あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
鍼灸院ってどんなところ?と知っていただけたらうれしいです。

治未病の本領発揮

2022-05-22 19:55:00 | 日記・エッセイ・コラム
こんにちは🌞今日は気持ちの良い快晴でしたね🤩
午前中は、研修会へ!
午後からは気になっていた庭仕事をして充実した1日を過ごしました☆

毎週日曜日は院長の自伝です。

結婚後にも体調を崩し喘息が出ることもしばしばあったが、早めに対応する事が出来るので酷い喘息発作が起こることは無くなった。
最も喘息発作が起きやすいのは早朝である。東洋医学では朝の三時から五時と記されている。
この時間は肺の王気する時間(旺盛にはたらく時間)であるが、公害により犯された肺は機能が弱っている為に十分に働くことが出来ずに呼吸困難をを起こすのである。
隣で寝ている妻の呼吸が喘ぎ声をあげる。長年の病に慣れているのか、それでも妻は寝ている。
私の方が息苦しくなるので、起き上がり脈を診て、常に枕元に用意して有るてい鍼(鍼の一種であるが針先は尖っていないので皮膚には刺さらない)で鍼を行うと息がスート入り深い呼吸がもどる。
しかし、妻は何も無かった様にすやすやと寝ている。
目覚めてから、「今朝は喘息が出ていたね」と言うと妻は「え! そうだったの」と知らない様子であるが、この状態(四時頃)の軽い発作の時に鍼を行えば手足に軽く本治法(五臓六腑に働きかける根本的治療)を行うだけで治るが、この時間を過ぎて六時頃になると本治法だけでは発作が治まらない。標治法(病症に基づく局所治療)として胸や背中にも鍼を行う必要があるのでやはり早期治療が妻も私も楽なのである。
 喘息発作は気象変化や精神的ストレス、大気汚染などの環境変化などで発症することが多いがこれらの条件で発症する場合は鍼治療で容易に発作は治まる。ところがインフルエンザや細菌感染などで高熱が出てそれに誘発されて喘息発作が出たときは鍼治療だけでは治らずに入院したこともある。
この様な時には、点滴注射によるステロイドの大量投与(パルス療法)を行うが、解熱するものの喘息発作は治まらない。
喘ぎ声でいかにも苦しそうである。妻の呼吸を観察すると吸気が苦しそうである。脉診を行うとやはり腎虚だ。
右足の足首内側にそっと鍼を当てること数呼吸、「あ! 楽になった」、歪んだ顔に笑顔が戻る。
妻は元来おしゃべりだ。次々と入院中の様子を話し出す。

 こんなこともあった。
夜の七時頃、電話が鳴った。治療中なのでスタッフのmさんが電話に出ると、妻の入院中のo病院からである。
用件を聞くと、喘息発作が治まらずに妻が苦しんでいるから至急来てくださいと言うのだ。
o病院は車で二十分ほどの場所である。mさんにお願いして車で病院に走る、病室にかけ込むと、妻のベットを医師二人と看護師三人が取り囲み、呼吸困難で苦しみ喘ぐ状態に困り切った様子であった。
妻の呼吸の様子を静かに観察すると、呼気時に空気が胸で止まってしまい苦しそうである。
これなら鍼でいけると直感した私は、
医師と看護師さんには、「何か有ったら呼びますのでしばらく私達だけにしてください」と告げて、直ぐに右手の手首のツボに鍼を当てるが、思うように喘息は治まらずに喘いでいる。だめだ! 早く治してあげたいと言うあせりが治療の邪魔になる。
同行していただいたmさんに鍼治療をお願いして、私は脉を確認しながら「ツボ」を支持する。「もう少し手を軽く当てて… もう少し下へ… そこだ!」、「あー 楽になった」と妻の声。しかし、その途端、いつもの様に妻は眠ってしまった。
私はmさんに恐縮しながらお礼を言い、看護婦詰め所まで同行していただき、担当医師に発作が治まったら眠ってしまった事を報告して帰路に着いた。
この一例は「治療は“鍼”がするのでは無い! 術者がどのツボにいかなる手法で行うかで決まる」を実感した症例であった。
古典医学の経文にある『恬澹虚無なれば真気これに従い、精神内に守る、病いずくんぞ従い来らんや。』を胸に刻み込んだ。

次週に続く
コメント
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