はんどろやノート

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ハイネケン

2008年12月11日 | はなし
 「Heineken」はオランダのビール。 1863年にハイネケン氏により創設された。
 オードリー・ヘプバーンの母(エラ)はオランダの貴族の娘で、アルフレート・ハイネケン三世とおともだちだったらしい。


  アンネ・フランク『アンネの日記』より

〔 きのうのことでした。マルゴーとペーターとわたしでジャガイモの皮むきをしているとき、なんのはずみか話が猫のモッフィーのことになりました。「ねえ、モッフィーが雄だか雌だか、まだ知らないわよね、わたしたち」わたしは言いました。
 するとペーターが即座に、「ばかだな、わかってるさ、雄だよ」と言います。
 わたしは笑いだしました。「えーっ、じゃあ雄のくせにおなかが大きくなるの?不思議ねえ! 〕

 モッフィーはただの肥満猫だったらしい。この猫はペーターが飼っていた。
 ペーター(ペーテル)はとても内気な青年なので13歳のアンネとはなかなかうちとけなかったが、やがて話すようになり、アンネは、思春期のめざめとともに1944年1月のこの日記の頃(14歳)になると、ぺーターにつよく恋心を抱くようになる。ただしそれはほとんど表にはあらわず、日記の中でのことである。 (彼、ぺーターも戦後を生きることはできなかった。)

〔 …彼は無造作にモッフィーを抱きあげると、仰向けにひっくりかえし、起用に頭と前足を押さえながら講義を始めました。「いいかい、これが雄の生殖器だ。こっちのこれは、べつになんでもない、ただの毛。そしてここが肛門」
   (中略)
 「ねえペーター、ゲシュレヒツタイル(生殖器、ドイツ語)はヘスラハトスデール(生殖器、オランダ語)でしょ。でも、男性の場合と女性の場合とじゃ、呼びかたがちがうのよ」
 「それぐらい知ってるさ」
 「女性の場合はワギナっていうの。そこまではわたしも知ってる。でも、男性の場合はなんて呼ぶのか知らない。」
 「ふーん」
 「とにかくね」わたしはつづけました。「いくら躍起になってこういう言葉を知ろうとしても、出くわすときって、たいてい偶然なのよね」 〕


 アンネ・フランクはドイツ・フランクフルト生まれのユダヤ人。
 1933年、ヒトラー政権が誕生した年にこの家族はオランダ・アムステルダムに移住した。まだナチスによるユダヤ狩りは行われてはいなかったが、住みづらくなる予感が充満していたのだろう。 アムステルダム「隠れ家」での生活は1942年7月6日から始まる。




 オードリー・ヘプバーンの母、エラ・ヘームストラは1920年に結婚をして、南米のギニアに行っている。その相手とは二人の息子(オードリーの異父兄になる)をもうけたあと離婚、その後エラは再婚するが、その結婚式はパタヴィア(現在のインドネシア・ジャカルタ)で行われた。この夫婦はやがてオランダに戻り、そこで娘オードリーが生まれたわけである。



 1944年6月6日のノルマンディー上陸の後、本格的な連合国とドイツ軍とのたたかいが始まった。 ヘプバーンの一家(オードリーの父はすでにイギリス時代に家を出ていった)がこの時期オランダ・アルンヘムにいたことは前に述べたが、このアルンヘムはこの年の9月、激しい戦場になった。この戦いはマーケット・ガーデン作戦とよばれ映画(『遠すぎた橋』)や戦場ゲームになっているようだ。 この戦火の中にオードリーはいたのである。
 住居の75%は破壊された。ドイツ軍は強く、連合国の作戦は失敗に終わった。ドイツ軍はじゃまな住民(連合国に協力するから)をアルンヘムから立ちのかせた。
 アルンヘム(アーネム)にはクレラー・ミューラー美術館があり、現在ここにはゴッホの『アルルの跳ね橋』の画がある。

 戦争が終わると、「餓え」が待っていた。そのときに運び込まれたUNPRA(国際復興機関、のちのユニセフ)の救援物資、そしてカナダ軍が市の広場で行ったハリウッド映画の戸外上映が、15歳の少女のオードリーに希望をあたえたという。 晩年のオードリー・ヘプバーンが、ユニセフ親善大使として積極的に活動していたことは、よく知られている。 オードリーの母エラは、オードリーに、「(愛を)あたえる人間になりなさい」と言われて育ったそうである。
 オードリーの家族は、アムステルダムへ出た。これはオードリーのバレエの才能をのばすために母がそうしたという。 やがて家族はイギリスへ行く。



 アンネ・フランクも映画が大好きだった。映画スターの写真をコレクションし、映画のストーリーや俳優や評判を、映画をまだ観ていないのにぺらぺらとしゃべったりするので、それじゃあ映画を観る必要もなさそうだと言われたと、これも日記に書いてある。



 追記:  僕は、おもいちがいをしていたようです。『アンネの日記』の中で「ペーテル」にアンネは恋をしているのですが、これは同じ「隠れ家」に住んでいるペーターとは別人のようです。「ペーテル」とは、アンネの夢の中の(つまり記憶の中の)、小学校時のクラスメイトの男の子でした。 (この本を僕は拾い読みしているために、こういうかん違いが生じます。) ただし、口かずの少ないペーターともっと話したいとアンネが思っているのはたしかなようです。

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