全米トップ検死医だという著者が、様々な事件と、遺体から読み取れる真実のことを書いている。読み取れない部分は「読み取れない」ときちんと書いてあることが、科学的というか論理的というか、すばらしいと思う。いくつもの事件のずさんな捜査や予断を、遺体に残っている痕跡から読み取った真実で正したという、まあ自慢話なんだけどね。
アメリカの捜査態勢、司法制度(陪審員制度)のことがいろいろ書いてあって、日本もダメだけど、アメリカもそれ以上にダメだなあと思ったことだ。それからアメリカの銃管理体制のことも。その部分に関してだけは日本に生まれて本当に良かったと思う。
銃のことでは、接射では銃口から高温高圧の燃焼ガスが出るので、射入口のほうが射出口より大きく損傷している、とか、服が破けることがあるとか、知らなかったので、へえと思った。ゴッホが自殺ではなく殺されたらしいということも知らなかった。
上野正彦に「死体は語る」という名著がある。