中世の要塞の1つであったこの古城は、マンハイムからネッカー川に沿って進み、チェコのプラハまで全長約1,000kmにわたって続く古城街道上にある
ツヴィンゲンベルグ城です。
この古城は、現在もプライベートで使用されているので一般公開はされていません。しかし、すぐ近くにツヴィンゲンベルグという名前の鉄道の駅があり、
徒歩で20分ほど緩やかな坂を上って気軽にたどり着くことができます。また、真夏には城の中庭で演劇やコンサートが行われることでも有名です。
真近でみる古城の迫力と、眼下に広がるネッカー渓谷の広大な自然にしばし目を奪われますが、見どころはこればかりではありません。
この古城の裏には“オオカミの谷”と名づけられた手つかずの自然が残る素晴らしい峡谷があるのです。
古城の裏側に回ると景色は一変します。緑の濃い木がうっそうと繁り、小川のせせらぎが聞こえてきます。
ひんや~りとした空気が渓谷から流れてきて、古城の表の暑さをしばし忘れてしまうほどです。
渓谷の入り口には、料金所もなければ係員もいません。あるのはだた唯一「自己責任でお入り下さい。」という看板だけ。
ここドイツは自己責任の国です。万一に備え安全対策には十分注意しましょう。
また、渓谷に入る場合、サンダルやウォーキングシューズは絶対不可、トレッキングシューズ、またはそれに準ずるしっかりとした靴が必要です。
いきなり足元の悪い上り坂です。前の日が大雨だったので峡谷の水の迫力は満点ですが、足を滑らせないように気をつけて、
ゆっくりと先に進みましょう。
道幅はドンドン狭くなる上、柵もなくなり、根っこから抜けて倒れた木もあります。地面から突き出た石にも足を取られないように歩きます。
緊張の連続ですが、時折視界に入る谷底を流れる美しい川の流れに心が和まされます。
さらに渓谷の道はアップダウンに富んでいて、川すれすれに歩いたり、時には飛び石を使って川を渡ったり、スリル満点です!
この辺りは砂岩質の地層のため、雨が降り水かさが増すと地面が削られていきます。
そのため崩れた岩や多くの倒木も見られますが、自然保護の観点からも、あえて撤去したり整備したりしないということです。
そうすることにより天然苔やシダも長い年月をかけて十分の繁殖し、あたかも太古の森にいるかのような錯覚すら覚えるほどの美しい自然を保存できるわけです。
しばし時を忘れて“オオカミの谷”を堪能した後は同じルートを戻ります。
駅近くの橋を渡りネッカー川の対岸に行くと、ツヴィンゲンベルグ城の全景を写真に収めることができます。