毎日新聞に「遺伝子検査ビジネス」についての記事が、掲載されていた。
毎日新聞:厚労省 遺伝子検査ビジネス 業者4割経産省指針守らず
個人的な印象として「わずか4割なのか?」という気がしている。
何故なら、今スポーツクラブの前などでは「入会時に遺伝子検査などもできます」というPOP広告などを見かけることも多く、「遺伝子検査」そのものが手軽になり過ぎているのでは?という、懸念をしていたからだ。
今回問題になっている「遺伝子検査ビジネス」というのは、病気のかかり易さや肥満などを遺伝子レベルで調べる、という内容のようだ。
「遺伝子検査」と言っても、どれだけの正確性と究極の個人情報と言われる「遺伝子情報管理」がされているのか?ということがはっきりしないまま、「遺伝子検査ビジネス」が広がりつつあるような気がしている。
何より、一番懸念することは「検査精度」と「結果」、そして「結果によるカウンセリング」がどれだけきちんとされているのか?という点だ。
多くの人にとって「自分の遺伝子」そのものには、興味はあると思う。
しかしその「遺伝子」というものについて、どれだけの知識があるのだろうか?
しばらく前に「遺伝」の説明でこれまで使われていた「優性・劣性」という表現をやめる、と話題になった。
日経新聞:「優性」「劣性」用語使わず 日本遺伝子学会が言い換え
高校生の頃「発現の優性・劣性という意味で使われている」と生物の授業で学んだ気がするのだが、やはり勘違いをしやすいということで、用語と言い換えるということになったようだ。
それほど、「遺伝子」については十分に理解されているとは思えないのが、現状なのではないだろうか?
そのような状況で、いきなりどれだけの精度があるかわからない「遺伝子検査」の結果が、自分が思ってもいないような検査結果が出たら、どれだけのショックを受けるのだろう?
ショックを受けた後のフォローも何もないまま、その結果だけが心に重くのしかかる、という状況を想定しているとは思えないのだ。
「遺伝子検査」ではないが、ドラマ「コウノドリ」で「出生前診断」をテーマに取り上げていた。
Real Sound:原作にない究極のテーマ〝出生前診断”に挑戦
検査をしてくれる施設は増えているが、その後のフォローはおざなりになっている、という問題を取り上げただけではなく、検査を受ける妊婦を含めた家族が「どのような思いや考えで検査を受けることを考えているのか?」という、検査を受ける側にも事前に考えることの大切さを、上手く伝えていた。
じつは「出生前診断」よりも、もっと大きな問題を含んでいるのが「遺伝子検査」なのだ。
理由は上述した通り「究極の個人情報」である、ということと「様々な病気リスク」が突き付けられたときの、カウンセリング体制が整っていない、という点だ。
健康だと思っている時は、「自分の病気リスクなどの情報が分かれば、予防もできる」と考えがちだが、いざ「自分の病気リスク」が分かった時、どのように受け止めてよいのか、わからなくなってしまう人がほとんどだろう。
確かに「遺伝子検査」というビジネスは、「ゲノム解析」そのものができるようになったことで、身近なモノになりつつある。
しかし、その後どうするのか?という、一番大切な部分が見落とされているのでは?という、懸念があり、ビジネスとしてはまだ行うべきではない、と感じている。
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