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「給付金クーポン」という発想は、誰のアイディアだったのだろう?

2021-12-15 17:31:51 | アラカルト

18歳以下の子どものいる世帯に対する「10万円給付」については、当初「5万円現金、残り5万円分クーポン」という話だった。
この当初の給付内容が発表されると、給付対象の子育て世帯だけではなく、自治体の首長たちからも「10万円の現金給付」の希望が相次いだ。
そして、岸田さんはブレながらも「10万円の現金給付については、各自治体に任せる」という趣旨の話をし始めた。
朝日新聞: 「現金で全額給付OK」首相、突然の方針転換、元々の目的はどこへ

有料会員向けの記事なので全文を読む事はできないにせよ、「クーポン券」の発表直後から相次いだ、「全額現金」を希望する自治体の首長さん達の意見をそのまま反映させた、というカタチで決着がつきそうだ。
決着するのは良いし、「現金+クーポン券、現金一括10万円、現金5万円✖2(分割給付)」と、3パターンで選べるという話もあり、給付を受ける側としては「給付金の受け取り方」の選択幅ができたことは、良かったのかもしれない。

ところでこの「18歳以下の子どものいる世帯10万円給付」の目的は、何だったのだろう?
「コロナ禍」により、経済状態が厳しくなっている世帯に対する、子どもたちへの支援、だったと思うのだが「10万円給付」という金額と給付方法にばかりが話題になり、本来の目的そのものが薄らいでいるような気がする。

そのような「目的」が薄らいでいた時に出てきたのが「クーポン券」という、給付方法が出てきたような印象を持っている。
「クーポン券で給付する」理由は、昨年の給付金のほとんどが貯蓄になってしまい、消費活動に反映されなかったため、ということだが、昨年給付金が支給された時の社会状況は、「旅行・外食」などその後のGo Toキャンペーンの対象となる行動がとれるような時期ではなかった。
様々な生活の制約がある中で、生活不安が日々強くなっている時の「給付金」は、ありがたかった半面「使い方」に躊躇していた時期でもあったはずだ。

当時と現在の社会状況は大きく違う、ということを考えると「現金支給で貯蓄に回るのであれば、消費活動を促すクーポン券」と考えるのは、安易な気がする。
何より、クーポン券印刷の為に、600億ともいわれる費用が発生する、というのでは「給付対象外」の世帯にとっては「税金の無駄遣い」という気持ちが強くなって当然だろう。
と同時に、「クーポン券を使った分だけ、貯蓄に回るのではないか?」という指摘されるようになった。

「クーポン券」という給付方法によって、今回の「18歳以下の子どもがいる世帯に対する10万円給付」の目的は、当初の目的から大きく外れ始めたような気がするのだ。
「生活者にお金を与える事で、消費活動を活発にし、経済を回す」という目的だったのか?
それとも「生活困窮家庭の子ども支援」だったのか?
という「目的」そのものが、あやふやになっているということを、示したような気がしている。

「18歳以下の子どもがいる世帯への10万円給付」の目的が、明快であれば「クーポン券」で消費を促すという発想は出てこないと思うのだ。
このアイディアを出した人は、生活者を見ているのだろうか?と、疑問に感じている。




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