窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

仲里一郎さん①

2011年02月26日 | 心に残った出会い


  先日、食品販売業、株式会社大喜コーポレーション代表取締役、仲里一郎さんのお話を拝聴する機会がありました。大変穏やかで楽しい雰囲気が溢れており、人を引き付ける魅力のあることが最初から伝わってくる方でした。大変面白い人生模様でしたので、少し長くなりますが、おさらいしてみたいと思います。

1.二度の転機、そして独立

  今でこそ食品を販売しておられる仲里先生ですが、キャリアのほとんどは建設業でした。昭和50年に大学の土木科をご卒業され、新横浜の奈良建設株式会社に入社。以来およそ15年、一貫して建築現場に携わってこられました。元々建築関係の方がなぜ食品を売るようになったのか、先生によればその転機は2回の出向経験にあったといいます。

  最初の出向は、1989年(平成元年)の横浜博覧会協会でした。そこで現在のみなとみらい21地区で開催された「横浜博覧会YES ’89」(確かそんな名前だったような…)の基盤整備事業に携わり、初めて建築関係以外の様々な業種、行政関係の人たちと関わりを持たれたそうです。そこで、異業種間のビジネス慣習や考え方の違いを目の当たりにされ、視野が大いに開ける一方、「強い理念と信頼」に結ばれたプロジェクトチームの大切さを実感されたとの事でした。

  第2の転機は、今からおよそ3年前。公共事業が激減し、建設業界を取り巻く環境が極めて悪化する中、何か従来の受注営業ではなく社会貢献性の高い事業を自分たちで生み出せないかと考えた仲里先生は、公有地有効活用の一環で都市農業を行うことを思いつきます。それがひいては建設受注にも繋がるであろうということで、この案を社内で提案、建設数社と共同出資でアグリ産業「グランパ」を設立。そこへ出向され、建築業者が野菜を売るということになりました。

  しかし、野菜は文字通り畑違いの事業。ノウハウも経験もない中で、拡販の営業には大変苦労されたそうです。最終的に、仲里先生は奈良建設株式会社の自己退社を決意されました。この時、先生56歳。

  さて、会社を辞め独立しようと考えた仲里先生。ここが並みの人でないと僕が一番感心したところなのですが、先生は56歳で「60歳まであと4年もある、だから独立しよう」と考えられたそうです。普通の人なら「俺はもう60近いし…」と愚痴をこぼしそうなものです。とはいうものの現実は厳しく、定年前の自己退社なので退職金が満額出るわけでもなく、年齢から再就職の口があるでもなく、求職活動をしていないので失業保険も出ないという状況。先生は家族を抱えながら、測量のアルバイトなどで生計を立てられたそうですが、それでも不思議と落ち込まなかったそうです。確かに怖いのだけれども、面白い。さらに、そんな先生をご家族や周囲の方々が決して責めることなく、むしろ励ましてくれたのだそうです。これなど、先生のまさにご人徳によるところでしょうが、その後の先生の事業展開を考えますと、ひとつの象徴的なエピソードのように思います。

  独立するにあたり、先生はある先輩からこんなアドバイスをいただいたそうです。

①大きくなくていい、まず家計を支える固定収入を確保せよ
②(物売りは)物を売ってナンボ
③今この瞬間から未来への種まきをせよ

これを「三分法」というのだそうですが、これをそれぞれではなく3つ同時に行うことが大切なのだそうです。このことは、先日ご紹介した深田稔社長や松浦勝人社長のお話にも通じるところがあります。

  さて、独立した仲里先生は、平成21年に株式会社大喜コーポレーションを設立。社名は、先生の御祖母の口ぐせ「喜べば、喜びごとが喜んで、喜び集めて喜びに来る」に由来するのだそうです。会社設立にあたり、先生は事業内容を以下のようにデザインされました。

「新会社の主な業務は【優れた食品を消費者に、そして企業と企業を結びつけるビジネス・インテグレーション】をビジネステーマとして、

◇青果・加工品など多様な食品をメーカーからの受託で販路開拓する。【セールス】
◇安心安全で本物の食品を最適な市場に展開する。【マーケティング】
◇食品を軸として、関連する様々な産業を有機的に結びつけて事業成立させる。【インテグレーション】
◇食品ビジネスを通じて発掘した不動産・建設ニーズのプロジェクト化。【プロデュース】

などを行って参ります。」

  この設立当初に描いたデザインを先生は違うことなく、そのまま実践し今日に至っておられます。

<つづく>

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
  ブログをご覧いただいたすべての皆様に感謝を込めて。

よろしければクリックおねがいします!

人気ブログランキングへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« かながわ3R祭で「よみがえり... | トップ | 仲里一郎さん② »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

心に残った出会い」カテゴリの最新記事