去年の話になりますが、埼玉県の「ようばけ」という崖に化石探しに行きました。
記事にする機会がなかったので改めて。
高さ100m、幅400m、秩父を代表する大露頭。
昔の人が、畑の日が暮れてもしばらく陽が当たって輝くこの大きな崖を見て、太陽の当たる崖という意味で「ようばけ」と呼んだ崖。「ハケ」とは崖の古い言い方らしいです。
河原には崖から落ちてきた石や岩が転がり、それらを割ってみると、貝やカニや植物、時にはサメの歯などの化石が見つかります。
二枚貝↑
カニの甲羅↑
植物の葉(右上)↑
古秩父湾の浅瀬に1700万年〜1500万年前に積もった地層の中に眠っていた化石たち。そんなロマンに満ちたお宝が、ど素人なわたしにも結構簡単に見つけられるものですから大興奮!!
河原への入り口に建つ「おがの化石館」では、さらに立派な化石たちに会うことができます。
こちらの化石館には、同じ秩父湾堆積層から発掘された世界の奇獣「パレドパラドカシア」の骨格復元模型が鎮座しています。
これ、どんな生き物だと思いますか?
この辺りが浅い海だった頃、海辺で暮らしていたんだそうです。
同じ海には「チチブサワラ」なんて巨大魚もいたそうです。
それてでは、パレオパラドキシアの実物大模型の発表です。
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カバ!!!
…じゃないそうです。
日本~北アメリカ大陸の太平洋側から見つかっているパレオパラドキシアは束柱目(そくちゅうもく)という独自のグループに属します。比較的近い仲間は、ゾウの仲間(長鼻目)やジュゴンやマナティーなどの仲間(海牛目)。カバ(鯨偶蹄目)とはだいぶ遠縁になるそうです。
束柱目とは、柱を束ねたような奇妙な奥歯を持ってあることからついた名前。
この模型を見ると、前歯は出っぱっているようですね。
何度見ても「カバ」にしか見えません。
日本では、35カ所から約50標本の化石が発見されているんだとか。そのうち5分の1にあたる10標本は秩父地域で見つかったもの。秩父地域は、なんと世界で最もパレオパラドキシアの化石が多く見つかっている場所なんだそうです。
なお、パレオパラドキシア、チチブクジラなど9つの化石標本と古秩父湾時代の地層が見られる6つの露頭は、「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として、平成28年に国の天然記念物に指定されました。哺乳類の化石や新生代の化石、そして化石群としての指定は初めてだそうです。
こうして、地中の中を調べることで解き明かされら地球や進化の歴史。地面の下はお宝の宝庫なんですよね。
この地層にはまだ数多くの過去への手掛かりが眠っているに違いありません。
地層とか、化石とか、わたしにとっては本当に未知の世界が、ほんの少し身近に感じられました。まさに「体験に勝るものなし!!」
機会があれば足を運んでみてください。
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