「シェル美術賞展 2010」 代官山ヒルサイドフォーラム

代官山ヒルサイドフォーラム渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1階)
「シェル美術賞展 2010」
11/20-11/28



代官山ヒルサイドフォーラムで開催中の「シェル美術賞展 2010」へ行ってきました。

展示の概要は公式WEBサイトをご参照下さい。

シェル美術賞の概要

シェル美術賞展は、1956年にスタートし、当時の美術界に大きな影響を与えたシェル美術賞、また平成に新しく開催された昭和シェル現代美術賞の実績を踏まえ、 新しい現代絵画の表現を担う優秀な若手作家(40歳以下が対象)を発掘することを目的とした公募展です。(ヒルサイドフォーラムのHPより引用)

本年の応募者数はここ数年よりやや減って950名だったそうです。また受賞作品は以下の通りでした。

受賞・入選作家一覧/受賞作品(作品画像あり。)

それでは以下、私の印象に残った作品を簡単に挙げてみます。

村上乃理「流転」
山水水墨画に現れるような奇岩の向こうにビル群とスカイツリーを望む。岩絵具の仄かな質感も好印象。岩の表面には装飾的な模様が施されていた。

小堀由弥子「FESTIVAL」
薄暗いグレーを背景に何名かの子どもたちが描かれている。赤や白の衣服の色調との対比がどこか不気味。笑っているようでも何故か楽しそうに見えない。相笠昌義の絵画を思い出した。

井上ゆかり「母なる大地」
どこでもありそうな農村の小道が歪んでいる。デジャブながらもシュールな光景。道に立つ白い刺繍の子どもの姿は一体何の幻なのだろうか。とても気になった。

角谷沙奈美「光のまえにたつ」
鮮やかな緑色のカーペットが一面に敷かれたマンションの一室。大きな窓から力強い明かりが入り、立つ人はシルエット状になって表されていた。テレビなども置かれているが、奇妙なほどに生活感がない。どこか寂し気だった。

村尾成律「静寂の叫び」
下着姿の二人の男女。リビングで体操でもやるように身体をくねらせているが、両者の交わる部分の描写を見て驚愕。空間そのものが歪んだのか人間がそうなったのか。

黒宮由美「眼窩の記憶」(島敦彦審査員奨励賞)
薬のようなものが入ったガラスビンが無数に散乱した廊下の上に、黒い犬と何やら虚ろな表情をした女性が一人立っている。左のガラス窓は割れ、また右手の奥の部屋には首つりの人間が、さらには一番手前には亡霊のように立つ女性の半身が描かれていた。そして壁の上には充血した目が連なる。裏寂れた病院の廃墟を思わせるような世界。幻なのかそうでないのか。見ていて背筋が寒くなった。

熊野海「SEASON REVOLUTION」(家村珠代審査員賞)
宇宙とビーチと山々と氷河などのモチーフが渾然一体となって描かれている。ビーチの向こうに広がるカオス空間。面白い。

大坂秩加「6月6日、明日は遠足」(島敦彦審査員賞)
古びた家屋の合間に連なる無数の洗濯物。後ろには雨の降る藍色の夜空が広がっていた。緻密な線描や繊細な色遣いには感服。家屋の古びた質感にはゾクゾクした。そして洗濯物の合間にはてるてる坊主ならぬ人が吊られている。日常的な世界に潜む恐怖。

ちなみに今年は3年ぶりにグランプリが出たそうです。受賞者の皆さんおめでとうございます。

なおいつものことながら良く分からないシステムですが、公式WEBサイトよりの引き換え券をダウンロードすると無料で入場出来ます。

シェル美術賞2010 無料入場引換券

短期決戦の展覧会です。9日間限定、次の日曜の28日まで開催されています。*会期中無休
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