源氏物語と共に

源氏物語関連

早蕨・つくし(土筆)

2008-10-27 11:24:39 | 

イメージ 1



(中君)この春はたれかに見せむ亡き人の   かたみに摘める峰の早蕨 (早蕨)

訳:今年の春は姉君も亡くなり誰にお見せしましょう。
亡き父宮の形見としてお摘みくださった峰の早蕨を


巻名にもなった早蕨。
わらびの事。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%B5%A4%EF%A4%E9%A4%D3&kind=jn&mode=0
毎年、春に阿闍梨が山で取れた早蕨を八の宮邸に送ってくれていた事から
八の宮が亡くなり大君も亡くなったこの春も、
例年通り中君を案じて送ってくれた:*和歌の返歌による。


たれは大君。亡き人は八の宮。
かたみは形見と竹で編んだ籠「筐(かたみ)」を掛けている



蕨・つくづくし、をかしき籠に入れて、
これは童べの供養じてはべる初穂なりとたてまつれり・・ 略・・
*(阿闍梨)君にとてあまたの春を摘みしかば   常をわすれぬ初蕨なり(早蕨)


仮名文字に慣れない阿闍梨が、下手な字で書いてくれた心に中君は感激。
言葉を尽くした匂宮の御文よりも、格段に目にとまって涙もこぼれた。
心優しい阿闍梨である。


「つくづくし」はつくし(土筆)の古名。
スギナの胞子体(花)がつくし。
花のアルバム
http://www.ne.jp/asahi/tochigi/sakamoto/tsukushi.html


万葉集に志貴皇子の早蕨の歌があると、注釈にあった。
「石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」