「佐藤美術館収蔵品展 Part.2 夏の風景」 佐藤美術館

佐藤美術館新宿区大京町31-10
「佐藤美術館収蔵品展 Part.2 夏の風景」
6/16-7/17



ベテランより比較的若い作家の描いた館蔵の日本画(一部、油彩画。)を展観します。開催中の「収蔵品展 - 夏の風景」へ行ってきました。

ところで本展示は途中、既に一度の展示替えを終えています。前期の様子については以下、Takさんのレポートをご参照下さい。

「佐藤美術館収蔵品展 山と森の風景」@弐代目・青い日記帳

後期のテーマは表題の通り「夏」です。早速、4階、3階の各展示室毎に、印象深かった作品を挙げていきます。

4階展示室


田渕俊夫(1941~)「緑詩」(1990)
高島屋での個展を思い出します。凛と立ち並ぶ竹の様子が細やかに描かれていました。ぼんやりと浮かび上がる緑色の景色に、どことない清涼感を覚える一枚でもあります。


上村淳之(1933~)「池」(1990)
可愛らしい青い鳥が蓮池の上を翼を広げて悠々と舞っています。絵具の醸し出す絵肌の美しさもまた魅力的でした。


高島圭史(1976~)「そらのかよひぢ」(2005)
蓮の葉がむせ返るほどに群生しています。画面びっしりに並ぶ蓮の景色は不気味ですらありますが、雲の間より滲み出す金色の光は神々しいまでに照っていました。

3階展示室


鷲野佐知子(1979~)「Freshly11」(2007)
光に包まれ、風に靡く花のような景色が鮮やかな色遣いで描かれています。細やかなタッチは爽快感を思うほどに華やかですが、その技法が木版であることを知って驚きました。まるでアクリル画のようです。


大野俊明(1972~)「春の刻」(1991)/「夏の刻」(1994)
金箔を前に裸婦がポーズをとりながら横たわっています。構図こそ大胆なものがありますが、造形的な草木の表現など、例えば御舟にも通じるような近代日本画の伝統を感じました。


神戸智行(1975~)「彩雨」(1999)
まさに梅雨の時候に見るのにぴったりの一枚です。細い糸のように垂れる雨の筋の下には、転がる石も透けて見える池が広がっていました。うっすらとした青みの美しさもたまりません。



出品作は30点弱と少なめですが、「夏」を感じながらも、時に涼を得られるような作品も目立っているのではないでしょうか。また旧作ばかりではなく、ここ2、3年に描かれたものなど、新作を楽しめるのも重要なポイントかもしれません。

なお明後日、28日の日曜日には、講師に草月流いけばな作家を迎え、「夏をいける」と題したワークショップの開催が予定されています。予約不要、入館料のみで参加可能なイベントです。詳細は下記の概要(公式HPより転載。)をご覧下さい。

「夏をいける」6月28日(日)
講師 中川彩萌・水野理美(草月流いけばな作家)
様々なもの(湯呑み・お皿・ペットボトル等)に、「夏」をいけてみます。
ペットボトルに油性マジック等で絵を描いたり、色紙をはったりすればオリジナルの花瓶のできあがり。
いけたいと思う器を持参していただいてもけっこうです。
*参加には展覧会の入場料が必要です。
*所要時間 30分~1時間程度 午前11時~午後3時に開催しています・予約不要


展覧会は7月17日まで開催されています。

注)写真の撮影と掲載は許可をいただいています。
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