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ティファニーの広告と中国

2019-10-11 17:07:11 | マーケティング

ティファニーが中国で出した広告が、物議を醸している。
その理由が、モデルが右目を隠している、ということのようだ。
朝日新聞:右目隠しただけ…ティファニーに「香港デモ支持」批判

記事には、問題となったポスターが掲載されているので、ご覧いただければわかると思うのだが、「問題になるほど?」という印象がある。もちろん、個人的な印象なので「違う!」という方もいらっしゃるとは思うのだが、言いがかり感をぬぐえないでいる。

元々広告表現と政治とは相いれないところがある、と考えている。
確かに、政治的メッセージのある広告が、無かったわけではない。
1980年代~1990年代はじめの頃のベネトンの広告写真を手掛けていた、オリビエーロ・トスカーニの広告表現は「社会問題を切り取る」という写真表現だった(再びオリビエーロ・トスカーニが広告写真を手掛けるようになっているが、以前ほどの過激さは無いかもしれない)。
UNITED COLORS OF BENETTON: with OLIVIERO TOSCANI
それを「広告」と呼んでよいのか?という議論は常にあったし、そのような広告を出すベネトンを嫌う人達も少なからずいた、というのも事実だろう。むしろそれを承知で、広告を出していたのが、ベネトンであったということになると思う。

しかし、ティファニーはそのような企業ではない。
問題とされた写真にしても、モデルが身に着けている宝飾品をきれいに見せる為のポージングにしか過ぎない。
だからこそ、中国側の言いがかりのように思えてしまうのだ。
ティファニー側としては、米国、日本に次ぐ大きな市場として急成長をしている中国を刺激したくない、と考えたのだろう。
この広告を取り下げている。

ではなぜ、中国側は単なる広告写真に過剰反応とも思える反応をしたのだろう?
中国市民から「香港のデモを支持している広告」と言われた為と言われているが、本当のところは中国市民から自発的に起こったことなのだろうか?
そしてこの過剰とも思える反応の影には、何があるのだろうか?
むしろその点に注目すべきなのでは?と、考えるのだ。

香港が英国から返還された時、中国側は「これまでの香港の自治を認める」といった趣旨のことを話していた(と記憶している)。
香港は中国であっても、香港としての自治とアイデンティティは守られる、と捉えた香港市民も多かったはずだ。
しかし返還後年月が経つにつれ、状況が変わってきたと、香港市民は感じていたのではないだろうか?
逆に言えば中国側は、年月が経つにつれ香港を飲み込もうとしたのではないだろうか?

もう一つ考えられるのが、今香港で起きているデモが、中国本土に及ぼす影響だろう。
これまでの社会体制を崩してしまうような、社会的雰囲気が中国国内で表れ始めているのでは?という、想像ができる。

ティファニーの広告で使用された写真そのものは、社会批判でも何でもないにもかかわらず、過剰に反応してしまう中国国内に起きている社会変化を読み解く必要があるということだと思うのだ。





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