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news commentary

セクハラからパワハラへ

2018-04-17 22:25:37 | Weblog

 「浮気しようね」

「おっぱい触っていい?」

「抱きしめていい?」

週刊新潮が上記のような報道をした財務省の福田淳一事務次官のセクハラ発言は、まずは福田事務次官と発行元の新潮社との問題である。名誉棄損で新潮社を訴える準備をし、裁判に先立って福田氏が新潮社の責任者に抗議し、書かれた側と書いた側の間で、報道された事実の真偽について議論すればよい。多分それでは決着がつかないだろうから、裁判開始を急ぎ、必要とあれば法廷で被害者に証言を求めればよい。

法廷で証言する被害者の記者については、雇用先のメディアが十分なプロテクトをする必要がある。セクハラ被害者を守ると同時に、ことは報道の自由と公正の問題へと発展すること必定だからだ。報道対象となる政治家・官僚と取材するメディアとの適正な距離について、日本のジャーナリズムは無関心である。いまだに苔むした夜討ち朝駆けの手法に頼っているようだし、常時取材される政治家などはその夜討ち朝駆けを、逆に、自分に有利な状況づくりに利用している。

さて、裁判で決着を見るまでの間、福田氏を現職の事務次官にとどめ置くか、ポストから外すかは、財務大臣の判断になる。といっても、昨今は高級官僚の人事権は内閣人事局の手にあるのだが。いずれにせよ、福田氏の去就は政治判断にかかることになる。

財務大臣の麻生太郎氏は「状況がわかるように(被害者の女性が)でてこないといけない。申し出てこないとどうしようもない」と話し、女性が名乗り出ない限りセクハラを事実と認定できないという考えを示した――4月17日の毎日新聞(電子版)が伝えた。

財務省は財務省の記者クラブ加盟社に対して「福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をおねがいしたい」と文書で要請している。

財務省内のセクハラ問題であれば、省内のセクハラ問題処理機関が解決することになるが、加害者と疑われている省内の人と、被害者とされる外部の人の間の調査を、加害者と疑われている人の勤め先が行なうのは尋常ではない。

たとえば、被害者と思われている記者が勤務するメディアのセクハラ問題処理機関が、財務事務次官である福田淳一氏に、週刊誌で報道されたセクハラ問題について、被害を受けたという記者の訴えだけでは不十分なので、加害者と報道されているあなたから直接お話をお伺いしたいので、一度、当方にお越し願い、できませんでしょうか、と要請したと仮定した場合、福田氏あるいはその上にいる財務大臣・麻生太郎氏はどんな返事をするだろうか?

財務省の聞き取りに協力せよという依頼は、今すぐ福田氏を更迭すれば政治的ダメージが大きすぎるという理由から、「女性が名乗り出ない限りセクハラを事実と認定できない」(毎日新聞)という時間稼ぎの茶番であり、被害者とされる人にとっては、財務大臣と財務省のパワハラである。

 

アメリカのトランプ大統領は嫌いなメディに対しては大統領会見で質問を許さなかった。同様に、記者クラブ制度をたよりに取材をしているメディアとそこの記者にとっては、名乗り出たが最後、取材上の便宜をうやうやしく拒否するという財務省の報復行為が予想されるからである。

 (2018.4.17  花崎泰雄)

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