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終盤探検隊 part111 ≪亜空間最終戦争一番勝負≫ 第10譜

2018年03月20日 | しょうぎ
≪亜空間最終一番勝負 第10譜 指始図≫

 指し手  ▲3四歩 

 
    [ The Light Princess ]
姫が倒れ落ちる音を聞いて、乳母はよろこびの声をあげながら、姫のところに走りよって叫んだ――
「お姫さま! お姫さまに重力ができました!」
  (中略)
なにしろ、姫には赤ん坊の歩き方しかできなかったのだから。たえずころび、たえずけがをするという始末であった。
「これがみんなあれほど大切にしていた重力なの?」
     (『かるい姫』ジョージ・マクドナルド著 吉田新一訳 筑摩書房)



 ジョージ・マクドナルド著『かるい姫(The Light Princess)』(かるいお姫さま、ふんわり王女など邦訳タイトルは色々)は1862年に発表された童話である。

 『不思議の国のアリス』(1865年)、『鏡の国のアリス』(1871年)の作者ルイス・キャロル(チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン)は、オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジの教職に就いていたが、生涯そこに住み続けた。ドジソンがこの二つの『アリス』本を書いた頃、どうやらジョージ・マクドナルドもオックスフォードに近い場所に住んでいたようで、この二人は親しい友人関係だった。
 『不思議の国のアリス』の元になる話は1862年7月4日の学長の三人娘とのピクニックの船旅の最中に生まれたが、その5日後の7月9日にドジソンはマクドナルドに会っている。マクドナルドに道でばったり出会って、一マイルほど歩きながら話をしたと、ドジソンの日記に記されているそうだ。そしてこの時、マクドナルドは『かるい姫』の原稿を脱稿し、出版社に持って行こうしているところだったのである。
 数年後にドジソンが『地下の国のアリス』を学長の娘(アリス・リデル)のために書いたとき、マクドナルドにそれを見せると、マクドナルドはぜひこれを出版社に持って行って活字にせよ強くと勧めたのであった。それを手直しして、『不思議の国のアリス』が出版された。
 またドジソンは、写真撮影を趣味としていて、数千枚の写真作品を残しているが、その中にはマクドナルドの子供たちもモデルとして写っているのである。ジョージ・マクドナルドは11人の子だくさんであった。一方、ルイス・キャロル(ドジソン)は生涯独身であったが、彼自身はこれも偶然に11人きょうだいであった。

 『かるい姫』は、王に恨みをもった魔法使い(マノムケイト王女=王の姉)が、王夫妻に呪いをかけ、その結果“重力を持たない女の子”が生まれてしまった、という話。
 彼女は「かるい」ので、ほおっておくとふわふわ浮かんでしまうし、それだけでなく、頭の中も「かるい」。どんなことがあっても深刻に考えることがないし、母が泣いていても、父が怒っていても、面白い面白いと笑い転げるのであった。
 それにしても、この魔法使いマノムケイトも、よくこんな変な魔法を思いついたものだ。
 結局、この「かるい姫」は、年頃になって王子様に出会い、王子の協力によって魔法を解く――つまり、「重力」を取り戻す――のであった。めでたしめでたし。


 余談だが、以下は物理学の話。
 アイザック・ニュートン(イギリス人1642-1727)が「万有引力」を発見したことは有名な話で、リンゴが落ちるのを見てニュートンは万有引力を発見したなどと言われているが(ニュートンの実家は農業を営んでいた)、実際には、「ケプラーの法則」など、惑星の動きを学び考察し、それが土台となって生まれ出たものであろう。
 夜空の星々は、北極星を中心として、ほとんどが同じペースで歩調をそろえて回転をしているが、「惑星」(金星、火星、木星など)だけは珍妙な動きをしている。あまりに妙なので、古来からずっと人間の興味を引いてきたわけである。
 これをすっきり説明するために、「太陽」を中心にこれらの「惑星」が円運動(正確には楕円運動)をして巡っていて、「地球」も「惑星」のうちの一つであるという、「地動説」が生まれたのであった。そしてドイツの天文学者ヨハネス・ケプラー(1571-1630)は、こうした惑星の動きを正確に観察記録し、その楕円運動の「法則」も編み出したのであった。この「ケプラーの法則」を使えば、「惑星」のその楕円運動での周回のその速度まで計算できるので、何年の何月何日にこの「惑星」はこの位置に見えるだろう、などという予測ができるようになったのである。
 こうなると、この「地動説」が正しいと感じるのは、科学を学ぶ者には当然のことであるが、アイザック・ニュートンの生んだ「力学」は、さらにふみこんで前進した。「なぜ、惑星は楕円運動するのだろう」ということを考え、それに明快な「答え」を与えることに成功したのである。

 「質量m」を持っている物質と、同じく「質量M」を持っている物質の間には、「引力」が働いているというのだ。ニュートンは、とにかく、そのように定義したのである。すると、月が地球の周りを回っていることも、地球がまるくて地表の人間は逆さまになってもだれも困らないということも、すべて“すっきり説明できた”のである。
 これが本当なら、ここにいる「わたし」と、目の前にある「コーヒーカップ」との間にも、「引力」は働いていることになる。本当だろうか? もちろん、働いている。「重さ(質量)」をもつすべての物の間に、「引力」は働く。だから「万有引力」なのである。
 「わたし」が、「コーヒーカップ」との「引力」をとくに感じないのは、それが“微力”だからで、この「引力(重力)」という力は、じつはたいへんに弱い力なのであるが、「地球」のように「巨大な質量」になった時、その力が感じ取れるわけである。両者間に「引力」が働いているのに「コーヒーカップ」が「わたし」の周りを楕円運動しないのは、それに比べると「地球」と「コーヒーカップ」、そして「地球」と「わたし」との「引力(重力)」のほうが、圧倒的に強力だからで、そのために「わたし」も「コーヒーカップ」も固定されて動けないというわけなのだ。
 二つの物体に働く「万有引力」は、次の式で表すことができる(とニュートンは発表した)

  F(引力)=GMm/r² (Gは万有引力定数、rは2つの物体間の距離)

 この話、あと少し続けたいのだが、それは「本編」が終わってから、末尾にて。
 


<第10譜 より勝ちやすい作戦を求めて>



≪最終一番勝負 第10譜 指始図≫ 3三同銀まで

 我々終盤探検隊と≪主(ぬし)≫との戦い―――≪亜空間戦争 最終一番勝負≫―――は、3三同銀ままで進んでいる。これはまだ我々の「研究範囲」である。
 以下、3四歩、同銀で、次の図。

3四同銀図
 ここで6六角と角を打ち、以下、5五銀引、9三角成、9四歩と進め――(次の図)

9四歩図
 そして、ここで「3三歩、3一歩」とし、「4一飛」と打ちこむのが、我々の編み出した『黒雲作戦』。 この作戦は苦労しながらも、我々(先手番)が勝利となった。
 ここで≪亜空間戦争≫は、“最終ステージ”に突入することとなった。すなわち、今進行している≪最終一番勝負≫である。≪亜空間の入り口図≫から、“待ったなし”の一番勝負で決着をつけるのである。つまり、これまでの闘いは、「練習将棋」のようなものだったことになる。
 その“最終決戦”の前に、我々は、考えたいこと、準備しておきたいことがあった。
 それは、「黒雲作戦はベストな作戦なのか」ということである。『黒雲作戦』は確かに先手の勝利となった。けれどもこれは“入玉”作戦であり、どうしてもすべての変化を調べつくすというわけにはいかない。これを選んだ時、後手番の≪ぬし≫が、我々の思いもよらない“秘手”を用意している可能性もある。だいたい、≪一番勝負≫を提案してきたのは、≪ぬし≫のほうである。『黒雲作戦』に対しては、何か、秘策を後手は用意しているのではないか。他に手段がなければこれしかないが、他にもっと優れた指し方があれば、そのほうが良い、と我々は考えた。
 そういうことで、我々終盤探検隊は、≪最終一番勝負≫のための準備として、新たな「先手勝ち筋」探しの研究の旅を始めたのであった。

 我々は、発想を切り替えて局面を見ることを行った。(3三歩、3一歩の後)4一飛とここで打ったのは、この飛車を囮にして、“入玉”をするという、“入玉作戦”であった。我々はこの「7六玉」の図は、“入玉しなければ勝てない”と思っていた。それでここで4一飛と打つ『黒雲作戦』を思いついたのである。
 しかし、その発想を変えて、「攻め勝つ」ということを柱に置いてみた。すると新たな道が開けていったのである。

9四歩図(再掲)
 まず、ここで「3三歩、3一歩」を入れる。ここまでは『黒雲作戦』と同じだ。
 そこで「9六歩」とするのが、新展開の一手。 そしてこれには、後手は8四金の一手。(放置して8五玉、8四金、同馬、同歩、9四玉なら、先手の望み通り“入玉”できて、先手優勢)
 なお、細かいところだが、「3三歩、3一歩」を先に入れないで先に9六歩だと、9六歩、8四金、3三歩の時に後手に(3一歩ではなく)7五銀と変化の余地を与える。

8四金図
 で、この図になる。我々は、『黒雲作戦』の成功で少し心の余裕ができたのか、同じ局面でも新たな感覚で見ることができるようになった。
 最初この局面に出会ったとき、これは入玉は無理だ、勝てない、と感じていたが、今は逆に「これは先手の勝ちがあるのではないか」という感覚に変わってきている。この図の後手の「8四金」を、「後手に金を使わせて質駒にした」と考えればよい。後手としても、しかたなく8四金と打った、と見えなくもないではないか。

 すると、ここで「先手勝ち筋」を見つけるための、新たな3つの候補手が見えてきた。
  【天】4一飛
  【地】3九香
  【人】8六歩

新黒雲の図1
 8四金と打たせてから、【天】4一飛と打ちこむ、『新黒雲作戦』。
 これはもう“入玉”はできないので、「攻めて勝つ」というのが芯となる方針だ。
 だが、これは上手くいかないことがわかった。ここで後手4二銀のような手なら、5三歩、同銀引、7三歩成で、先手やれるのだが…。
 この図では、後手7五銀、7七玉、6六銀左、8八玉、3三玉が後手最善の対応。 以下、3一飛成、4四玉(次の図)

新黒雲の図2
 この図は、先手悪い。この図から、2六角と打てば5九の金は取れるが、結局先手の勝ちは出てこなかった。
 
 (『新黒雲作戦』の研究→報告part92

香車ロケット1号の図1
 【地】3九香。 これはたいへんに有望に見える。実際、かなり有望だった。3九香に対し、後手3五桂なら先手が勝てる(3五同香、同桂、3四飛以下)し、4二銀でも先手が勝てる(4二銀に5三歩以下)とわかった。
 しかし、3九香に、7五銀、7七玉、6六銀右という手があったのだ(次の図)

香車ロケット1号の図2
 6六銀左だったら、先手が勝てるのだが、この“6六銀右”が好手で、先手が負けになる。
 この“銀右”の効果は2つあって、7五に空間をつくってあとで7五桂と打てるようにしたことが一つ、あと一つは、5五の銀を移動させないことで、先手から5五角と打つような攻防の角打ちの筋を消したことである。
 『香車ロケット1号』と名付けたこの作戦は、惜しくも実らなかった。

 (『香車ロケット1号』の研究→報告part93

香車ロケット2号の図1
 3番めの候補手【人】8六歩。 この歩を突いて、8七玉~9七玉のような退路スペースをつくった。
 以下、5六と(おそらくこの手が後手の最善手)に、3九香と打つ(次の図)

香車ロケット2号の図2
 『香車ロケット2号作戦』である。以下の進行は、6六と、8七玉、7五桂、9七玉、7六と、9八
角(次の図)

香車ロケット2号の図3
 上の手順中、7六とに代えて7七ともある。その場合は先手は9八金と打つ。その順は、難解ながら研究では先手良しになった。
 7六とには9八角と打つのが正解手(9八金は先手悪い。理由はここでは省く)
 9八角以下は、8七桂成、同角、同と、同玉、7五桂、9七玉、7八角、8八金(次の図)

香車ロケット2号の図4
 この図は、ほぼ「互角」。 しかしここから先をできる限り我々は研究し、どうにか「先手良し」の結論に辿り着いたのであった。
 『香車ロケット2号作戦』、成功である。終盤探検隊はついに、2つ目の「先手勝ち筋」を得たのであった。
 ただし、これが≪最終一番勝負≫で使えるかとなると、考えてしまう。まだ『黒雲作戦』のほうが、研究が行き届いている感じがある。

 (『香車ロケット2号作戦』の研究→報告part9495


 我々はさらに、「先手の勝ち筋探しの旅」を続けた。そして、3つ目の「先手勝ち筋」を発見できたのである。

3四同銀図
 「亜空間定跡」をこの図まで戻る。
 ここで9一竜としたのが“定跡手順”だったが、代えてここで「3三歩」とする。
 以下、「3一歩」に――――

赤鬼の図1
 ここで「4一飛」と飛車を打ちこむ。これが新発見の「勝ち筋」である。
 この時、先手は「角角金」と持駒を持っている。これが強力で、しかも後手はまだ5九の金を取り切っていないので、受けが難しいのだ。(4一飛に代えて4一角もあるがそれは4二金以下後手良し)
 4一飛に、4二銀は、6一角で先手が勝てる。
 この図での後手の最善手は、3三玉。 “ここは逃げる一手”なのだ。 以下、3一飛成に、4四玉(次の図)

赤鬼の図2
 ここで3六金が最有力に見え、それを調べていった。
 しかしそれは、8四桂、8五玉、4五銀が後手にとっての好手順である(次の図)

赤鬼の図3
 これでどうも、すっきりした先手の勝ちが見つからない。
 この図から8三竜と指し、5九金に、8四玉以下、“入玉”をめざせば、なんとか入玉はできるので、「持将棋引き分け」には持ち込めそうだが、「先手の勝ち筋」を探している我々にとっては、もはや「引き分け」ではなく、「勝利」が欲しいのだ。
 「勝利が欲しいのだ」という我々の願いが天に通じたのか、“新しい手”が我々のもとに降ってきた。

赤鬼の図4
 後手4四玉とした「赤鬼の図2」まで戻り、そこで6五歩と打つ手が、その手だ。
 この6五歩は、今見るとはソフト「激指14」が第1候補手として挙げている手ではないか(評価値は[ -24 ])。我々はしかしなぜか3六金にこだわって、それしかないと最初は思い込んでいたようである。(3六金は第3候補手で評価値[ -223 ])
 なお、まったく調査はしていないが、「激指14」のこの図での第2候補手は5八金である。もしかしたら、ここでの5八金は、「先手の勝ち」につながる可能性を持っているかもしれない。

 なんにせよ、我々は第3の「先手勝ち筋」を見つけた。
 そしてこれを、『赤鬼作戦』と名付け、≪ぬし≫との≪最終決戦一番勝負≫で使うと決定したのである。

 (『赤鬼作戦』の研究→報告part9697101



≪最終一番勝負 第10譜 指了図≫ 3四歩まで

 『赤鬼作戦』を使うその場面はもうじきに現れる。

 第11譜につづく




【ジョージ・マクドナルド『かるい姫』と重力(物理学)の話のつづき】

  F(引力)=GMm/r² (Gは万有引力定数、rは2つの物体間の距離)

 この式が、ニュートンの編み出した万有引力を表す式だが、その時点では「G」は何らかの比例定数であるとし、具体的には特定されてはいなかった。

 さて、この引力についての式を、「人間(体重ⅿキログラム)」と「地球(質量Mキログラム)」の場合に当てはめて考えると、地球上の人間が感じる「引力(=重力)」は、次のようになる。

  F(重力)=GMm/R² (Rは地球の半径)  ……… ①

 厳密には、「距離」は、“2つの物体のその重心から重心までの距離”なので、「地球の半径R+人間の身長の約半分」となるが、地球の半径に比べれば人間の身長などほとんど無視してもかまわないほどなので、Rだけでよいのだ。

 しかし、人間はこの「地球の半径」、すなわち「地球の大きさ」をどうやって知ったのだろう?
 「地球の大きさ」については、地球が“きれいな球形”であることを前提とすれば、北極星の見える角度を、緯度の違う2つの離れた場所(距離が大きいほどよい)から調べ、あとはその角度の違いから数学的に計算することができる。この方法で、日本では伊能忠敬が最初にそれを計測した(1800年)。
 欧州ではその100年~200年前に、同じようにして「地球の大きさ」は計測されていた。
 実は紀元前3世紀に、北極星を調べるのとは別のやり方であるが、「地球の大きさ」を調べ算出した人物がいて、エジプトのアレクサンドリアに住んでいたギリシャ人エラトステネスである。つまりギリシャ文明の科学は、すでに「地球が球形である」ということに一部の学者は気づいていて、その半径さえも突きとめていたのである。
 そのようにして計測・計算された「地球の半径」は、およそ次の通り。

 地球半径 R= 6.4✕(10の6乗) メートル 

 さて、もう一つ、ニュートン力学の基本となる式を次に登場させよう。

  F=ma (Fは力、mは質量、aは加速度)

 また、地球上で、落下する物体は下向きの一定の加速度で落下する。これはその物体の質量に寄らず、同じ速度、同じ加速度である。(綿毛などの軽い物体がゆっくり落下するのは空気抵抗があるからで、このニュートン力学では空気抵抗が全くない場合を考えている)
 その落下物の加速度を「重力加速度」という。 その値は実験すれば明らかになるが、次の通り。

  重力加速度 g= 9.8 メートル/秒² 

 そうすると、「a」を「g」に置き換えれば、重力を表すもう一つの式が現れる。すなわち

  F(重力)= mg   ……… ② 

 この式は、たとえば地表のある人間が体重mキログラムだったとして、その人間にかかる「重力」を表している。
 さて、これで、地球のもたらす「重力F」を表す式が2つ出現した。その2つの式①、②をつなぎ合わせると、次のようになる。

  GMm/R² = mg

 これを整理すると、 GM = gR²   ……… ③  という式ができあがる。

 欧州で、18世紀の段階で、わかっていたのは「地球の半径R」と「重力加速度g」である。
 わかっていなのが、GとMであるが、Gは「万有引力定数」(重力定数ともいう)、Mは「地球の質量」である。
 巨大な「地球の重さ(質量)」など、計りようがないが、「万有引力定数G」が判明すれば、「地球の質量M」が、この式を使って計算できるとわかるのである。

 ヘンリー・キャベンディッシュ(イギリス人1731-1810)がここで登場する。
 1798年、キャベンディッシュは、巧妙な実験装置を考案し、その実験によって得られた「万有引力定数G」を発表したのである。
 キャベンディッシュの行った実験は、「質量0.73キログラムの小鉛玉」と「質量157.85キログラムの大鉛玉」との間に働く、「引力」を導き出すもので、それによって「万有引力定数G」が得られたのである。(この実験から、地球の重力以外の2つの「物質」の間でも、たしかに「引力」は存在するのだということがわかる)

 さて、「万有引力定数G」が判ったので、その「万有引力定数G」を、式 ③ に当てはめて計算すれば、「M」の数値もあらわれる。
 こうして、「地球の質量M」も明らかになったのであった。
 「G」と「M」とは、およそであるが、それぞれ次の値になる。
  万有引力定数 G = 6.7×(10のマイナス11乗)
  地球の質量 M = 6.0×(10の24乗) キログラム 

 ヘンリー・キャベンディッシュはまた、最も軽い元素である「水素」の発見者としても、化学・物理学の世界に名を残している。
 「水素」はたいへんに「かるい」ので、軽やかに活動し、反応しやすい元素であるし、宇宙に最も多く存在している元素でもある。核融合エネルギーとして研究されているのも、「水素」や、2番目に軽い元素である「ヘリウム」である。


 ところで、「重さ」を表す英語の表現は、おもに、「 weight 」と「 gravity 」とがあるが、物理学で用いられるのは「 gravity 」の方で、この単語が「重力」、「引力」、「重力加速度」の意味を持つ。だから数式に「G」や「g」の文字を使う。(「gravity」には、「重大さ」とか「まじめさ」という意味もある)
 ほかに物理学で使われるのは、「質量」を意味する「 mass 」がある。
 「 weight 」は、「重さ」「体重」「おもり」などの意味だが、一応こちらも、「重力」の意味で使うことも一般の記事ではあるようだ。 また、「重い」という意味の形容詞に「 heavy 」があるが、私たちには「 weight 」や「 heavy 」のほうがなじみがあるだろう。

 ジョージ・マクドナルドのこの『 The Light Princess 』の中で、「重さ」として使われている英単語は、「 gravity 」である。
 上で紹介した吉田新一氏の訳は、これをしっかり「重力」と訳しているのがよい。(「重さ」と訳してしまうと何か意味が足らない感じがある)
 この童話は、つまり、「こうしてかるいお姫様に Gravity が戻りました、めでたしめでたし」という結末の話である。
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