Podium

news commentary

7つの白い棺

2016-07-06 21:47:02 | Weblog

ダッカのテロ事件でターゲットにされた7人の犠牲者の遺体が、7月5日朝、政府専用機で羽田空港に帰ってきた。

白い布に包まれた7つの棺が4台の運搬用トレーラーで運ばれ、その前に日本の外務大臣や駐日バングラデシュ大使や関係者が黒い服で整列している写真が同日の朝日新聞夕刊に掲載された。1面右手の題字脇から紙面の左端までをいっぱいに使った細長い写真だった。

いつか、どこかで、似たような風景を見た記憶がある。

ベトナム戦争が燃えさかっていたころの戦死した米軍兵士の無言のアメリカ帰国の写真である。ベトナム戦争で米軍は殺害した敵兵士の死体を数える「ボディー・カウント」を実施して戦果を強調した。一方で、ベトナムから送られてくる星条旗に包まれた兵士の棺は、当時の米国市民のベトナム戦争への嫌悪感を募らせた。棺の数とベトナム厭戦気分は正比例した。皮肉なことに、これもまた、ボディー・カウントの効果である。

これを教訓に米軍は、1991年の湾岸戦争を機に、米軍基地に帰還する戦死した兵士の棺の写真取材を禁じた。この禁止は、オバマ大統領が禁止令を解くまで続いた。

7つの白い棺の写真はまた、ある予感も与える。

安倍政権が昨年国会を通した安保法制によって、自衛官はこれまでより、より危険な地域に派遣され、これまでになかったようなかたちで、戦闘に巻き込まれるようになる。

そうなれば、やがて、日の丸に包まれた棺が日本に帰国することになる。その棺は、戦後これまで、日本人が体験したことない激しいショックを与えることになろう。時の政権はガタガタになるかもしれない。総選挙で政権与党が大敗する事態もありうるだろう。

もし、複数の自衛官の棺が海外の派遣先から帰国することになった場合、日本国政府は、はたして、その写真取材をメディアに許可するだろうか。

(2016.7.6 花崎泰雄)


コメント   この記事についてブログを書く
« 歴史はときどき後退する | トップ | 生前退位 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事