。
安西剛「platonic machines」
2014年 指示書、日用品、モーター、鉄管、木材 ほか
その様子は何ともユーモラス、ついつい見入ってしまいますが、これらはいずれも「指示書」によってつくられたものです。ただし指示書はとかく曖昧。そもそも読んでもどう作って良いのか分かりません。また本作も参加型のワークショップがあります。ようはその曖昧な部分は参加者らが想像力を補って作らなければならないわけです。
江川純太 展示風景
ラストはeitoeikoでの個展も控える江川純太です。いずれも油彩画、全部で8点ほどでしょうか。真四角のフォーマットにストライプなり抽象的ながらもどこか有機的なモチーフも描かれる。また画面に「言葉」を取り入れた新作も出品。これまでにはない展開も見られます。
江川純太 展示風景
一番右下のキャンバスが真っ白です。まだ何も描かれていません。何故でしょうか。答えを明かせば、この作品は今後、アートウォッチングというイベントで参加者が制作、それを作家がさらに後の公開制作で加筆して完成するわけです。
「江川純太 全ては奥歯で砕かれる。」@eitoeiko(神楽坂) 7月26日~8月30日
展示は「つくられる」ことで刻々と変化する。嬉しいことに半券で会期中、何度も入場出来ます。また何度も触れてきたように公開制作やアーティストトークの他、主に小中学生向けのワークショップのイベントもあります。(事前申込制)作品の完成だけでなくプロセスを見せる展覧会。ちょうど夏休み期間中です。親子連れで出かけても面白いかもしれません。
イベントの詳細や参加方法については公式サイトをご参照下さい。
アーティスト・ラボ「つくられる」の実験@川口市立アートギャラリー・アトリア
8月31日まで開催されています。
「アーティスト・ラボ つくられるの実験」 川口市立アートギャラリー・アトリア
会期:7月19日(土)~8月31日(日)
休館:月曜日。但し7月21日(月・祝)は開館、7月22日(火)は閉館。
時間:10:00~18:00。土曜日は20時まで開館。*入館は閉館の30分前まで
料金:一般300円。高校生以下無料、65歳以上は無料。
住所:埼玉県川口市並木元町1-76
交通:JR線川口駅東口から徒歩約8分。
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