裏アキハバラに生きる病気のおたく青年たちの、戦争。
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<あらすじ>
人生相談ウェブサイト「ユイのライフガード」を介して知り合った
吃音のライター「ページ」、
突発的なフリーズを起こしてしまうDTMの専門家「タイコ」、
不潔恐怖症のデザイナー「ボックス」の三人は
新たなeビジネスを始めるべく
コスプレ喫茶のアイドル「アキラ」を仲間に加え
「アキハバラ@DEEP」を立ち上げた。
その直後、実際に会う約束をしたユイが
約束の日当日に急死してしまう。
ユイの死後、ユイとアルビノの中卒天才プログラマー「イズム」が
協力して作り上げたAIと話した彼らは、
ユイがまだ生きているかのように語りかけるのに涙する。
これをきっかけに、イズムと
出っ放し(引きこもりの反対)の法学部卒「ダルマ」をメンバーに加えて
自ら考える人格をもつAIを組み込んだ
サーチエンジン「CROOK(クルーク)」の開発に乗り出す。
クルークのβ版が完成し、
ネットではその完成度の高さで評判がうなぎのぼりになった頃、
ベンチャービジネス企業「デジタルキャピタル」の代表・中込が
アキハバラ@DEEPに接触をしてきた。
「クルークを買収させてほしい」
十二億という巨額を提示されたアキハバラ@DEEPの面々は
一時、心が揺れるものの、
中込の人となりを見て買収の件を断ってしまう。
これをきっかけに、巨大企業デジキャピによる
犯罪まがいの攻撃がアキハバラ@DEEPを襲い、
ついにクルークが盗まれてしまった。
法に頼った正規の手段ではクルークは取り戻せない。
自分たちの子どもであるクルークを奪還すべく、
アキハバラ@DEEPは準備を始める。
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コミックス化やら映像化やらメディアミックスされていますね。
今さらながら読んでみました。
しかし・・・わかっていたことですが
濃ゆーーーいです。世界観が。
これ、2004年の作品なんですよね。何か信じられないような。
日本が世界に誇る電気街・オタクの街、アキハバラを舞台に
色んな病気を抱えた若者たちが生きる姿を描いています。
予備知識・・・もとい、
ネット関係その他の知識
(メイドカフェ、サーチエンジン、2ちゃんねるetc)
なしに読むと面白さは半減してしまうような感じがします。
それはさておき。
最初の方はともかく、ストーリーが結末に向かって動き出してからの疾走感は
さすが石田衣良作品だなぁ、とほれぼれします。
最後は主人公サイドが敵である巨大企業に対して
テロまがい(というかもう犯罪)のことをしかけるんですが
やり口が汚くてもスカッとするのは何ででしょうね。
やっぱり仕掛ける側の人間性の問題なのかな。
クライマックス、アキラ中心に敵の本拠地へ乗り込む場面なんか
もう背中がゾクゾクしてたまりませんでした。
アキラかっこよすぎだろ。
ボックスもクールです。すてき。
@DEEPの面々がそれぞれ得意とする分野は
各人ぜんぜん違うにもかかわらず、
それぞれの描写が細かいのにも驚きです。
作者、どんだけ勉強してるんだろう、と。
サブカル分野に興味は少なからずあるような気がしますが、
それにしてもいろんなことを知ってないと
これだけ濃い世界は書けないと思います。
今年の一押し作品でした。
(今年ほとんど本を読んでないですが・・・)
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アキハバラがスタイリッシュな街に見えてくる度:★★★★★